商品情報にスキップ
1 7

ぐい呑み 辰 高橋道八

ぐい呑み 辰 高橋道八

通常価格 ¥33,000
通常価格 セール価格 ¥33,000
セール 売り切れ
税込。 配送料はチェックアウト時に計算されます。
数量

幅 : 6.1cm 高さ : 4.5cm

穏やかな乳白釉の中に、古代象形を思わせる刻文が静かに浮かぶ本作は、九代 高橋道八様による「十二支ぐい呑」シリーズの一作「辰(たつ)」です。
力強くも静謐な造形の中に、瑞祥の象徴としての“龍”の気韻を宿し、京焼の伝統と現代の造形感覚が見事に融け合っています。


1.造形美 ― 凛とした端正、静の中の動

形は胴部にほどよい膨らみをもたせ、口縁に向かって軽やかに開く構成。高台はやや高く、器全体に緊張感と軽やかさを共存させています。
全体のラインは流麗で、手にしたときに自然と中心へと吸い付くような安定感があり、九代様特有の“静中の動”の美が感じられます。


2.釉調 ― 柔らかく光を受ける乳白釉

釉薬はやや厚めの乳白色で、表面には微細な貫入が生じ、光を柔らかく拡散します。
高台まわりには火色がうっすらと現れ、白の中に温かな陰影が生まれています。
見る角度によって淡く釉溜まりが現れ、静かな中に生命の脈動を感じさせる繊細な景色を見せます。


3.意匠 ― 「辰文」に宿る昇華と再生の象徴

口縁下を巡る刻文は、古代文字に由来する「辰(たつ)」を抽象化したもの。
連続する線刻は龍のうねりを思わせ、上昇・躍動・覚醒といった象徴を表現しています。
辰は十二支の中でも唯一の霊獣であり、天を翔ける存在として“再生”や“気の昇り”を意味します。
本作ではその象徴性を、静謐な白釉の中にわずかな動勢として表現しており、見る者に静かな高揚感を与えます。


4.技法 ― 線刻と釉中浮彫の融合

刻文は轆轤成形後、乾燥段階で鉄筆を用いて一筆ずつ丁寧に刻まれています。
釉掛けによって刻線の凹部に釉が薄く入り込み、焼成時の溶融でわずかに光を反射する浮彫のような陰影が生まれています。
釉厚の調整は精密であり、過不足ない線刻の深さが釉中に見事な立体感をもたらしています。


5.歴史的・文化的背景 ― 辰の象徴と器の精神

辰は東方・春・青龍を象徴し、あらゆる生命の芽吹きを司る存在とされます。
古来より龍は水と天を繋ぐ神格として尊ばれ、陶磁器の世界でも力強さと霊性の象徴として好まれてきました。
九代 高橋道八様は、その伝統的象徴を現代的なミニマリズムの中に再構築し、飾らぬ静寂の中に“気の流れ”を感じさせる造形へと昇華されています。


九代 高橋道八様は、服飾意匠を学ばれたのち平成八年に八代様に師事し、平成二十四年に九代を襲名。
伝統京焼の文様美を継承しつつも、線・釉・形のバランスを極限まで研ぎ澄ますことで、現代の空間に調和する器を追求されています。

本作「ぐい呑 辰」は、乳白釉の静けさの中に、龍の息吹を思わせる刻文がわずかに揺らめく逸品。
掌に包むとき、まるで天へ昇る気が内側から立ち上るような力強さを感じさせます。
酒器としての品格と精神性を兼ね備えた、まさに“気韻生動”のぐい呑です。

 

詳細を表示する
  • 【丁寧に、お送りいたします】

    それぞれの商品に合った形態で、丁寧に梱包いたします。

    また、作品(器など)により、納期は変わります。

    作品の引渡時期は、ご注文確認後、共箱準備済み作品は7営業日以内に出荷させていただきます。共箱を新たに製作する作品は45営業日以内に出荷させていただきます。

    いずれも、ご注文を確認いたしましたら、当店より納期をメールにてご連絡いたします。

    梱包のこだわりについて

  • 【陶器をご購入の際のお願い】

    作品ごとに、出来るだけ詳細をご確認いただけるように画像を掲載しておりますが、ご不明な点はお問い合わせください。

    作品の色合いなどは、画像を表示する環境により若干異なることがございますが、ご理解の程お願いいたします。

    作品により貫入などによる、茶碗への染み込みが発生することがございますが、それも経年変化の味わいとしてご理解いただきますようお願いいたします。

    作品の取り扱いについて