青瓷盃 多賀井正夫
青瓷盃 多賀井正夫
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幅 : 6.8cm×6.8cm 高さ : 4.7cm
作品概要
本作は、多賀井正夫様による**青瓷ぐい吞**でございます。手のひらにそっと収まる小盃ながら、その佇まいには瑞々しい青磁の魅力と端正な造形美が凝縮されています。酒席はもちろんのこと、茶席における香煎用や飾り盃としても映える、汎用性と品格を兼ね備えた逸品です。
造形
高台付き半球形
胴をやや膨らませた半球形を基調に、口縁から滑らかに丸みを帯びて高台へと収束する端正なシルエットです。やや張りのある口縁が飲み口を心地よく誘い、底部を絞った高台が全体を引き締め、盃としての軽快さと安定感を両立させています。
端縁の鉄巻き
口縁と高台まわりにはわずかな鉄分が発色し、**薄茶濃鉄(うすちゃごてつ)**の線が引き締め効果をもたらします。青瓷の繊細な色調をより際立たせる、静かなアクセントです。
釉調
雨過天青の発色
釉薬は還元焼成下で発色した透明度の高い青磁釉。鉄粉を巧みに制御することで、北宋汝窯を想起させるしっとりとした青—いわゆる「雨過天青」を実現しております。
光沢とゆらぎ
透明層の下にほんのわずかな釉厚の揺らぎがあり、光の当たり具合で淡いグラデーションが浮かび上がります。静かな水面が器肌に宿るかのような風情は、多賀井様が長年探求された焼成温度と冷却速度の絶妙なバランスによるものです。
貫入を抑えた鏡肌
素地と釉の熱膨張率を精緻に合わせることで貫入(かんにゅう)を極力抑制し、青磁特有の鏡面のような滑らかさを際立たせています。口当たりはたいへんソフトで、酒の味を損なわずに引き立てます。
用途と愉しみ方
酒器として
ぐい吞の容量は少量の冷酒をゆっくり味わうのに最適です。青磁の涼やかな色合いは、吟醸酒や夏季限定の生酒といった清冽な酒質を視覚的にも引き立てます。
茶席での香煎・飾り盃
炉開きや七事式などの余情を添える「飾りぐい吞」としても重宝いたします。青瓷の清廉さが床の間の花や掛物の彩りを受け止め、席全体に静謐な空気をもたらします。
インテリアオブジェ
光を柔らかく反射する釉面は、書斎やリビングの棚に置くだけで小さな水景を思わせ、日常空間に静かな潤いを添えます。
歴史的背景
青磁は中国・越州窯に端を発し、北宋期の汝・官・哥・定・鈞の“五大名窯”で洗練を極めました。青磁盃という器種は、宋代の文人趣味と酒文化の高揚を背景に発展し、日本でも鎌倉期以降、禅僧や茶人により珍重されました。桃山期には唐物志向の流れから“青磁盃”が茶道具としても扱われ、茶と酒—二つの嗜みを繋ぐ存在となったのです。本作はその文脈を踏まえつつ、現代の感性に合う端正なフォルムと透明感を獲得しています。
作家略歴と技術
多賀井正夫様は大阪を拠点に活躍される陶芸家で、「現代生活に根差した青瓷」を提唱されています。炉内に設けた微細な通気孔とデジタル温度制御を併用し、長時間の徐冷で釉層を整える独自手法により、淡い青の中に透明感と奥行きを両立させることに成功しました。
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【陶器をご購入の際のお願い】
作品ごとに、出来るだけ詳細をご確認いただけるように画像を掲載しておりますが、ご不明な点はお問い合わせください。
作品の色合いなどは、画像を表示する環境により若干異なることがございますが、ご理解の程お願いいたします。
作品により貫入などによる、茶碗への染み込みが発生することがございますが、それも経年変化の味わいとしてご理解いただきますようお願いいたします。