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白磁銀彩陶筥 松川和弘

白磁銀彩陶筥 松川和弘

常规价格 ¥38,500
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白磁銀彩陶筥 松川和弘作(W:7.8cm D:3.3cm H:2.9cm)
――「白の沈黙に、銀の霜が降る。掌中の細箱が、余白を封じ、気配を澄ませる」


Ⅰ 陶筥という“小さな結界”

陶筥は、しまうための器であると同時に、開閉の所作によって空気を切り替える道具でもあります。蓋を合わせた瞬間、内部はひとつの領域となり、開いた瞬間、余白が解放される。
本作「白磁銀彩陶筥」は掌に収まる小さな寸法でありながら、置かれた瞬間に場の密度を変える力を備えています。小さいからこそ、静けさが濃い。茶の湯が愛してきた「小さきものの宇宙」が、端正に結晶した一箱です。


Ⅱ 白磁の美――“白”は最も禁欲的で、最も雄弁

2-1 白は色ではなく、光の器

本作の白は、ただ均一な白ではありません。磁肌が光を柔らかく拡散し、面のわずかな勾配に沿って陰影がすっと移ろうことで、静謐な奥行きが生まれています。白磁は情報が少ない分、形の精度と肌の緊張がそのまま表情になります。この作品における白磁は無色として白を扱うのではなく、光の質を設計する素材として白を捉え、沈黙の中に豊かな密度を宿しています。

2-2 合口の一本線:静けさを引き締める

蓋と身の境界に走る細い線は、器の輪郭をきゅっと締め、佇まいに緊張を与えます。小さな筥ほど、この一本線の効きが大きい。閉じた状態でも完成した景色となり、開閉の所作が自然に丁寧になります。


Ⅲ 銀彩――鏡ではなく霜の肌、光を点で受ける

3-1 微粒の輝き:銀が派手にならない理由

蓋上(あるいは蓋の一部)に施された銀彩は、きらきらと鏡のように反射する銀ではなく、微細な粒立ちをともなう落ち着いた輝きです。光を面で跳ね返すのではなく、点で受けて柔らかく散らす。
その印象は、霜、薄雪、月光——冷たい透明の輝きです。白磁の沈黙を壊さず、むしろ静けさの輪郭を縁取るために銀が置かれています。

3-2 白と銀の対話:清浄が二層になる

白磁が“空気”なら、銀彩は光。二つが重なることで、清浄は二層に深まります。白だけでは完結しすぎるところに、銀がわずかな緊張と温度差を与え、器の表情はより詩的になります。
銀は主役ではなく、白の沈黙を際立たせる“相手役”。その関係性が、本作の品位を決定づけています。


Ⅳ 内側の景色――開いたときに現れる“淡い水色”

蓋を外すと、内側には淡い青みを含んだ見込みが現れます。外側の白と銀がつくる“冷たい光”に対し、内側は“静かな水面”のように柔らかい。
この内側の色調は、収めるものの気配を清め、輪郭を整えます。香木の小片、香包、金平糖、印章、小さな細工物——いずれも、この淡い見込みの上で静かに映えるでしょう。筥は中身を守るだけでなく、中身の佇まいまで整える。その性質が、この内側の景色によって強められています。


Ⅴ 取り合わせ・季節感――冬の冴え、早春の薄氷

白磁と銀彩の組み合わせは、冬の冴え、早春の薄氷、秋の澄んだ夜気と相性が良いです。黒い敷板に置けば輪郭が際立ち、白布に置けば清浄の度合いが増す。
道具組の中では、派手に語るのではなく、余白の中心として場を引き締める存在になります。小さな筥ほど、周囲の空気を受けて主役になり得る——本作はその力を確かに備えています。


まとめ

白磁銀彩陶筥は、白磁の禁欲的な沈黙に、銀彩の霜のような微粒の輝きを重ねた、掌中の清浄です。閉じれば白と銀が場を澄ませ、開けば淡い見込みが余白を解放し、収めるものの気配まで整えてくれる。
小さく、端正で、しかし空間を変える力がある——松川和弘氏ならではの“静けさの設計”が凝縮された一作です。

略歴

1977 大阪府河内長野市生まれ
1998 奈良芸術短期大学陶芸コース卒業
2000 奈良芸術短期大学専攻科修了
2001 京都府立陶工高等技術専門校修了
   近藤高弘氏に師事
2006 独立・河内長野市にて開窯

主な個展・展覧会

2007 京都府美術工芸新鋭選抜展(京都文化博物館)
   二人展(松坂屋名古屋店美術画廊/名古屋)
   個展(京都高島屋美術工芸サロン/京都)
2008 個展(カンパニュール/千葉)
   個展(パラミタミュージアム小ギャラリー/三重)
2009 個展(ギャラリーエスパス/名古屋)
2010 個展(札幌三越美術ギャラリー/北海道)
   個展(松坂屋名古屋店美術画廊/名古屋)
   個展(アルパーク天満屋美術画廊/広島)
2011 個展(陶器ギャラリー風露/大阪)(’07)
2012 個展(ギャラリーおくむら/東京)(’07 ’09)
2013 個展(ラブリーホール開館20周年記念事業/大阪)
2014 個展(天満屋広島八丁堀店アートギャラリー/広島)(’11)
2016 個展(天満屋福山店アートギャラリー/広島)(’08 ’12)
   三人展(博多阪急ミューズ/福岡)
2017 個展(ピナコテーカ/東京)(’14 ’15)
   個展(天満屋岡山店美術ギャラリー/岡山)(’08)
   個展(アトリエヒロ/大阪)
2018 個展(日本橋三越本店美術ギャラリー/東京)
   個展(髙島屋大阪店ギャラリーNEXT/大阪)(’08 ’11 ’15)
2020 個展(花あさぎ/東京)
2021 個展(ギャラリーたちばな/奈良)(’15 ’17 ’19)
2022 二人展(花あさぎ/東京)
2023 二人展(アトリエヒロ/大阪)
2025 二人展(花あさぎ/東京)
   個展(緑ヶ丘美術館/奈良)

受賞歴

第36回日本伝統工芸近畿展(大阪府教育委員会賞)
第55回日本伝統工芸展(日本工芸会総裁賞)

パブリックコレクション

緑ヶ丘美術館

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