取り扱いについて

抹茶碗を中心とした陶磁器について
当店で扱う茶碗をはじめとする陶磁器は、一般的な食器類に比べ、より繊細な取り扱いが求められます。作家の方々が精魂込めて創り上げた作品は、茶道具としての実用性と、作品そのものが醸し出す芸術性が大きな魅力です。

中には、実用面で細心の注意を払う必要がある作品もございますが、それこそが所有する喜びへとつながります。また、時間を重ねることで独特の風合いが増し、「景色(けしき)」と呼ばれる変化を楽しむことができるのも陶磁器ならではの醍醐味です。

以下に取り扱いの注意点を記しておりますので、ご理解いただき、大切な作品を末長くご愛用いただければ幸いです。

(注)当店では、作家様がご自身の陶磁器を「作品」と呼ばれることが多いため、当店でも「作品」と表現しております。また、「茶碗」表記は作家様のご意向を尊重し、場合により「茶盌」と記すことがございます。

茶道の道具(陶器)について
茶碗などの表面は基本的に釉薬(ゆうやく)が施されていますが、作品によっては貫入(かんにゅう)や微細な穴が見られることもあります。また、高台(こうだい)付近は釉薬をあえて掛けず、作品の個性として残している場合もあります。これらは作家様の意図によるもので、作品の味わいとしてお楽しみいただけます。

適切なお手入れと丁寧な取り扱いを重ねることで、お買い求めいただいた作品は、唯一無二の「お客様の茶碗」へと育っていきます。

貫入(かんにゅう)とは
貫入とは、陶器を焼成後に冷ます過程で生じる、釉薬面の細かなひび模様のことです。これは素地と釉薬の収縮率の差による自然な現象であり、陶器自体がひび割れているわけではありません。

初めてお使いになる際に
新品の茶碗を使用する前には「湯通し」を行うことをおすすめします。

  1. 茶碗を水で軽くすすぎます。
  2. 鍋に茶碗が被る程度の水を入れ、中火で沸騰しかけるまで加熱し、直前に弱火で約30分煮沸します。
    (強火は避け、茶盌が動かないようにご注意ください。)
  3. 火を止め、そのまま自然に冷ましてから取り出し、柔らかい布で拭きます。
  4. 最低5日ほど十分に乾燥させてから収納してください。

茶道具は洗浄・乾燥させてからしまう
茶碗や茶筅は、水またはぬるま湯で洗うのが基本です。表面にざらつきがある茶碗は、指や柔らかなスポンジを使って汚れを念入りに落とします。汚れが陶器の隙間に入り込まないよう、丁寧なお手入れを心がけてください。

保管方法
茶碗を収納する前には、必ずしっかりと乾かしてください。湿気はカビの原因となります。保管は風通しのよい場所を選び、共箱がある場合は共布で包み、高台を下にして収納します。
頻繁に使用する場合は必ずしも箱に戻す必要はありませんが、落下や破損がないよう安定した場所で保管することが大切です。

以上の点を参考に、作品を末長くご愛用いただければ幸いです。