伊賀窯変耳付花入 柳下季器
伊賀窯変耳付花入 柳下季器
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幅11.8cm 高さ26.7cm
― 自然と意図が融合した、力強い花の舞台 ―
伊賀焼の歴史と技法を深く学び、現在は伊賀市に築いた「神田窯」を拠点に活動する柳下季器様による《伊賀窯変耳付花入》は、桃山期から伝わる伊賀の造形美を今に生かした作品です。焼成中の「窯変」によって表面に多彩な色彩や質感が生じ、厚みのある耳(取手)の存在感と相まって、花を生けるための器として独特の力強さと深みを備えています。
伊賀焼特有の“窯変”が生む景色
伊賀焼は、高温の薪窯でじっくりと焼成される中で、薪の灰が降りかかり緑色のガラス質を生じたり、土中の成分によって赤みや黒みが入る“火色”“焦げ”が現れたりすることが特徴です。本作も同様に、器表面には灰の溶融が織りなす緑のガラス質や、焼け焦げたような濃淡が点在し、見る角度によって様々な表情を見せます。この“偶然と必然の境界”がもたらす自然な変化が、素朴な中にも豊かな景観を生み出しています。
耳付きのフォルム――機能と装飾の調和
花入の両脇に取り付けられた耳(取手)は、古伊賀や古信楽など桃山期の茶陶によく見られる意匠です。元来、取り回しや吊り下げの機能を持つ一方、作品のフォルムを大きく左右するポイントにもなります。本作では、胴部の丸みを引き締めるように耳が配置され、花入全体に力強い輪郭を与えています。土の荒々しさを活かしながらもバランスを崩さないように造形されており、「土味」と「茶陶の機能性」の両面を感じさせる仕上がりです。
土の存在感――伊賀の風土が育む素材
伊賀焼は古琵琶湖層の強靭な粘土を用いることで知られます。焼成後もわずかに残る小石や砂粒が、器表面に個性的なテクスチャーをつくり出し、見る者の視線と触感を同時に引き寄せます。柳下季器様の花入もまた、この土の特徴を積極的に活かし、釉薬の流れや窯変の色合いと相まって、素朴でありながら複雑な表情を見せています。
柳下季器の理念――伝統を踏まえた現代の伊賀焼
桃山時代に花開いた伊賀焼の大胆な造形や侘び寂びの精神を根底に据えながらも、あくまで現代の視点を通じて再解釈しています。本作《伊賀窯変耳付花入》では、古伊賀に見られる“荒々しさ”と“機能性”の融合を踏襲しつつ、使う場面に応じた大きさや安定感、そして炎との対話を通じた新しい窯変表現を加味しています。
その結果、伝統に則った重厚な存在感と、今の生活空間にも自然に溶け込むバランスが両立している点が注目されます。
《伊賀窯変耳付花入》は、伊賀焼特有の窯変による色彩と質感、そして“耳付き”という伝統的意匠によって生まれる力強い輪郭を兼ね備えた作品です。
花を生ければ、その佇まいに自然の息吹が添えられ、素朴でありながら深みのある景色を楽しめるでしょう。柳下季器様の手から生まれた“現代の古伊賀”は、過去と現在を結びつつ、使い手の日常を一段と味わい深く彩ります。
柳下 季器(Hideki Yanashita) プロフィール
陶芸家 1967 –
東京都生まれ。現在は三重県伊賀市を拠点に活動。桃山時代のやきものに魅了され、陶芸の道へ進む。信楽での修行を経て三重県・伊賀に自ら穴窯を築窯し、「神田窯」を開窯。杉本貞光氏に薫陶を受け、侘び寂びの世界を独自の視点で深く探求しつつ、楽焼や焼締、井戸、織部など多彩な作品を制作しています。柳下氏の創作において重要なテーマとなるのは、先人の技法や精神を深く学びつつも、現代の素材や独自のアプローチを取り入れることで生まれる新たな極みへの探究です。その作品は時代に左右されない本質的な美を問いかけ、観る者をより深い芸術の世界へと誘います。
活動拠点
三重県・伊賀
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