鉄釉割木紋茶碗 　尾西楽斎

幅 : 13.5cm   高さ :10.0cm

鉄釉割木紋茶碗は、尾西楽斎様の卓越した技術と独自の感性が融合した作品です。こちらの茶碗は、鉄釉を用いた独特の技法が施されており、赤膚焼きの伝統を尊重しつつも、新たな表現を追求したものです。釉薬と焼成の仕方によって大きく変化するため、腕前が存分に発揮されています。

鉄釉の深い魅力

鉄釉は、その施釉や焼成のプロセスによって、多様な表情を見せる釉薬です。その変化を巧みにコントロールし、茶碗に深い味わいを持たせています。内側には鉄釉が施され、滑らかで光沢のある表面が、茶碗全体に重厚感を与えています。一方、外側は素朴で力強い質感が特徴で、茶碗を手に取ると、その独特の触感が伝わります。

割木紋の力強さと造形の美しさ

この茶碗の造形は非常にユニークで、赤松の割り木を叩きつけてくりぬく手法が用いられています。割木を叩きつけることで生まれる勢いのある線が、茶碗全体に力強い印象を与えています。この手法により、茶碗は自然の力強さと尾西楽斎様の巧みな技術を感じさせる、独特な作品に仕上がっています。

内外の対比と赤膚焼きの伝統

内側にのみ鉄釉をかけることで、滑らかで光沢のある内面と、焼き締めによる外面の対比が生まれます。この対比が視覚的にも触覚的にも楽しめる茶碗となっており、使うたびに新たな発見をもたらします。赤膚焼きの伝統を継承しつつ、独自の感性が加わったこの茶碗は、まさに芸術と実用が融合した逸品です。

割木模様の象徴的な美しさ

実際に燃やす割り木の模様は目が詰まっておらず、燃えやすさを示していますが、茶碗の表面に残る線はその勢いと生命力を象徴しています。叩きつけて生まれる線は、力強さと自然の美しさを茶碗に封じ込めています。この模様を通じて、茶碗に特別な存在感を持たせています。

特別な茶の湯の時間を演出

この鉄釉割木紋茶碗は、茶の湯の時間を特別なものに変える力を持っています。茶碗の中に広がる鉄釉の深みと、外側の焼き締めの力強さが、使用者に深い満足感を与えます。尾西楽斎様によるこの作品は、日常の中に特別なひとときをもたらし、その独特の造形と質感が長く愛されることでしょう。

尾西楽斎の鉄釉割木紋茶碗は、赤膚焼きの伝統と新しい技法が融合した、唯一無二の作品です。内外の対比や割木紋の勢いある模様が、茶碗に特別な魅力を与え、使うたびに新たな喜びを提供します。２