鉄釉割木紋茶碗 　尾西楽斎

幅 : 12.5cm   高さ :9.5cm

尾西楽斎様による鉄釉割木紋茶碗は、赤膚焼きの伝統に根ざしつつも、独創的な技術とデザインが際立つ作品です。この茶碗は鉄釉を使用しており、その施釉や焼成の手法によって生み出される多様な表情が特徴です。技術の粋が詰まった逸品であり、正面から45度傾けると驚くほど呑みやすくなる不思議な形状が最大の魅力です。

鉄釉の魅力と焼成の妙

鉄釉はその深い色合いと、施釉・焼成の過程で現れる微細な変化が魅力の釉薬です。この茶碗において鉄釉の持つ力強さと繊細さを見事に引き出しています。内側にのみ鉄釉を施し、滑らかで光沢のある仕上がりにする一方で、外側は焼き締めによる力強い質感を保ち、茶碗全体にバランスの取れた美しさを与えています。

ユニークな形状と割木紋の表現

この茶碗の造形は非常にユニークで、正面から45度傾けることで驚くほど呑みやすくなる形状が魅力です。この工夫されたデザインは、尾西楽斎様の独創的なアプローチを象徴しており、使用者に新しい体験を提供します。さらに、赤松の割り木を叩きつけて形を作り出す技法は、茶碗全体に勢いのある線を生み出し、自然の力強さを感じさせます。

赤膚焼きの伝統と革新

赤膚焼きの伝統的な技法を受け継ぎつつも、尾西楽斎様は新たな表現を探求しています。内側だけに釉薬をかけ、外側は焼き締めにすることで、視覚的にも触覚的にも楽しめる対比が生まれています。割木を用いた独特の模様と、鉄釉の深い色合いが一体となり、茶碗に豊かな表情を与えています。

力強さと繊細さの共存

茶碗の表面には、割木を叩きつけることで生じる力強い線が見られ、その模様は自然の生命力を象徴しています。この力強さを繊細な釉薬の美しさと融合させることで、茶碗に特別な存在感を持たせています。茶碗の持つ力強さと繊細さの共存は、まさに技術の高さを物語っています。

特別な茶の湯の時間を演出

鉄釉割木紋茶碗は、茶の湯の時間を一層特別なものにする力を持っています。45度傾けた時の呑みやすさ、鉄釉の深い魅力、そして割木紋の力強い模様が、使用者に特別な体験をもたらします。この作品は、日常の中に特別なひとときを提供し、その独特の形状と質感が長く愛されることでしょう。

この鉄釉割木紋茶碗は、赤膚焼きの伝統と創造性が融合した、唯一無二の作品です。茶碗のユニークな形状と、鉄釉と焼き締めの見事な対比が、使用するたびに新たな喜びを提供します。３