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茶挽き香合 尾西楽斎

茶挽き香合 尾西楽斎

通常価格 ¥77,000
通常価格 セール価格 ¥77,000
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幅 : 6.0cm×5.0cm 高さ : 4.7cm

茶挽き香合 ― 尾西楽斎

作品概要

こちらは、石臼で茶葉を挽く姿を題材にした香合でございます。上部の人物像が蓋、臼と敷板が身となり、二つを合わせると一体の彫像として完結いたします。尾西楽斎様ならではの軽妙な造形と柔和な釉調によって、茶の湯の原点ともいえる“茶葉を挽く所作”が温かみに満ちたオブジェへと昇華されています。


1.意匠──「茶の原風景」を映し出します

人物像
かがみ込んで石臼を回す僧侶(あるいは侍女)を写実的に造形しつつ、顔や手は最小限の筆致でまとめることで、鑑賞者の想像を誘います。

臼と敷板
臼は円筒形、敷板は舟形に作り分け、蓋を閉じると一体となって小卓に見える構成です。これは「香を挽(ひ)く=香りを立ち上げる」の象徴でもあり、茶挽きの動作と香を焚く所作を重ね合わせています。

佇まい
全体を低く構えた安定感のあるシルエットが、床の間や脇床に据えた際に落ち着きを与えます。


2.釉調と彩色──柔らかな白と鉄斑の対比です

人物部
長石主体の乳白釉を掛け、還元焼成で淡い青味を帯びさせております。ところどころに現れる鉄斑が、白衣の古色を思わせる景色を生んでいます。

臼・敷板
褐鉄釉を薄く流し掛け、木質感と年季を表現しています。わずかな光沢が湿し灰を連想させ、香合としての機能を視覚的にも補強しています。


3.技法──手捻りと低火度上絵の調和です

一体手捻り
荒土の塊から人物と臼を一続きに成形し、乾燥後に鋸状に切り離して蓋身を仕立てる“割り出し”技法を採用。

白化粧の刷き付け
素地表面に掛けた白泥が、焼成時にところどころ縮れて古陶のような風合いを生み出しています。

低火度上絵
髪や眼には鉄釉を点描し、750〜800℃で定着させることで、剥落しにくい穏やかな光沢を得ています。


4.茶席での取り合わせ──季節と趣向に幅広く寄り添います

初春〜新茶の頃
茶葉が芽吹く季節に「茶を挽く」情景を取り上げることで、“新しき香”を祝う趣向が際立ちます。

濃茶点前
抹香ではなく沈香・伽羅を細かく砕いた「香合せ」の趣向とも相性が良く、茶を練る所作と呼応いたします。

語らいの種
客に向けて「粉末茶が点前に採り入れられる以前は臼挽きであった」などの逸話を添え、自然と対話が広がります。


5.文化的・象徴的意義

茶の湯史において、石臼で茶葉を挽く行為は禅寺の薬石・修行と深く結び付いておりました。香を薫じることもまた心身を整える修行の一端です。本香合は、その二つの“磨(す)り”の所作を造形化することで、「研鑽」と「浄化」の象徴を一座へ呼び込みます。尾西楽斎は柔らかな写実と淡彩で、厳しい修行をあえて親しみやすい姿に置き換え、現代の茶室に和やかな空気をもたらしています。

白衣に鉄斑が散る僧侶が静かに臼を回し、香合としては清らかな香を抱く――尾西楽斎作「茶挽き香合」は、茶と香、修行と和みを同時に語る稀有な道具でございます。床に置けば客の視線をそっと集め、香を薫じれば悠久の茶の原風景がふわりと立ち上がることでしょう。

尾西楽斎様との対談 – 高級陶器の専門店【甘木道】

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