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練込青瓷捻貫星誕茶盌 諏訪蘇山

練込青瓷捻貫星誕茶盌 諏訪蘇山

通常価格 ¥286,000
通常価格 セール価格 ¥286,000
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幅 : 13.0cm 高さ : 7.0cm

Ⅰ.作品概要

本作「練込青瓷捻貫星誕茶盌」は、白磁・青磁・藍磁・紅磁の四色磁土を幾重にも重ねて芯土とし、轆轤で一気に挽き上げた後、器がまだ柔らかい段階で胴を螺旋状に“捻貫(ねじぬき)”させる――磁器では稀少な二重技法によって生まれた抹茶碗です。遠い星雲から新しい恒星が誕生する瞬間に迸るピンク色の輝きを、練込の紅磁層と捻貫の躍動で可視化し、「星誕(せいたん)」の名を冠しました。


Ⅱ.造形とフォルム

捻貫胴のリズム

胴外面を指で等間隔に締めながら時計回りに捻り、三段の稜線を形成。層状のストライプが斜めに流れ、銀河の渦が立体的にうねる景を生んでいます。

端反りの口縁

口縁はごく僅かに外反し、茶筅捌きを妨げません。縁取りに現れる紅磁層が夜空に走る新星の閃光を暗示します。

浅めの見込みと高台

見込みは浅く開き、練込と捻貫の螺旋が底へ向かい静かに収束します。高台は低めに削り、外へわずかに広がる形状で掌への収まりを高めています。高台脇に覗く紅磁層が、星誕の熱量を示唆しています。


Ⅲ.練込×捻貫技法と釉調――星雲を抱く層と螺旋

四色磁土の層構成
白磁・青磁・藍磁・紅磁を順に板状へ延ばし、幾十にも重ねて円筒に巻き、芯土として轆轤成形。回転に伴い層がストライプを描き、さらに捻貫で斜めに歪むことで、平面では得られない立体的な渦が誕生します。

透明青磁釉のヴェール
成形後は透明度の高い青磁釉を全面に掛けて、還元焼成。釉層がガラス質の膜となって内部の層模様を包み込み、光を受けて深い奥行きを与えます。藍磁層は宇宙の深遠を、紅磁層は新星の閃光を示し、青磁層が全体を澄み渡らせています。

釉肌の触感
釉面は微細な凹凸を残さず、指先にしっとりと吸い付くような感触。視覚の渦と層を楽しみつつ、肌理の静けさが手のひらを通じて心を落ち着かせます。


Ⅳ.茶席での取り合わせと機能美

季節 推奨主菓子 茶盌との相乗効果
花見団子・桜餅 紅磁層が花霞を思わせ、淡紅の菓子を柔らかく引き立てます
若鮎・葛饅頭 青磁・藍磁層が涼感を強調し、透明菓子の清涼を映します
月見団子・紫芋羊羹 藍磁層が夜空を深め、紅磁層が昇る月の光を暗示します
雪平・椿餅 白磁層が雪景色を連想させ、抹茶の緑が生命の兆しを際立てます

抹茶との調和
抹茶の鮮やかな緑が螺旋層に浮かび上がり、茶碗内部に“宇宙の核”が誕生したかのような視覚効果をもたらします。

照明効果
行灯や蝋燭の暖色光を当てると、紅磁層がほのかに輝き、藍磁層が星空の深みを強調。夜席では特に幽玄な景色が際立ちます。


Ⅴ.技法的・歴史的意義

捻貫の稀少性

捻貫は本来、轆轤挽きの陶胎を柔らかいうちに胴を捻って波状稜線を作る技巧で、可塑性の高い陶土向きとされます。磁土での成功例は極めて少なく、練込層を壊さず均一に捻るには高度な湿度管理と指圧制御が必須です。

練込青磁の深化

初代 諏訪蘇山様 の単色青磁を礎に、四代は多層化と捻貫による動的表現を導入。星誕シリーズは、青磁の静謐さと宇宙的躍動を両立させた現代青磁の新局面と位置づけられます。

紅磁発色の挑戦

紅磁層のピンクは銅発色。還元焼成での安定化が難しく、層が薄いと失色しやすい欠点があります。本作では銅量をに抑え、淡く柔らかなピンクを実現しています。


Ⅵ.作家略歴と制作姿勢

四代 諏訪蘇山様(1970年京都市生まれ)は、三代 諏訪蘇山様 と塗師・十二代 中村宗哲様 の薫陶を受け、2002年に四代を襲名。青磁研究を基軸に、蛍手・飛青瓷・練込青磁など多彩な技法を駆使し、「作品には物語を宿し、使い手の心と重なって完成する」という理念を掲げておられます。本茶盌では「星雲から新星が生まれる瞬間の躍動」を捻貫の螺旋に託し、点前のひとときに宇宙の息吹を届けたいとの思いが込められています。


Ⅶ.結語

「練込青瓷捻貫星誕茶盌」は、翡翠色の静けさの中に藍の深遠と紅の閃光を抱き込み、さらに捻貫の螺旋で星雲の渦を立体化した逸品です。抹茶を注げば緑の光が星誕の渦に溶け込み、茶席に無限の宇宙を呼び込みます。四代 諏訪蘇山様 の卓越した技術と詩的感性が結晶した本作は、豪華さではなく品位と躍動で場を包み込み、見る者の心に新たな希望と星の誕生を想起させてくれることでしょう。

 

四代諏訪蘇山 略歴

1970年 京都市に生まれる 父 三代 諏訪蘇山・母 十二代 中村宗哲 三女
1988年 京都市立銅駝美術工芸高等学校漆芸科卒業
1992年 成安女子短期大学造形芸術科グラフィックデザインコース映像専攻卒業・専攻科修了
1996年 京都府立陶工高等技術専門校成形科・研究科修了
1997年 京都市伝統産業技術者研修陶磁器コース本科修了 父と共に陶磁器の制作活動 各地にて中村宗哲展に出品、哲公房に参加
2002年 四代諏訪蘇山を襲名
現在 各地にて諏訪蘇山展を開催
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