富士茶碗　尾西楽斎

幅 : 11.5cm   高さ :7.3cm

ご紹介

尾西楽斎様による富士茶碗は、伝統を受け継ぎながらも革新的な技法を用いた、上品で魅力的な作品です。この茶碗に施された朱色の模様は、釉薬と土の間で生じる科学反応によって生み出されたものであり、その独特の色合いと美しい境目は、見る者に深い印象を与えます。

計算された独自の手法

富士茶碗の特徴的な赤い模様は、釉薬が掛かっていない部分に見られるもので、土の色が白い茶碗に釉薬を施し、電気釜で酸化焼成することで生じます。この手法は、土の中に含まれる鉄分が焼成によって反応し、釉薬が掛かっていない部分で色が変わるという、非常に計算された技法です。朱色の模様は、当代の祖父が始めた手法であり、その伝統を受け継いだ技術が、この茶碗に息づいています。

美しい境目と飽きのこない上品な赤

この茶碗に見られる朱色は、釉薬と土の間で生まれる自然な色の変化を利用したもので、その境目が非常に美しく、細部にまで気を配った職人技が光ります。上品で見飽きることのない赤色は、時間が経つほどにその魅力を増し、日常の茶の湯の時間をより豊かに彩ります。

伝統と革新が融合した作品

尾西楽斎様が手掛けた富士茶碗は、祖父から受け継いだ技法と、現代の感覚を融合させた、まさに伝統と革新が見事に調和した作品です。この茶碗は、使用するたびに新たな発見があり、茶の湯の席においても、その独特の美しさが際立ちます。釉薬の掛かっていない部分で見られる赤色の変化と、その繊細な境目が、富士茶碗に特別な魅力を与えています。

永続する価値と美しさ

富士茶碗は、その美しさと計算された技法によって、一生愛され続ける逸品となることでしょう。卓越した技術と創意工夫が凝縮されたこの茶碗は、茶の湯のひとときを一層特別なものにし、長く愛用できる価値を持っています。その独特の朱色と美しい境目が、どのような茶席でも注目を集めること間違いありません。8