丹波赤富士茶盌　西端正

幅 : 14.0cm  　奥行12.8cm     高さ :10.2cm　

ご紹介

日本の象徴である富士山をテーマにしながらも、その描写が驚くほど洗練された一品です。白地の中にほのかに現れる朱の富士は、霞の中に浮かぶように繊細で、見る者に強い印象を与えます。富士山の象徴的な美しさが、この茶盌を通してまるで日本画のように表現されており、伝統と現代感覚の絶妙な調和を感じさせます。

富士山の模様と日本画の美しさ

「丹波赤富士茶盌」に描かれた富士山は、画布に描かれた一幅の日本画のようです。その富士山は、単純なシルエットではなく、細く繊細に描かれ、白の地にほのかに浮かび上がる朱色がまるで朝日や夕日で染まる富士の姿を連想させます。この控えめながらも美しい表現は、日本人が長年愛してきた富士山の神秘的な側面を見事に捉えています。朱の色合いが強調された富士の美しさは、伝統的な日本画のような抑制されたエレガンスを持ちながら、どこか現代的な感覚も漂わせています。

現代アートとしての魅力

この茶盌は、単に伝統的な茶道具としての価値に留まらず、現代アートとしても高い鑑賞価値を持つ作品です。朱の富士が施されたデザインは非常にシンプルでありながらも、その繊細さと大胆さが際立ちます。どの角度から見ても美しいバランスを保つこのデザインは、和室だけでなく、モダンな空間にも調和し、茶盌自体が独特の存在感を持って空間を彩ります。西端正様によるこの作品は、伝統の枠を超えて現代的な美術の一環としても鑑賞されるべき存在です。

造形美と富士山のシンボル性

「丹波赤富士茶盌」は、その象徴的な富士の姿と造形が見事に一体となり、力強い個性を放っています。半球状に近い形状にすぼまった口縁が全体の造形美を引き立て、控えめな歪みが富士山の美しさをさらに強調しています。茶盌全体が、器としての機能を超え、立体的なキャンバスのように富士のシンボリックな姿を見事に描いています。この造形の調和は、富士山が象徴する日本の自然の美しさを物質的に表現したものです。

匠の技術と芸術性

この茶盌を生み出すために必要とされた技術は、西端正様の熟練の技によるものです。朱の発色を実現する焼成技術や、富士山の精緻な模様を施す技法は、長年の経験と研鑽の成果であり、作品に生命力を与えています。細やかなディテールが詰まった富士の図案と、その背景に広がる白い空間が対照をなすことで、シンプルながらも深い芸術性を感じさせます。

特別なひとときを演出

この「丹波赤富士茶盌」は、茶席に特別な雰囲気をもたらします。見るだけでなく、手に取るたびに富士山の象徴的な美しさが心に響き、その瞬間を特別なひとときに変える力を持っています。茶を楽しむだけでなく、富士山の美しさを通じて、日本の自然や文化に対する深い敬意と感謝の気持ちを感じさせます。

永続する価値

この赤富士茶盌は、時を経てもその美しさを失わず、使い込むほどに風合いが増していく逸品です。茶盌としての日常的な使用を通じて、使い手は作品への愛着を深め、長く大切に使い続けられることでしょう。その普遍的な美しさと象徴性により、「丹波赤富士茶盌」は永遠に愛され続ける一生の宝物となること間違いありません。この作品は、伝統と現代美術が見事に調和したものであり、見る者、使う者に深い感動を与え続けます。

西端正　略歴

昭和二十三年 二月二十四日生
昭和四十四年 作陶を始める
昭和五十一年 兵庫県展奨励賞
昭和六十一年 日本伝統工芸展初入選
昭和六十三年 日本伝統工芸展入選 日本伝統工芸展日本工芸会総裁賞
平成元年 日本陶芸展入選半どんの会 乃川記念賞
平成三年 日本伝統工芸展入選 日本陶芸展入選 茶の湯の造形展大賞
平成四年 日本伝統工芸展入選 茶の湯の造形展優秀賞 兵庫県新進芸術家奨励賞 NHK主催 パリ―日本の陶芸 「今」一〇〇選招待出品 茶の湯の造形展優秀賞
平成五年 日本伝統工芸展入選 個展 そごう広島店 京都シュマン
平成六年 日本伝統工芸展入選 個展 日本橋三越本店
平成七年 日本伝統工芸展入選 個展 そごう広島店
平成八年 日本伝統工芸展入選 茶の湯の造形展優秀賞 個展 日本橋三越本店 
平成九年 茶の湯の造形展奨励賞
平成十年 日本伝統工芸展入選 個展 日本橋三越本店 日本伝統工芸展入選
平成十二年 個展 日本橋三越本店 個展 福岡三越
平成十三年 ギャラリー堂島 日本伝統工芸展入選
平成十四年 個展 日本橋三越本店 個展 ギャラリー堂島
平成十五年 個展 アメリカ・サンタフェ・タッチングストン
平成十六年 父子展 そごう広島店 茶の湯の造形展大賞
平成十七年 明石市立文化博物館・兵庫のやきもの展出品 赤土部臺買上 兵庫陶芸美術館 個展 ギャラリー堂島 日本橋三越本店
平成十八年 茶の湯の造形展大賞　日本伝統工芸展入選 ボストン美術館及び ニューヨークジャパンソサエティギャラリー 個展 横浜高島屋 アメリカ・サンタフェ・タッチングストン 父子展 松山高島屋
平成十九年 陶俊会展 そごう横浜店 茶の湯の造形展奨励賞 日本伝統工芸展入選
平成二十年 日本伝統工芸展入選 個展 横浜高島屋 日本橋三越本店 アメリカ・サンタフェ・タッチングストン 陶俊会展 船橋 西武 そごう広島店 日本陶芸展招待出品
平成二十一年 個展 ギャラリー堂島 仙台三越
平成二十二年 そごう神戸店 智美術館大賞展現代の茶 出品 個展 横浜高島屋 アメリカ・サンタフェ・タッチングストン
平成二十三年 日本陶芸展招待出品 個展 アメリカ・ニューヨーク・ジョーンBマービス 日本陶芸展招待出品
平成二十五年 菊池寛実記念智美術館『現代の名碗”出品 個展 日本橋三越本店 アメリカ・サンタフェ・タッチングストン ギャラリーミヤザキ そごう神戸店 千葉そごう
平成二十六年 個展 個展 日本橋三越本店
平成二十七年 兵庫県文化賞受賞
平成二十八年 東広島市立美術館 生活を彩る陶―食の器 出品 アメリカ・ニューヨーク・ジョーンBマービス
平成二十九年 四十周年記念展出品 
平成三十年 個展 日本橋三越本店