商品情報にスキップ
1 8

三ツ足香爐 小川文齋

三ツ足香爐 小川文齋

通常価格 ¥165,000
通常価格 セール価格 ¥165,000
セール 売り切れ
税込。 配送料はチェックアウト時に計算されます。

幅 : 12.0cm×12.0cm 高さ : 15.0cm

三ツ足香爐(みつあしこうろ)
― 六代 小川文齋(興) 作

この小ぶりな香爐は、まるで森の奥深くで静かに香を焚く精霊の器かのような、幻想的な佇まいをたたえています。六代 小川文齋(興)様による「三ツ足香爐」は、わずかに黄味を帯びた繊細な青磁釉の中に貫入が走り、やわらかくも深い表情を見せる一作です。表面に浮かぶ自然な釉の溜まりや微細な貫入の網目は、長年使い込まれたかのような温もりを宿し、時の蓄積を感じさせます。

特徴的なのは、作品の足元を支える三本の脚。土を捻り上げたような有機的な曲線を描きながらも、全体のバランスはあくまで静謐であり、軽やかで可憐な印象を与えます。その脚が空間との距離を生み、香の煙がすうっと立ち上がる余白をつくることで、香爐本来の役割――「香を中心とした空間の設計」を、より豊かに演出します。

火舎(蓋)には、不規則に切り抜かれた透かしが施され、香が立ち昇る際に風がすり抜けるような、視覚と触覚に訴える構造になっています。その透かしから立ち上る香煙は、作品全体の造形と呼応しながら、空間にゆるやかな動きをもたらすのです。


小川文齋の“静と動”の造形哲学

六代 小川文齋様は、京都五条坂において150年以上続く文齋窯の現当主。翠釉や焼締、彫刻的フォルムなど多彩な表現を追求しながら、古典的な美と現代的な感性の融合を試みています。

初代・小川文齋(文助)は1847年に鹿背山で窯を開き、明治以降は五条坂にて活動を継続。六代目である興氏は、大学院で彫刻を学んだ後に陶芸に進み、その立体的構成力と釉薬への深い探究心により独自の世界観を築いてきました。とくに追い求めてきた“緑”は、争いを超えた人と人とのつながり、つまり「和の象徴」として一貫して作品の軸に据えられています。

この香爐の柔らかな色合いも、まさにその“緑の系譜”のひとつといえるでしょう。


香爐がもたらす空間の再構築

香爐は、単なる香を焚く道具ではありません。それは、空間に新たな“意味”と“感覚”をもたらす存在です。香は見えず、形もありません。しかし、香爐を介して放たれるその香気は、空間を静かに満たし、人の心に“余白”を与えます。

この「三ツ足香爐」は、その効果を最大限に高めるよう設計されています。香の煙は蓋の透かしから舞い上がり、光を受けてゆらめき、空間にリズムをもたらす。脚によって地面から浮かせることで、香爐は「置く器」ではなく、「浮かぶ器」としての存在感を発揮します。

そして、香がもたらす空気の変化を“見えるかたち”で伝えるのが、この作品の大きな魅力です。

香りと共に生きる美の器

仏前に、書斎に、あるいは現代のリビングの一角に――。この香爐は和洋を問わず、さまざまな空間に自然に調和し、そこに“静けさ”と“呼吸”を運びます。日常の中に一瞬訪れる「香りの時間」を、この器とともに過ごすことで、心がほどけ、感性が研ぎ澄まされるような体験が生まれるでしょう。

三ツ足香爐――それは香を焚くための器であり、
同時に、空間と心を“再構築”するための、静かな造形詩。

六代 小川文齋様が今に伝える、用の美と精神の静穏がここに息づいています。
ぜひその香気とともに、手に取ってお確かめください。

 

