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31石臼香合 尾西楽斎

31石臼香合 尾西楽斎

通常価格 ¥44,000
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幅 : 6.4cm×6.4cm 高さ : 6.0cm

石臼香合(いしうす-こうごう) 尾西楽斎様 作

――碾(てん)じ茶の香を挽き出す、掌上の水磨――

1.作品概説

本作は奈良・赤膚焼(あかはだやき)の八代 尾西楽斎様 が手掛けられた石臼形の香合です。径およそ6.4センチ、高さ6センチほどの小品ながら、挽き臼の上石(うわいし)・下石(したいし)・脚台(あしだい)の三層構成を忠実に写し取り、上石部分が蓋となって練香や伽羅片を収める構造になっています。

2.造形と意匠

構成部位 意匠の特徴 覑賞ポイント
上石(蓋) 目切り(石目)の筋彫りを放射状に施し、中央に溝(川)を二本走らせる 茶臼の“目立て”を思わせる条痕が柔らかい釉層に陰影を生み、指先に心地よい滑りを与えます。
下石(胴) 緩やかな半球形で挽き臼の外周を模写 わずかに括(くび)れる腰が、掌の中での据わりを良くし、安定した開閉を可能にしています。
脚台 円筒形で轆轤目を残す 茶臼台の粗朶(そだ)を暗示し、全体の重心を低く保って倒れにくい設計です。

3.釉調と技法

淡黄灰釉(たんこうかいゆう)
長石と木灰を主体とした釉を全面に掛け、1240 ℃前後で還元焼成することで柔らかな蜂蜜色が発色しています。焼成中に生じた貫入(かんにゅう)が微細な網目を描き、石臼の粗面を思わせる景色となりました。

赤膚土の肌合(はだあい)
胎土に含まれる鉄分が釉層を透かしてほのかな赤味を帯び、石粉が混ざる荒い質感と相俟(あいま)って、使い込まれた挽き臼の侘びを表現しています。

成形
轆轤(ろくろ)で脚台と胴を一体成形し、半乾きで蓋身を糸切り分割。さらに蓋表面に目切りを施してから素焼きを行い、目彫りのシャープさを保持しています。

4.石臼と茶の湯

碾茶(てんちゃ)を挽いて抹茶を作る石臼は、**点前の源流を支える“裏方の主役”**です。臼の回転がもたらす微粉化は、茶の香と甘みを最大限に引き出す要諦であり、茶の湯の世界では「臼が止まれば道も止まる」とさえ言われてきました。鎌倉〜室町期に禅院で抹茶法が確立して以降、石臼は禅・茶・農の結節点として尊重され、香合の意匠としても江戸前期から好まれています。

5.茶席での取り合わせ

季節・趣向 軸・花 演出意図
初釜・卯月炉塞ぎ 軸「和敬清寂」、花:雪柳 練香「瑞雲」 新粉の抹茶を連想させ、瑞々しい門出を祝う
新茶摘みの頃(皐月) 軸「万緑叢中」、花:杜若 白檀+龍脳 新芽の香りに石臼の音を重ね、製茶への感謝を表現
口切り(霜月) 軸「実事求是」、花:山茶花 伽羅片 新旧の茶を繋ぐ臼の働きを示し、口切りの厳粛さを高める

6.尾西楽斎様の作陶理念

尾西楽斎様は「奈良の歴史と吉祥を掌上の茶陶へ」という信条を掲げ、鹿・梵鐘・鴟尾など大和ゆかりの題材に加え、茶の本分を象徴する石臼にも意欲的に取り組まれています。本作では赤膚土の温かい肌合い石臼の素朴な機能美を調和させ、掌に包むだけで碾茶のリズムが聞こえるような情趣を創出しました。

7.まとめ

「石臼香合」は、抹茶の源を担う石臼を掌に凝縮し、香煙とともに茶の原点を想起させる逸品です。蓋を開くたび、静かに立ちのぼる香が臼の回転を思わせ、客人に“茶を挽く時空”を体感させてくれることでしょう。尾西楽斎様ならではの端整な造形と赤膚焼の柔和な釉景を、季節折々の茶席でぜひお楽しみくださいませ。

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