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窯変茶盌 小川文齋

窯変茶盌 小川文齋

通常価格 ¥220,000
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幅 : 14.0cm×14.0cm 高さ : 8.0cm

炎が描いた幽玄の絵巻 ― 窯変茶盌 六代 小川文齋(興) 作

この一碗、「窯変茶盌」は、六代 小川文齋(興)様の手によって生み出された、まさに“火の芸術”と呼ぶにふさわしい作品です。焼成中に偶発的に起こる釉薬の変化――すなわち「窯変(ようへん)」は、陶芸という表現の中でもとりわけ制御が難しく、作家の手を超えて自然現象の領域に足を踏み入れる領域です。しかし文齋様は、その偶然を偶然のままにせず、必然の美として受け止め、そこに深い祈りと構築された造形美を加え、唯一無二の茶盌へと昇華させています。

器全体を包む釉調は、光によって表情を大きく変えます。柔らかな照明の下では黒みがかり、まるで墨を滲ませたかのような陰影が現れ、自然光を受ければ、黄金色の地から黒い雲が湧き立つような劇的な窯変がその姿を明らかにします。まるで一瞬の落雷、あるいは火山の噴煙のような動的な釉景が、手のひらサイズの器の中に凝縮されているのです。


“炎の風景”を纏った釉薬の表現力

この窯変茶盌を語る上で、最大の見どころはやはり釉の動きです。黄褐色から黒へのグラデーションが生み出す立体的な景色は、絵具では決して描くことのできない、火と釉が出会ったその瞬間にしか現れない“生きた表情”です。高温の窯の中で釉薬が溶け、器肌を伝ってゆっくりと流れ、焼成が進む中で再び固まる――そのプロセスは、まるで火そのものが筆を持って描いたかのような痕跡です。

また、よく見ると黒い釉の中にわずかに青や紫のニュアンスが混ざり合い、まるで宇宙の奥に広がる星雲のような神秘的な層が浮かび上がってきます。窯変の中に潜む色彩は、まるで「無彩」の中に潜む「万色」のように、深層的であり、無言の力を放っています。


確かな轆轤の技術と、造形の品格

釉薬の美しさを引き立てるために不可欠なのが、造形の端正さです。本作は胴の張り具合と口縁の反り返りのバランスが非常に優れており、視覚的にも非常に安定感があります。口縁はほんのわずかに外へ広がり、それによって器全体に静かな“開放感”が生まれています。これは、ただ丸くつくるだけでは生まれない微細な操作によるものであり、長年にわたって轆轤と向き合ってきた作家の“手の記憶”が成せるわざです。

また、高台の白い素地が、全体の釉調と絶妙なコントラストを成しており、器の下部に光を宿すような効果をもたらしています。このわずかな“余白”があることで、見る者の視線が器全体を上下に往復し、釉薬の流れと立体感をより深く味わえるようになっているのです。


茶室という“間”に宿る、窯変の気配

この窯変茶盌が持つ静かな力は、茶席においてさらに引き立ちます。たとえば、床の間に掛けられた墨蹟や、挿された一輪の草花と呼応しながら、この茶盌の釉の揺らぎは、空間全体の空気を柔らかく、しかし確かに引き締めてくれます。まるで沈黙の中で何かが語られるような、音のない会話がそこに生まれるのです。

また、実際に抹茶を点てると、その鮮やかな緑が黒と黄褐色の釉の中にすっと差し込まれ、視覚的なインパクトだけでなく、心象風景としての“深さ”をもたらします。これはまさに、「抹茶を飲む」という行為そのものが、芸術的な一幕となるような体験です。


自然と対話する作陶の精神

六代 小川文齋(興)様は、緑釉を中心に据えた作品で知られながらも、このような“窯任せ”の窯変作品にも真摯に取り組んできました。それは、自分で全てをコントロールしようとするのではなく、自然の力と火の動きに身を委ねるという、ある意味では「無為の美」にも通じる姿勢です。

そこにあるのは、先人たちが「侘び」「寂び」と呼んできた感性に、現代の作家としての知性と造形力を重ね合わせることへの挑戦。そして、火がつくり出す「未知の美」を、人の手で美術の域に昇華させるという、陶芸家としての本質的な問いへの応答です。


一碗に宿る、燃焼と沈黙の記録

この「窯変茶盌」は、見れば見るほどに新しい表情を見せてくれます。朝の光の下、夜の静けさの中、あるいは季節の移ろいのなかで、同じ器が違う姿を現してくる――それは単なる視覚的な変化ではなく、器と使い手との間に生まれる“関係性”が育っていくことの証しです。

