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薬師寺東塔基壇土 刷毛目茶碗 尾西楽斎

薬師寺東塔基壇土 刷毛目茶碗 尾西楽斎

通常価格 ¥88,000
通常価格 セール価格 ¥88,000
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幅 : 13.8cm 高さ : 6.6cm

薬師寺東塔基壇土 刷毛目茶碗(はけめちゃわん) 尾西楽斎様

――千三百年の聖土と走る白い一刷毛――

1.作品概説

本作は、令和の大修理で採取された薬師寺東塔の基壇土を胎に用い、八代 尾西楽斎様が「刷毛目(はけめ)」の技法で仕上げられた茶碗でございます。口径約 14 cm、高さ約 7 cm の端反り筒形(づつがた)で、胴から腰にかけて走る白い刷毛目が、大和の春霞のように景色を結んでおります。

2.景色と釉調

地肌の赤褐色
基壇土に含まれる高い鉄分が還元焚きで発色し、素地は赤褐~紫褐の土味を帯びています。

白化粧の刷毛目
カオリン系の白化粧土を馬毛の刷毛で一気に引き、筆致がそのまま凹凸となって残っています。釉を掛けずに焼締めているため、化粧の縁が毛羽立ち、ざらりとした手触りを楽しめます。

窯変の紫鋼色(しこういろ)
火前(ひぜん)を強く受けた口縁や見込みには、酸化と還元が交差して現れた紫鋼の光沢が見られ、抹茶を点てた際にわずかに縁が照り映えます。

3.成形と焼成

轆轤挽き・薄作り
基壇土を主体に赤膚土を約3割加え、粗目を残したまま薄めに一気挽きされています。

白化粧掛け
乾燥前に白化粧を刷毛引きし、乾き際に指で軽く拭い取ることで表層が不均質になり、景色に深みを与えています。

薪窯焼成(強還元)
48 時間の松薪焚き。1250 ℃付近で保温し、最後に空気を絞って急冷。これにより鉄分が結晶化し、黒紫の発色と金属光沢を生んでいます。

4.基壇土を用いる意義

薬師寺東塔を 1300 年にわたり支えた基壇土は、鉄・石英・雲母などを豊富に含み、焼成すると金属的な煌めきと赤味土味を併せ持つ独特の肌合いを示します。尾西楽斎様は「静の土を動の器へ転ずる」ことをテーマに、釉薬を排した刷毛目で土そのものの声を前面に引き出しておられます。

5.茶席での取り合わせ

季節・場面 道具組の例 趣旨
春霞(弥生) 釜:透木釜/香合:鴟尾/軸「雲無心」 白刷毛を春霞に見立て、やわらかな景を演出します。
夏夜咄(なつよばなし) 釜:平丸釜/香合:金魚/軸「涼一味」 紫鋼色が夜座に涼味を呼び、白化粧が月光を想起させます。
名残(長月) 釜:筒釜/香合:薬師寺瓦灯 焼締めの枯景が秋の侘びを深め、基壇土の赤褐が落葉の色を思わせます。

6.使用感

口縁は薄く削り込まれており、唇当たりが軽やかです。刷毛目のざらつきは掌に心地よく、茶を点てれば白化粧の凹凸に泡が絡み、濃淡豊かな景色が見込みに生まれます。

7.まとめ

「薬師寺東塔基壇土 刷毛目茶碗」は、聖なる塔を支えた土と、刷毛が描く一瞬の筆致、そして炎の偶然が重なり合って生まれた唯一無二の景色を備えております。掌で感じる土の息吹と白刷毛の余韻を通じて、奈良の歴史と茶の侘びが静かに響き合うひと碗でございます。どうぞ季節折々の茶席で、1300 年の祈りに思いを重ねながらお愉しみくださいませ。

薬師寺境内の土100%使用、不純物を徹底除去した本作は、澄明な美しさが特徴。悠久の時を経た土は均質で、焼成により濁りのない艶と、焼締めでは古瓦のような穏やかな色合いを呈します。滑らかな肌理と歪みにくさも魅力。千三百年の歴史を宿す土の物語が、手に取るたびに安らぎを与えます。素材と美しさ、精神性を兼ね備えた特別な作品です。

尾西楽斎様との対談 – 高級陶器の専門店【甘木道】

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