六代 小川 文齋(興) 文齋窯 六代目 当主
陶芸作家・日展 会友・京都工芸美術作家協会 会員

活動経験
・カルチャーセンター講師(毎日・NHK・京都)20年継続中
・野焼き (五代文齋と共に)
・有限責任事業組合工人を結成・参加

陶歴
1974 京都五条坂の陶芸家 五代 小川文齋の長男として生まれる。
1999 京都造形芸術大学大学院 芸術学部 彫刻コース 修了
2000 京都府陶工高等技術専門校 成形科 修了 / 京展 入選 / 全関西美術展 入選
2001 京都府陶工高等技術専門校 専攻科 修了 / 京展 入選 / 京都工芸美術作家協会 入会
2002 グループ展「5人展」 / 京都市工業試験場 窯業研究室 修了 / 京展 楠部賞 / 第34回日展 初入選
2003 京展 入選 / 第25回日本新工芸展 日本新工芸奨励賞 / 日本新工芸家連盟近畿会 入会 / 全関西美術展 入選 / 第35回日展 入選
2004 京展 入選 / 第26回日本新工芸展 入選 / 日本新工芸展近畿展 読売新聞大阪本社賞 / 第36回日展 入選
2005 第27回日本新工芸展 東京都知事賞 / 初個展 (京都大丸百貨店アートサロン) / 第37回日展 入選
2006 第28回日本新工芸展 入選 / 日本新工芸展近畿展 読売テレビ放送賞 / 全関西美術展 入選 / 個展(髙島屋京都店 美術工芸サロン) / 第38回日展 入選
2007 京展 入選 / 第29回日本新工芸展 入選 / 第39回日展 入選 / 京都女子大学附属小学校 創立50周年記念 陶芸展 出品
2008 京展 入選 / 第30回日本新工芸展 入選 / U.S.E Uryuyama.Sculptors.Exhibition (ギャラリーマロニエ)
2009 グループ展「真朱展 冬の集い」 / 日本新工芸家連盟 会員になる / 第31回日本新工芸展 出品 / 京都工芸美術作家協会展 協会奨励賞 / 日本新工芸展近畿展 読売新聞大阪本社賞 / 第41回日展 入選 / 個展 (京都大丸百貨店 アートサロン) / U.S.E展 2009 (ギャラリーマロニエ)
2010 第32回日本新工芸展 出品 / 第42回日展 入選
2011 京都女子学園 創立100周年記念 第8回特別展「附属小学校卒業生-陶芸作家展」出品 / 第33回日本新工芸展 出品 / 全関西美術展 読売テレビ賞 受賞 / 新天地を求めた京焼 清水焼団地五十年の歩み 出展 / U.S.E 4 (ギャラリーマロニエ) / 創立65周年記念 京都工芸美術作家協会展 出品 / 個展 (京都大丸百貨店 美術画廊)
2012 第34回日本新工芸展 審査員 / 日本新工芸展近畿展 京都市教育長賞 / U.S.E 5 (ギャラリーマロニエ)
2013 京焼 文齋窯 六代目を継承する。
第35回日本新工芸展 出品 / U.S.E 6 (ギャラリーマロニエ) / 第44回日展 入選
2014 U.S.E 7 (ギャラリーマロニエ) /日本新工芸家連盟 脱退
2015 琳派400年記念現代作家200人による日本画・工芸展(京都文化博物館)/ 平成の京町家×平成の工人 / U.S.E 8 (ギャラリーマロニエ)
2016 京都六原地区「みんなでつけよう ろじのあいしょう」プロジェクト銘板作成 / 陶芸に集う日本画・写真・截金 四人のコラボ展(ポルタギャラリー華)
2017 個展 大丸京都店 美術画廊 / U.S.E 10 (ギャラリーマロニエ)
2018 喫茶去~まずはお茶を一服~ 工人(ポルタギャラリー華)
登り窯 損壊
2019 登り窯修復 完了
京展 小さな宇宙展(ポルタギャラリー華)
六代 小川文齋襲名披露祝賀会
2020 京展 小さな宇宙展(ポルタギャラリー華)/ 京都工芸美術作家協会 選抜展
2021 創立75周年 京都工芸美術作家協会展 / 個展 大丸京都店 美術画廊
詳細を表示する
  • 【丁寧に、お送りいたします】

    それぞれの商品に合った形態で、丁寧に梱包いたします。

    また、作品(器など)により、納期は変わります。

    作品の引渡時期は、ご注文確認後、共箱準備済み作品は7営業日以内に出荷させていただきます。共箱を新たに製作する作品は45営業日以内に出荷させていただきます。

    いずれも、ご注文を確認いたしましたら、当店より納期をメールにてご連絡いたします。

    梱包のこだわりについて

  • 【陶器をご購入の際のお願い】

    作品ごとに、出来るだけ詳細をご確認いただけるように画像を掲載しておりますが、ご不明な点はお問い合わせください。

    作品の色合いなどは、画像を表示する環境により若干異なることがございますが、ご理解の程お願いいたします。

    作品により貫入などによる、茶碗への染み込みが発生することがございますが、それも経年変化の味わいとしてご理解いただきますようお願いいたします。

    作品の取り扱いについて