一碗の中に封じ込められたのは、火の記憶であり、土の詩であり、そして作家の沈黙の哲学です。どうぞその手に取ってみてください。この器は、ただ「見る」ものではなく、「聴く」ものです。見る者の沈黙の中に、釉薬の囁きが聞こえてくるはずです。

 

六代 小川 文齋(興) 文齋窯 六代目 当主
陶芸作家・日展 会友・京都工芸美術作家協会 会員

活動経験
・カルチャーセンター講師(毎日・NHK・京都)20年継続中
・野焼き (五代文齋と共に)
・有限責任事業組合工人を結成・参加

陶歴
1974 京都五条坂の陶芸家 五代 小川文齋の長男として生まれる。
1999 京都造形芸術大学大学院 芸術学部 彫刻コース 修了
2000 京都府陶工高等技術専門校 成形科 修了 / 京展 入選 / 全関西美術展 入選
2001 京都府陶工高等技術専門校 専攻科 修了 / 京展 入選 / 京都工芸美術作家協会 入会
2002 グループ展「5人展」 / 京都市工業試験場 窯業研究室 修了 / 京展 楠部賞 / 第34回日展 初入選
2003 京展 入選 / 第25回日本新工芸展 日本新工芸奨励賞 / 日本新工芸家連盟近畿会 入会 / 全関西美術展 入選 / 第35回日展 入選
2004 京展 入選 / 第26回日本新工芸展 入選 / 日本新工芸展近畿展 読売新聞大阪本社賞 / 第36回日展 入選
2005 第27回日本新工芸展 東京都知事賞 / 初個展 (京都大丸百貨店アートサロン) / 第37回日展 入選
2006 第28回日本新工芸展 入選 / 日本新工芸展近畿展 読売テレビ放送賞 / 全関西美術展 入選 / 個展(髙島屋京都店 美術工芸サロン) / 第38回日展 入選
2007 京展 入選 / 第29回日本新工芸展 入選 / 第39回日展 入選 / 京都女子大学附属小学校 創立50周年記念 陶芸展 出品
2008 京展 入選 / 第30回日本新工芸展 入選 / U.S.E Uryuyama.Sculptors.Exhibition (ギャラリーマロニエ)
2009 グループ展「真朱展 冬の集い」 / 日本新工芸家連盟 会員になる / 第31回日本新工芸展 出品 / 京都工芸美術作家協会展 協会奨励賞 / 日本新工芸展近畿展 読売新聞大阪本社賞 / 第41回日展 入選 / 個展 (京都大丸百貨店 アートサロン) / U.S.E展 2009 (ギャラリーマロニエ)
2010 第32回日本新工芸展 出品 / 第42回日展 入選
2011 京都女子学園 創立100周年記念 第8回特別展「附属小学校卒業生-陶芸作家展」出品 / 第33回日本新工芸展 出品 / 全関西美術展 読売テレビ賞 受賞 / 新天地を求めた京焼 清水焼団地五十年の歩み 出展 / U.S.E 4 (ギャラリーマロニエ) / 創立65周年記念 京都工芸美術作家協会展 出品 / 個展 (京都大丸百貨店 美術画廊)
2012 第34回日本新工芸展 審査員 / 日本新工芸展近畿展 京都市教育長賞 / U.S.E 5 (ギャラリーマロニエ)
2013 京焼 文齋窯 六代目を継承する。
第35回日本新工芸展 出品 / U.S.E 6 (ギャラリーマロニエ) / 第44回日展 入選
2014 U.S.E 7 (ギャラリーマロニエ) /日本新工芸家連盟 脱退
2015 琳派400年記念現代作家200人による日本画・工芸展(京都文化博物館)/ 平成の京町家×平成の工人 / U.S.E 8 (ギャラリーマロニエ)
2016 京都六原地区「みんなでつけよう ろじのあいしょう」プロジェクト銘板作成 / 陶芸に集う日本画・写真・截金 四人のコラボ展(ポルタギャラリー華)
2017 個展 大丸京都店 美術画廊 / U.S.E 10 (ギャラリーマロニエ)
2018 喫茶去~まずはお茶を一服~ 工人(ポルタギャラリー華)
登り窯 損壊
2019 登り窯修復 完了
京展 小さな宇宙展(ポルタギャラリー華)
六代 小川文齋襲名披露祝賀会
2020 京展 小さな宇宙展(ポルタギャラリー華)/ 京都工芸美術作家協会 選抜展
2021 創立75周年 京都工芸美術作家協会展 / 個展 大丸京都店 美術画廊
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