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25独楽香合 尾西楽斎

25独楽香合 尾西楽斎

通常価格 ¥44,000
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幅 : 8.0cm×8.3cm 高さ : 3.2cm

独楽香合(こま‐こうごう) 尾西楽斎様 作

――くるくると回る瑞祥を、深碧の釉に封じ込めて――

作品概要

本作は奈良・赤膚焼の八代 尾西楽斎様 が手がけられた独楽形の香合です。独楽(独樂)は「物事が円滑に回る」「金運が巡る」「仕事が回る」といった語呂合わせから古くより吉祥玩具とされ、正月や初釜の席で愛用されてきました。
掌に乗るほどの小ぶりなサイズながら、艶やかな深緑釉(銅緑釉)に浮かぶ渦巻文とエッジの金彩が、まるで回転の残像をとどめたかのような躍動感を生み出しております。

造形と意匠

視点 ディテール 見どころ
蓋天(うわぶた) 年輪状に巡る渦巻文 金彩で縁取り、回転の軌跡を視覚化。茶室の淡光の下で微かに反射し、動的な表情を添えます。
胴部側面 独楽の張りとくびれ 胴の膨らみを誇張しつつ腰を絞ることで、安定感と軽快さを両立。
芯(心棒) 方形を二段に切り返した摘み 指掛かりが良く、蓋の開閉を容易にすると同時に、独楽を反転させた際の軸先を想起させます。

釉調と技法

深碧の銅緑釉
赤膚の胎土に長石主体の銅釉を掛け、1240℃前後で還元焼成。釉中の銅が深いビリジアンから夜色(やしょく)の碧へと転色し、部分的に黒みを帯びることで奥行きを生み出しています。

割山椒(われざんしょう)風の貫入
焼成後の急冷により細かな貫入が走り、その隙間に金彩がわずかににじみ込むことで、独楽の回転軌跡を思わせる線描が浮かび上がっています。

手捻り・ろくろ併用
まずろくろで円盤状の胴を引き延ばし、半乾きの段階で手捻りにより渦文を刻出。蓋身を可鍛状にしてから切り離し、合わせ面を研ぎ合わせることで無理なく開閉できる精度を確保しています。

茶の湯における独楽香合

独楽香合は桃山期以降、唐物漆器の代表的意匠として珍重され、堆朱・存星・青貝などと並び「形物香合」の一典型を成してきました。特に漆塗で朱・黄・緑を同心円に塗り分けた“独楽塗”は、書院飾りにも用いられた格式高い図様です。本作はそれを陶胎で再解釈し、赤膚焼特有の温雅な土味とモダンな深緑釉でまとめ上げたものです。

季節と取り合わせ

時季・趣向 道具組の例 演出効果
新春 初釜 軸「一陽来復」、花:若松一枝、釜:丸釜 練香「瑞松」 回転=巡りの吉兆で一年の円満を祈念
端午頃(立夏) 軸「円相」、花:杜若、菓子:ちまき 伽羅片 若武者の“車駒”になぞらえ躍動を強調
名残(霜降) 軸「有為転変」、花:薄・竜胆 龍脳少々 移ろう季節と“回転”を重ね、無常観を演出

尾西楽斎様の作陶姿勢

尾西楽斎様は「奈良の歴史・風趣を現代の茶陶へ」という理念のもと、鹿・梵鐘・鴟尾といった大和の象徴に加え、吉祥玩具である独楽を題材にした作品も意欲的に展開されています。本作では、炎と銅釉が偶然生み出す窯変を“回転の残像”として積極的に活かし、掌サイズの彫塑作品としての完成度を高めておられます。

まとめ

深碧の釉に黄金の渦を宿す「独楽香合」は、円環・循環というポジティブな象徴を茶室へ迎える瑞兆の道具です。蓋を開けば香煙が渦を描きながら立ち上り、独楽の回転が目に見えぬ気流となって茶室全体をやわらかく包み込むことでしょう。尾西楽斎様ならではの造形美と釉景の妙味を、ぜひ季節折々の席でお試しくださいませ。

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