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呉須香炉 藤平伸

呉須香炉 藤平伸

通常価格 ¥330,000
通常価格 セール価格 ¥330,000
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税込。 配送料はチェックアウト時に計算されます。

幅9cm ×9cm 高さ19cm

藤平寧様との対談

幻想的な「呉須香炉」の美しさ

「呉須香炉」は、陶芸家・藤平伸様による詩情豊かな作品であり、その形状はまるで絵本から抜け出した塔のような幻想的な姿をしています。四角く細長いフォルムには、端正さと温かみが共存しており、どこか懐かしさを覚えるデザインです。
また、表面には淡い呉須の釉薬が垂れるように施されており、透明感のある青が美しく輝いています。この青の色味は、光の当たり方や視点によって微妙に表情を変えるため、永遠に鑑賞していたくなる魅力を備えています。土そのものの優しい質感も作品全体に柔らかな印象を与えており、土の色と呉須の青が完璧に融合した姿が、この香炉の大きな特徴です。

「呉須香炉」は、そのシンプルでありながらも詩的なデザインによって、玄関やオフィスのデスク、リビングルームなど、どのような場所にも自然に溶け込みます。実用性と美術品としての価値を兼ね備えたこの作品は、藤平伸様がいかに日常と芸術を結びつけることに長けていたかを物語っています。


呉須とは:陶芸を彩る青の魔法

呉須(ごす)は、陶磁器の下絵付けに用いられる伝統的な青色顔料です。その主成分は酸化コバルトであり、鉄やマンガン、ニッケルなどの微量元素を含むことから、焼成によって藍青色や紫青色の鮮やかな発色を生み出します。この青色は日本の陶磁器の歴史において重要な位置を占め、特に有田焼や波佐見焼の染付技法において欠かせない素材です。

呉須には大きく分けて天然のものと合成のものがあります。天然呉須は「呉須土」として鉱山から採取され、含有される成分のバランスによって自然な味わいが特徴です。一方、合成呉須はコバルトを主体とした化学的な調合によって作られますが、天然に比べて不安定な発色になることがあります。その不安定さが逆に「味」として評価されることもあります。

呉須の魅力は、絵付けを行う職人の手仕事と、焼成中に生じる予測不能な変化にあります。一点一点異なる発色は、陶磁器に唯一無二の個性を与え、「同じ作品が二つと存在しない」という特性を持たせます。「呉須香炉」でも、この特性が生かされ、偶然性の中に計算された美が表現されています。


藤平伸:陶の詩人としての独自性

「陶の詩人」として現代陶芸に独自の地位を築いた作家です。京都市五条坂にある製陶会社の次男として生まれた藤平様は、幼少期から陶磁器に親しみ、やがて病気を克服した後に本格的な作陶を開始しました。その作品は単なる器物の枠にとどまらず、彫刻や絵画の要素を取り入れることで、詩的で物語性に富んだ独自の世界観を展開しました。

作風には、中国の古代明器や俑(墓に埋納される副葬品)の影響が見られます。特に「呉須香炉」においては、塔を連想させる形状や優雅な装飾が、中国・唐代の建築様式を思わせる詩的な魅力を漂わせています。さらに、藤平は轆轤(ろくろ)を使わず、手捻りやタタラ成形という自由な技法を用いることで、陶芸における新しい表現を追求しました。硬質でありながらも温かみのある線を持ち、呉須や灰釉といった伝統的な技法を用いながらも、それを超越する現代的な感性を感じさせます。「呉須香炉」もまた、藤平の創造性がいかに多面的であるかを象徴する一品です。


「呉須香炉」の詩情と実用性

この香炉は、陶芸作品としての芸術的価値はもちろんのこと、実用性も兼ね備えています。香炉として使用することで、日常生活の中に穏やかな香りを広げつつ、その美しいデザインが視覚的な癒しを与えてくれます。特に、呉須の青が施された塔のような形状は、空間に幻想的な雰囲気をもたらします。インテリアとしても実用としても、多くの人々に愛されるこの作品は、陶芸がどれほど豊かな可能性を持つかを示しています。「呉須香炉」を鑑賞することは、藤平伸様の陶芸哲学を体感することと同義です。それは、日常の中に詩を見出し、自然と向き合いながら新しい美を生み出すことです。この作品を手にすることで、陶芸の深遠な魅力をより一層感じることができるでしょう。

藤平伸様 来歴
1944 京都高等工芸学校に入学 病気のため中途退学
1945 藤平陶芸にて作陶
1957 第13回 日展にて特選・北斗賞受賞
1960 イタリア・フィレンツェ国際陶芸展
1963 第6回新日展にて菊花賞受賞 京都府文化功労賞受賞
1968 現代陶芸の新世代展 陶芸の現在-京都から展
1970 現代の陶芸ヨーロッパと日本展
1973 日本陶磁協会賞受賞
1974 中南米巡回展
1976 東独巡回日本陶磁名品展
1978 西ドイツ巡回日本陶磁名品展
1982 アメリカ・カナダ巡回展
1983 現代日本の工芸展
1985 現代日本美術の展望展
1990 京都美術文化大賞受賞
1991 京都市文化功労賞受賞

「本作品は未使用の新作です。現在、藤平伸記念館で保管されています。ご購入の際はご子息である藤平寧様が真作の証明として共箱を制作いたします」

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