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茶盌俵形三島 高橋道八

茶盌俵形三島 高橋道八

通常価格 ¥330,000
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幅 : 12.2cm 高さ : 9.09cm

俵形三島茶盌 ―― 九代 高橋道八様

灰青の釉面に白泥象嵌(ぞうがん)の文様が精緻に浮かび上がる本作は、朝鮮・李朝期の粉青沙器(ふんせいさき)を源流とする「三島手」を、高橋道八様ならではの洗練で再構成した逸品でございます。以下、五つの観点からその魅力と意匠背景を詳しくご紹介いたします。


1.造形美 ― 俵形が生む安定感と愛嬌

本作の外形は米俵を思わせるふっくらとした丸みを帯びながらも、高台を四方に角を残した「俵形」に仕上げられています。胴はやや腰高で、茶筅を振る際の手掛かりが良く、口縁は穏やかに内へ巻いて抹茶の泡を受け止めます。高台畳付は方形で安定感に優れ、見込み(内部)は緩やかな丸底ゆえ茶溜まりが自然に中心へ集まり、点前の操作性を高めております。

2.釉調 ― 灰青の静謐と貫入の景色

全体を覆う釉薬は灰青色のニュアンスを帯び、還元焼成による柔らかな艶と共に微細な貫入(かんにゅう)が現れています。使用を重ねることで茶渋が貫入に浸透し、文様の輪郭がいっそう際立つ“育つ器”としての魅力を携えています。口縁の釉切れや、高台周辺の薄掛け部分に見える鉄粉(ごま)も景色の妙味となり、寒色の釉調に温かみを添えています。

3.意匠 ― 三島象嵌の輪花文と矢羽根連続文

胴正面には連弁唐草を巡らせた円環内に輪花を六弁配し、中心に小花を置いた「七曜」風の構図を据えています。周囲には矢羽根を連続させた帯文が上下に配され、古格とモダンが交錯するリズムを生み出しています。象嵌は、素地を刻印・陽刻した後、白泥を摺り込み、余白を削り落として模様を定着させる本格的な技法。釉下に沈む白が灰青の釉面から静かに浮かび、光の角度によって奥行きを見せるのが特徴です。

4.技法 ― 粉青沙器系譜の継承と京焼の精緻

三島手は15世紀朝鮮の粉青沙器に由来し、16世紀以降日本でも写しが盛んになりました。本作では、丹念な轆轤成形の後、印花(いんか)象嵌を組み合わせ、最後に灰釉を掛けて還元焼成する本歌取りのプロセスが採られています。道八様は京焼色絵で名高い一方、こうした土味と技法を活かす作品にも精通しておられ、三島特有のざっくりとした風合いを保ちつつ、細部の仕上げは京焼らしい端正さでまとめ上げています。

5.歴史的・文化的背景 ― 茶の湯に息づく三島趣味

三島茶碗は宋~李朝文化を尊んだ茶人たちに愛され、武野紹鴎や千利休も珍重したと伝わります。とりわけ俵形は「稲の実り」を想起させる吉祥として、正月の初釜や収穫を祝う茶会で選ばれてきました。本作は、その伝統的意匠を現代の茶席・ギャラリー空間に馴染む洗練で再生し、歴史性とモダンを架橋する役割を果たしております。

高橋道八家は江戸後期以来、京焼色絵の名門として知られます。九代様は京都文教短期大学 服飾意匠学科デザイン専攻を経て、京都府立陶工高等技術専門校 成形科・研究科、さらに京都工業試験場本科で技術基盤を固められました。

平成8年(1996年) 八代道八様(父)に師事し、本格的に作陶を開始

平成24年(2012年) 九代 高橋道八を襲名

服飾デザインで培われた造形感覚と、京焼の伝統技法が交差する作風は、道八家に新たな風を吹き込み、現代茶席やギャラリー空間にも映える洗練を示しています。

灰青釉の静けさと白象嵌の端正な文様が織り成す本茶盌は、俵形ならではの親しみやすさと格調を兼ね備えた一盌でございます。手に取れば、釉面のわずかな凹凸と象嵌の段差が指先を心地よく刺激し、抹茶を点てるごとに貫入へと深まる景色が愉しめます。初春の「口切り」や秋の「名残」の茶事はもちろん、日常稽古に取り入れても、灰青と白の対比が抹茶の緑を鮮やかに引き立て、茶室の空気を引き締めることでしょう。どうぞ末永くご愛玩いただき、高橋道八様の卓越した技と三島趣味の雅味をご堪能くださいませ。

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