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ワラ灰釉四季草花扇面散らし青海波茶碗 宮川香斎

ワラ灰釉四季草花扇面散らし青海波茶碗 宮川香斎

通常価格 ¥1,100,000
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高さ :8.0cm  幅 : 12.0cm   

「ワラ灰釉四季草花扇面散らし青海波茶碗 宮川香斎」は、日本の伝統美を凝縮した作品です。茶碗の表面に四季の草花や扇面、そして古来より吉祥文様として用いられてきた青海波が絶妙に調和しています。これらのモチーフが繊細に描かれた茶碗は、茶道において季節の移ろいを愛でる日本文化を象徴する一品といえるでしょう。宮川香斎様の手によるこの茶碗は、何世代にもわたって伝えられてきた宮川家の技術と美意識が結晶化した作品です。本稿では、この茶碗に込められた四季の草花、扇面、青海波、そしてワラ灰釉を中心に、日本の伝統美や宮川家の歴史を詳しく解説していきます。

四季草花と扇面 ― 四季の美しさを映し出す文様

この茶碗のデザインにおいて、まず目を引くのは四季の草花と扇面です。日本において四季は、古来から大切にされてきた自然の変化であり、茶道においてもそれぞれの季節を感じることが重視されます。この茶碗に描かれた草花は、春夏秋冬を代表するものがバランスよく配置されており、それぞれの季節の彩りが鮮やかに表現されています。春の桜、夏の萩、秋の紅葉、冬の梅など、草花の組み合わせが四季折々の美しさを際立たせます。特に、扇面のモチーフがこの作品の優雅さを一層引き立てています。扇は「末広がり」という縁起の良い形状を持ち、日本では古くから吉祥文様として親しまれてきました。この茶碗でも、扇が草花と共に風に舞うように描かれており、見る者に軽やかな動きを感じさせます。扇文がまるで空から舞い降りてくるようなデザインは、茶碗に優雅さと気品を与えています。また、ぼかしの技法や金彩が効果的に施されており、扇面の柄が立体的に浮かび上がるような視覚効果を生み出しています。これにより、茶碗全体が動きのあるデザインとなり、どの角度から見ても美しい風景が広がるように感じられます。扇面に散りばめられた草花には、それぞれ深い意味が込められています。例えば、桜は「喜びの訪れ」を象徴し、松葉と小花は「長寿」や「繁栄」を意味します。これらのモチーフが茶碗の表面に描かれることで、ただ美しいだけでなく、縁起の良い意味が重なり合い、茶碗に使用者へ幸運や吉祥をもたらす力を感じさせます。

青海波の文様 ― 平穏と永遠を象徴する吉祥模様

「青海波(せいがいは)」は、日本を代表する伝統文様の一つであり、この茶碗にもその美しさが取り入れられています。青海波は、同心円が波のように繰り返し描かれる模様で、その広がりが「未来永劫の平穏」を象徴しています。波がどこまでも続いていく様子は、永遠に続く幸福や穏やかな生活を願うものとして、古来より愛用されてきました。また、青海波には厄除けの意味も込められています。波は、水が持つ清めの力を象徴しており、悪いものを洗い流すという考え方から、災厄を避ける縁起の良い模様とされています。青海波が茶碗に描かれることで、使用者に安らぎと繁栄をもたらすと同時に、未来への明るい展望を象徴しています。青海波の起源は古代ペルシャにあり、シルクロードを通じて日本にも伝わったと言われています。その歴史は深く、長い時を経てもなお多くの分野で愛され続けています。日本では雅楽の舞曲「青海波」にも由来し、江戸時代には舞人の衣装にも使われていました。これらの歴史的背景を持つ青海波の文様が、この茶碗の表面に描かれることで、単なる装飾を超えた深い意味が込められています。

宮川香斎家のワラ灰釉 ― 伝統の技と現代の美の融合

「ワラ灰釉」は、宮川香斎家が誇る特別な技法であり、この茶碗にもふんだんに用いられています。ワラ灰釉は、柔らかく温かみのある青みがかった乳白色の釉薬で、器に独特の風合いを与えます。真葛焼の代々の当主が大切に受け継いできたこの釉薬は、単なる技術ではなく、宮川家の陶芸哲学そのものを象徴しています。ワラ灰釉は、もともと京焼の始祖である野々村仁清も使用していた釉薬ですが、宮川家がこの釉薬の扱いに特に秀でており、長年にわたって磨かれてきた技術です。この釉薬は、土の質や焼成の具合により微妙な変化を見せ、時には赤みを帯びたり、青白色になったりと、見る者を飽きさせない魅力を持っています。また、ワラ灰釉による釉薬の厚みが、茶碗全体にふっくらとした優雅な印象を与えています。手に取ると、その柔らかな質感と温かみが伝わり、ただ鑑賞するだけでなく、実際に使用することでその真価が発揮されるのが特徴です。宮川家が代々守り続けてきたこの釉薬技法は、真葛焼の象徴とも言えるものであり、茶碗に気品と深みを与える役割を果たしています。

真葛焼の歴史と宮川香斎家の伝統

真葛焼の歴史は、330年以上にわたる長いものです。その始まりは、貞享年間(1684〜1687年)に祐閑宮川小兵衛政一が京都の知恩院門前に窯を開いたことに遡ります。宮川家は代々、京焼の伝統を守りながらも時代の流れに応じて新しい技術を取り入れ、常に進化し続けてきました。特に、五代目の名工・宮川長造が真葛ヶ原(現・円山公園)に窯を開いたことにより、真葛焼はその名を広く知られるようになりました。その後も、宮川家は技術を磨き続け、横浜に移住した四男の虎之助が初代真葛香山として真葛焼をさらに発展させました。一方で、祐閑の直系である治兵衛家もまた、初代宮川香斎を名乗り、茶道具や煎茶道具の制作に注力してきました。現在の七代目宮川香斎は、長い歴史を持つ真葛焼を守りつつも、現代にふさわしい新たな美の表現を追求しています。その作品は、国内外で高い評価を受けており、ヴィクトリア&アルバート博物館(ロンドン)やユネスコ日本政府代表部(パリ)など、数多くの名門美術館にも所蔵されています。宮川家が手がける真葛焼は、日本の伝統美と現代の感性が見事に調和したものとして、今日も多くの茶道家や愛好者に支持されています。本作は、四季の移ろいを表現する草花、縁起の良い扇面、そして永遠の平穏を象徴する青海波が一体となった、極めて美しい作品です。これらの文様は、ただの装飾にとどまらず、それぞれが深い意味を持ち、茶碗全体に吉祥をもたらしています。さらに、宮川香斎家の伝統技法であるワラ灰釉が、茶碗に独特の温かみと品格を与え、使用者の手に馴染む一品となっています。宮川家の長い歴史と卓越した技術が凝縮されたこの茶碗は、茶道において日本の自然美と縁起を感じる重要な役割を果たしています。

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