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伊賀窯変耳付花入 柳下季器

伊賀窯変耳付花入 柳下季器

通常価格 ¥165,000
通常価格 セール価格 ¥165,000
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幅14.0cm  高さ26.0cm

歪みに宿る造形の意思

本作《伊賀窯変耳付花入》は、伊賀焼の伝統的形式に則りながらも、作者の明確な造形意図が随所に感じられる作品です。特に、胴部に施された歪みや削ぎは、単なる偶然や手仕事の味ではなく、器としての造形バランスを徹底的に検討したうえでの操作であるといえます。口部には丸く膨らんだ柑子口(こうじぐち)が設けられ、左右には象徴的な耳が付されています。このような形は古伊賀にも類例が見られますが、本作はそれらの再現ではなく、現代的な眼差しによる解釈と再構成がなされています。


窯変の景色と焼成の制御

焼成時における炎の当たり方や灰の降下により、器の前後には異なる景色が現れています。正面は焼き締めによる火色が強く出ており、背面にはわずかな緑が見えます。いずれも計算された窯内の位置取りと、焼成条件の調整によって得られた結果であり、いわゆる「偶然の産物」ではありません。炎を読む力と、焼成経験の蓄積があってはじめて生まれる景色です。


伊賀焼の歴史と本作の位置づけ

伊賀焼は、安土桃山時代に茶陶として大きな発展を遂げた焼物であり、特に武将茶人・古田織部の指導のもとで数々の名品が生まれました。波状の削ぎ(山道手)や格子文、耳付、へこみ、緑釉(ビードロ)、灰かぶり、焦げなど、強い作為をもった意匠が特徴です。これらはすべて「破調の美」として、茶の湯における造形美を支えてきました。

本作もその系譜を明確に継いでいますが、単なる古作の模倣ではなく、現代における伊賀焼のあり方を模索した結果としての造形です。器の造形、景色、バランスは古伊賀の典型を参照しつつ、より彫塑的な力を持っています。


花入としての機能と視覚的効果

花を入れる器として、胴の歪みと口部の張り出しは、花の動きを引き出す構造的な要素となっています。歪みによる視線の誘導や、器の高さと幅の対比は、草花の配置において独特の動きと余白を与える効果をもちます。背面の景色が光を受けて変化する様子も、設置環境に応じて器の印象を大きく変えるため、使い手の設計意図と呼応する余地が多く残されています。


柳下季器の造形哲学

柳下季器様は、三重県伊賀にて自身の「神田窯」を拠点に制作を続ける現代陶芸家です。焼締や楽焼、織部など、桃山陶を主軸としながらも、各技法の歴史性と表現可能性を精査し、現在的な美術表現として昇華させています。本作においても、古伊賀の表現語彙を踏まえたうえで、現代の造形感覚をもって再解釈した痕跡が明瞭に現れています。また、器が単に見るためのオブジェで終わるのではなく、花を入れ、使われることで初めて完成する「機能を含んだ造形物」として成立している点も、柳下作品の大きな特徴です。《伊賀窯変耳付花入》は、伊賀焼の伝統的造形要素を踏まえながらも、それをそのまま引用するのではなく、使うことと見ることの両立を追求した作品です。器としての完成度は高く、また、焼成による景色のコントロール、造形の意図、素材への理解がすべて統合されており、現代における伊賀焼の可能性を静かに提示する作品といえるでしょう。

柳下 季器(Hideki Yanashita) プロフィール
陶芸家 1967 –
東京都生まれ。現在は三重県伊賀市を拠点に活動。桃山時代のやきものに魅了され、陶芸の道へ進む。信楽での修行を経て三重県・伊賀に自ら穴窯を築窯し、「神田窯」を開窯。杉本貞光氏に薫陶を受け、侘び寂びの世界を独自の視点で深く探求しつつ、楽焼や焼締、井戸、織部など多彩な作品を制作しています。柳下氏の創作において重要なテーマとなるのは、先人の技法や精神を深く学びつつも、現代の素材や独自のアプローチを取り入れることで生まれる新たな極みへの探究です。その作品は時代に左右されない本質的な美を問いかけ、観る者をより深い芸術の世界へと誘います。

活動拠点
三重県・伊賀

略歴
1967年 東京都生まれ
1989年 専門学校桑沢デザイン研究所卒業
2002年 三重県伊賀市に穴窯を自身で築窯(神田窯)
2002年 高島屋横浜店にて二人展
2004年 高島屋横浜店にて個展(以降開催)
2007年 高島屋京都店にて個展(以降開催)
2007年 杉本貞光先生に薫陶を受ける(以降現在まで)
2008年 高島屋大阪店にて個展(以降開催)
2013年 JR名古屋タカシマヤにて個展(以降開催)
2023年 日本橋三越本店にて個展(以降開催)

柳下季器様との対談

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