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4六瓢茶碗 尾西楽斎

4六瓢茶碗 尾西楽斎

通常価格 ¥220,000
通常価格 セール価格 ¥220,000
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税込。 配送料はチェックアウト時に計算されます。

幅 : 12.5cm 高さ : 7.4cm

尾西楽斎様が手掛けられた本作は、「六つの瓢箪(ひょうたん)」を一碗に配し、“無病息災”と“六瓢(むびょう)=無病”の言霊を重ね合わせた吉祥意匠の茶碗です。淡く青みを帯びた釉景の上に、金彩と色絵で描かれた瓢箪が優雅に連なり、めでたさと品格を同時に語りかけてくれます。以下では五つの視点からその魅力を解説いたします。


1.造形と釉調

胴張りの安定感
やや肉厚の胴張り形は、見込みから口縁まで緩やかに立ち上がり、抹茶が穏やかに波打つ理想的なプロポーションを生み出しています。

淡青釉(たんせいゆう)の静けさ
素地を包み込むのは、わずかに青灰を含む透明釉。焼成によって微細な貫入が入り込み、まるで初春の薄氷を思わせる静謐な景色が現れています。抹茶の緑が映り込むと、淡青が一層引き立ち、器と茶が一体となる趣を味わえます。


2.意匠 ― 六瓢息災の世界

瓢箪と組紐
六つの瓢箪は金地に盛絵具で松や竹を意匠化し、そこへ緋色の菱文組紐が絡むことで、連続性と動感を生み出しています。“ひょうたん”は古来、種が多く実ることから子孫繁栄や富貴の象徴とされ、六つ揃えば“無病息災”の語呂合わせで最上の吉祥図となります。

絵替わりの楽しみ
碗をめぐらせていくと、金地・銀地・素地の三種類の瓢箪が交互に現れ、光の当たり方によって輝きが変化します。亭主は一周させながら、「どこに六つ目の瓢が潜んでいるか」を客と語らう余白を演出できます。


3.技法 ― 京焼の華やぎと精緻

金欄手(きんらんで)
金箔に見える輝きは、真金を含む上絵具を低温(約800℃)で焼き付ける「金欄手」。光沢が釉面に半ば溶け込み、剥落しにくい堅牢さを持ちます。

色絵の重ね盛り
瓢内部の松は緑青と黄土で二段階に盛り上げ、立体感を強調。細線は鉄絵の具で繊細に描き、筆致のゆらぎを抑えて端正な輪郭を保っています。

貫入の取り合わせ
絵付の下に走る貫入が金彩の煌めきを受け止め、光の加減で網目がほのかに浮かび上がる“静と動”の対比を作り出しています。


4.茶席での機能美

見込みの白と緑の呼応
内側はほぼ無地の淡青釉で統一され、抹茶の緑が鏡面のように映えます。茶筅の当たりが滑らかで、泡立ちがきめ細かく整います。

吉祥を授ける語り
六瓢の意匠は、初釜や誕生日、快気祝いなど、慶事の茶席で格別の意味を持ちます。亭主は器を回しながら「瓢は秀吉公の馬印、また千利休が水筒に用いた道具」といった逸話を添え、客人との対話を深めることができます。


5.文化的背景と現代性

瓢箪は安土桃山期以降、茶道具や能装束の文様として盛んに用いられましたが、本作はさらに松・竹・梅を瓢内に描き込むことで、吉祥の重奏を実現しています。尾西楽斎様は伝統的“金襴手京焼”の語法を踏まえつつ、淡青釉というモダンな色調を採用し、軽やかさと典雅さを併せ持つ現代的茶碗へと昇華させました。

六つの瓢箪が連なる躍動感、金彩と淡青釉が織りなす静謐な光彩――本作は「祝福」と「静寂」を同時にたたえる稀有な茶碗です。茶席に据えれば、客は一碗の中に込められた無病息災と繁栄の祈りを感じ取り、めでたき物語とともに一服の抹茶を味わう至福のひとときを享受することでしょう。

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