信楽旅枕花入 柳下季器
信楽旅枕花入 柳下季器
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幅12.0cm 高さ21.0cm
旅枕という名の由来──かたちの連想から生まれる美称
本作《信楽旅枕花入》は、円筒状の器形に由来して、かつての旅人が携えた「旅枕」の形を想起させることから、その名が付されています。茶の湯の世界では、日常の道具や自然の造形から器のかたちを見立てて命名する習わしがあり、本作もその流れに則ったものといえます。
旅枕とは、明治期などに携帯用の小型枕として用いられた収納付きの箱型道具のことであり、かたちには簡素で実用的な趣がありました。その素朴で控えめな造形を、柳下季器氏は信楽焼の花入として再構成しています。
掛け花入れとしても置き花入れとしても成立する構造
器形は小型の筒状でありながら、安定感があり、壁面に掛ける掛花入としても、床の間や棚上に置いて用いる置花入としても活用できる二面性を備えています。口縁はやや内に締まり、内部に挿す花をしっかりと支える構造となっており、細身の草花や枝ものとの相性が良い設計です。
信楽焼の焼成景色と素材の活かし方
本作は信楽焼の特徴である焼締陶に分類され、自然釉による変化と土肌の表情が見どころとなっています。焼成中に降灰がかかり、
灰被りによる柔らかな白化
火色の赤みが挿し色として作用
といった、焼成による景色の変化が見て取れます。さらに、器表面の微細な凹凸や長石粒による石はぜの表情も、使用されるたびに見る者に微細な変化を提示します。
柳下季器の見立てと再構成
柳下季器様は、歴史的な道具や器物の形式に対して、単なる模倣や復元ではなく、現代における再構成を試みる作家です。本作では「旅枕」という名の通り、実在した日用品を信楽の土と焼成技法によって再構成し、現代の茶の湯空間において機能する花器として仕上げています。柳下様の作品には一貫して、「用の美」に対する高い意識と、「見るための器」ではなく「使うために設計された器」という明確な方向性が見られます。
柳下 季器(Hideki Yanashita) プロフィール
陶芸家 1967 –
東京都生まれ。現在は三重県伊賀市を拠点に活動。桃山時代のやきものに魅了され、陶芸の道へ進む。信楽での修行を経て三重県・伊賀に自ら穴窯を築窯し、「神田窯」を開窯。杉本貞光氏に薫陶を受け、侘び寂びの世界を独自の視点で深く探求しつつ、楽焼や焼締、井戸、織部など多彩な作品を制作しています。柳下氏の創作において重要なテーマとなるのは、先人の技法や精神を深く学びつつも、現代の素材や独自のアプローチを取り入れることで生まれる新たな極みへの探究です。その作品は時代に左右されない本質的な美を問いかけ、観る者をより深い芸術の世界へと誘います。
活動拠点
三重県・伊賀
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