茶盌黒釉金白鶴 高橋道八
茶盌黒釉金白鶴 高橋道八
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幅 : 12.1cm 高さ : 7.98cm
茶盌黒釉金白鶴 ―― 九代 高橋道八様
九代 高橋道八様(昭和48年〈1973年〉/八代次女)の手になる本作は、漆黒の釉面に金・白で舞う鶴文様が際立つ華麗な茶盌でございます。以下、五つの観点と作家略歴を交えつつ、その魅力を改めてご紹介いたします。
1.造形美 ― 端正さと女性作家ならではの柔和
本作は、抹茶がふくよかに点てやすい絶妙な量感を備えています。ろくろ挽きで成形された胴は品格ある円筒形を基調としつつ、口縁へかけてわずかに開く曲線が柔らかな印象を演出。高台はすっきりとやや高めに切りそろえられ、白素地とのコントラストが全体を引き締めています。
2.釉調 ― 漆黒に浮かぶ油滴文
黒釉は単なる漆黒ではなく、酸化・還元を巧みに切り替えた焼成により微細な油滴文が全面に浮かび上がります。室内光を受けたときのさりげない輝きは、茶室の薄明かりにおいて特に美しく、抹茶の緑をドラマティックに引き立てます。
3.意匠 ― 金鶴・白鶴の群舞
胴部を巡る鶴は、吉祥と長寿を象徴する古典的モチーフです。上絵金彩で描かれた金鶴が中心で、羽ばたいた上絵の白鶴が取り囲む構図は、慶賀の席を想起させる華やぎを生み出します。九代様の確かなデッサン力が、ミニマルな線描で鶴の優雅さを余すところなく表現しています。
4.技法 ― 上絵の白に金彩の二重奏
上絵の白に金彩を施し、低温で再度焼き付けて定着させています。黒釉の上に施された上絵の白の発色はムラになりやすく、剥離のリスクも伴います。特に、鶴の繊細な線描を均一な白で表現するには熟練の筆技が不可欠です。さらに、定着させた白い絵柄の上に金彩を重ねるには、筆圧や焼成温度の精密な管理が求められ、二度の焼成による歪みにも注意が必要です。九代 高橋道八様の長年の経験と高度な技術があってこそ、九代様の研鑽と経験が光ります。
5.歴史的背景と作者略歴
高橋道八家は江戸後期以来、京焼色絵の名門として知られます。九代様は京都文教短期大学 服飾意匠学科デザイン専攻を経て、京都府立陶工高等技術専門校 成形科・研究科、さらに京都工業試験場本科で技術基盤を固められました。
平成8年(1996年) 八代道八様(父)に師事し、本格的に作陶を開始
平成24年(2012年) 九代 高橋道八を襲名
服飾デザインで培われた造形感覚と、京焼の伝統技法が交差する作風は、道八家に新たな風を吹き込み、現代茶席やギャラリー空間にも映える洗練を示しています。
本作は、漆黒の釉面に金と白の鶴が舞うことで、視覚的な荘厳さと用の美を兼ね備えた逸品でございます。手取りは軽やかで、黒釉のしっとりとした肌理と金線の微細な段差が指先を楽しませ、点前の所作を一層豊かに演出いたします。晴れの茶会はもちろん、日常の稽古であえて用いることで、茶室をたちまち祝祭の空気へと誘う力を秘めています。どうぞ末永くご愛玩いただき、九代 高橋道八様の創意と伝統が織りなす雅趣をご堪能くださいませ。
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作品ごとに、出来るだけ詳細をご確認いただけるように画像を掲載しておりますが、ご不明な点はお問い合わせください。
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作品により貫入などによる、茶碗への染み込みが発生することがございますが、それも経年変化の味わいとしてご理解いただきますようお願いいたします。