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薬師寺東塔基壇土 勾玉蓋置 尾西楽斎

薬師寺東塔基壇土 勾玉蓋置 尾西楽斎

通常価格 ¥55,000
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幅 : 7.5cm×5.0cm 高さ : 2.5cm

薬師寺東塔基壇土 勾玉蓋置(やくしじ とうとう きだんど まがたま ふたおき) 尾西楽斎様 作

――千三百年の大地が孕(はら)む“いのちの珠”を、炉辺の一点に――

1.作品概要

本作は、法相宗大本山・薬師寺東塔の解体修理(2009–2020)で採取された基壇土を母胎とし、奈良・赤膚焼の八代 尾西楽斎様 が挽き上げられた勾玉(まがたま)形の蓋置です。掌に収まる滑らかな曲線と、素地のざらりとした荒土肌が古代土器を思わせ、頂部に置かれた一点の金箔が陽光にも似た輝きを添えています。

2.造形・釉調

形態:縄文期以来の勾玉を翻案し、茶杓の柄と釜蓋の掛かりを安定させる扁平な“返し”を持たせた実用設計。

素材感:釉を掛けず還元焼成することで、基壇土に含まれる鉄分が赤褐に発色。随所に石英粒が煌めき、1300 年の地層をそのまま感じさせます。

金箔の一点:太陽(陽)を象徴する装飾で、勾玉が担う“月(陰)”との対比により陰陽和合を示唆します。

3.基壇土を用いる意義

薬師寺東塔は「凍れる音楽」とも謳われる国宝三重塔で、基壇土は白鳳期の僧工が塔心柱を支えるために突き固めた聖土です。長年の湿潤で熟成した粘土は可塑性と鉄分を兼ね備え、名だたる陶芸家たちが作品化に挑む“奇跡の土”とも呼ばれています。

4.勾玉モチーフの文化的背景

勾玉は縄文中期より隆盛し、『古事記』には三種の神器の一つ「八尺瓊勾玉」として登場します。胎児・月・魂を象徴し、再生・護符・調和の意を担うとされ、茶の湯では「生命を育む場=炉」を鎮護する瑞形として蓋置や香合に採り上げられてきました。

5.茶席での取り合わせ

趣向・時季 軸/花 余情
初炉(立冬) 軸「陰陽交感」、花:山茶花 伽羅片 炉火と月珠の対比で“陰陽開合”を演出
春待ち(大寒) 軸「胎動」、花:寒梅 練香「瑞雲」 胎児=勾玉の連想で再生を祈念
観月茶事 軸「月白風清」、花:薄・藤袴 白檀+龍脳 月=勾玉・金箔=日を配し、陰陽円融を示す

6.尾西楽斎様の作陶姿勢

尾西楽斎様は「奈良の記憶を掌上に」を理念に、鹿・梵鐘・鴟尾に続き、今回は歴史そのものを宿す基壇土勾玉の生命的象徴を重ね合わせる試みに挑戦されました。釉を排し土味を際立たせることで、焼成炎と1300 年の熟成が織りなす“生土(しょうど)の息吹”を存分に感じ取れる仕上がりとなっております。

7.まとめ

薬師寺境内の土100%使用、不純物を徹底除去した本作は、澄明な美しさが特徴。悠久の時を経た土は均質で、焼成により濁りのない艶と、焼締めでは古瓦のような穏やかな色合いを呈します。滑らかな肌理と歪みにくさも魅力。千三百年の歴史を宿す土の物語が、手に取るたびに安らぎを与えます。素材と美しさ、精神性を兼ね備えた特別な作品です。薬師寺東塔基壇土 勾玉蓋置は、遠い昔から続く祈りと命の循環を、静かな赤土と金の輝きに封じた逸品です。柄杓と釜蓋をそっと掛けるたび、勾玉の曲線に宿る霊妙な気配が茶室を満たし、亭主と客人に悠久の時を語りかけてくれることでしょう。

尾西楽斎様との対談 – 高級陶器の専門店【甘木道】

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