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鶴香合 尾西楽斎

鶴香合 尾西楽斎

通常価格 ¥44,000
通常価格 セール価格 ¥44,000
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幅 : 7.2cm×4.0cm 高さ : 4.5cm

尾西楽斎様による本作は、瑞鳥として知られる「鶴」をモチーフにした香合でございます。角度をつけた多面体的な造形と、最小限の筆致による抽象化が巧みに融合し、可憐さと端正さを併せ持つ意匠に仕上がっています。以下、五つの観点から本作の魅力を詳しくご紹介いたします。


1.造形美 ― 多面体フォルムの洗練

彫塑的フォルム
胴部から尾端にかけてシャープな面取りが施され、光が当たるたびに面が細やかに反射いたします。これにより、鶴の羽ばたきを静止した姿でありながら感じさせる動感が生まれています。

安定感のある低重心
底部は広めに設計され、香炭点前中に蓋の開閉を繰り返しても倒れにくい実用的構造となっております。

首から嘴への稜線
首筋は直線的に持ち上がり、嘴(くちばし)へと自然に繋がる一本の稜線が、写実と抽象の均衡を保ちつつ鶴の気品を表現しています。


2.釉調・彩色 ― 静謐な白と象徴色の配置

柔白釉(にゅうはくゆう)の肌合い
素地を包む釉はごくわずかに桃色を含む乳白色で、還元焼成による微細な貫入がほのかな陰影を作り出しています。

頭頂の丹頂紅
鶴の象徴である丹頂は朱系顔料を一点置きし、周囲を盛り上げることで立体感と艶を強調しています。

嘴と尾羽の墨描
鉄系黒釉で大胆に引かれた嘴と、尾羽に施された刷毛目の黒は、全体の静けさに冴えた緊張を与え、画面の重心を整える役割を果たしています。


3.技法 ― 手捻り成形と上絵焼成

一体手捻り
胴体を塊状に手捻りし、削りによって多面体状の面を成形。彫跡をあえて残すことで、素地の荒さと作者の息遣いを可視化しています。

二度素焼き・透明釉掛け
成形後に素焼きを二度行い、釉薬の吸水度を安定させてから透明釉を掛けることで、釉面が均一な光沢を帯びています。

低火度上絵
赤・黒の上絵は750〜800℃で焼成し、色彩の鮮度と耐久性を確保。特に嘴の筆線には絵付け筆を素早く返す“かえし筆”が用いられ、キレのある線描を生んでいます。


4.茶席での機能性

容量と気密性
内部は浅めの皿形で香木や練香を収めやすく、嵌合部の切り合わせが精巧で、蓋を回すと軽く吸い付く程度の気密性を保っています。

取り合わせの広がり
鶴は長寿・瑞祥の象徴であり、正月の初釜や還暦・喜寿の寿ぎ席はもちろん、秋の観月や春の花見など幅広い趣向に適合いたします。

持ち運びの容易さ
面取り構造により指掛かりが良く、位置決めが自然に行えるため、蓋置き・香合を連動させた複雑な点前にも対応可能です。


5.文化的・象徴的意義

鶴は『古事記』や『万葉集』にも詠われ、平安貴族の障屏画や能装束の文様としても隆盛した瑞鳥でございます。特に丹頂鶴は「天上界の霊鳥」として、先触れの雲間を導く存在と見做されてまいりました。本作はその崇高さを極度に抽象化することで、

古典性(伝統的瑞鳥)と現代性(ミニマルなフォルム)の双方を兼ね備え、茶の湯における「継承」と「刷新」を象徴的に示しております。小ぶりながら多面体の稜線が織り成す光のリズム、丹頂と墨描のわずかな彩色がもたらす緊張、そして香を包み込む静謐な白――尾西楽斎様の鶴香合は、掌に載せた瞬間から茶室に清らかな気配を呼び込む逸品でございます。茶席に据えれば、客人は漂う香りとともに瑞祥の鳥を愛で、佳き縁起を分かち合うひとときを堪能することでしょう。

尾西楽斎様との対談

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