青白磁石舟器 井倉幸太郎
青白磁石舟器 井倉幸太郎
幅 : 19.5cm×43.3cm 高さ :8.5cm
井倉幸太郎様の「青白磁石舟器」は、青白磁の美しさとともに独特の造形が際立つ逸品です。石のような素材感と、まるで舟のように伸びやかで優美なフォルムが特徴です。作品全体に漂う静謐な美しさは、見た者に深い安らぎと心地よさを与えます。井倉幸太郎さんの卓越した技術と感性が融合したこの石舟器は、茶道やインテリアとしても高い品格を持つ一品です。
青白磁の伝統と美
青白磁は、白い石を原料とした磁器土から作られ、その歴史は中国の宋代までさかのぼります。鉄分をわずかに含む釉薬を厚く塗り、焼成中に淡い青白色に発色するのが特徴です。焼き上がりは透明感のある淡い青緑色を帯び、器の白さと絶妙なバランスを保ちながら、静かで上品な色合いを表現します。この青白磁の美しさは、清潔で静謐な雰囲気を持ち、陶器の世界では特に高く評価されています。
造形美と技術
この「石舟器」では、青白磁特有の厚みのある釉薬が丁寧に施され、その上で鋭角的な舟の形状が、洗練されたモダンな美しさを際立たせます。青白磁の難しさとして、釉薬を厚く塗るため、焼成時に割れやすく器に負担がかかるという点がありますが、井倉幸太様はその難題を克服し、見事な作品を生み出しています。青白磁の透明感ある釉薬が、表面に水たまりのような美しい光を反射し、まるで自然の風景を閉じ込めたかのような印象を与えます。
青白磁の魅力
青白磁は、白磁の一種でありながら、釉薬に含まれる微量の鉄分によって発色する淡い青白色が特徴です。この特有の色合いは、白磁の透明感と釉薬の青緑色の美しいバランスによって生まれます。井倉幸太郎様の作品では、この伝統的な技法に現代的な造形が組み合わさり、まさに場の空気を変える美しさが放たれています。石舟器は、清楚で端正な形状と、青白磁の繊細な色彩が融合し、一つのアートとして完成しています。
塚本快示氏への敬意
井倉幸太郎様は、青白磁の巨匠である塚本快示氏に深い敬意を持っており、その影響を受けながらも独自の作品を生み出しています。作品には、塚本氏の「場の空気を変える」ほどの美しさが宿っており、この「青白磁石舟器」もまた、静かで力強い存在感を持ち、鑑賞者を惹きつけてやみません。
「青白磁石舟器 井倉幸太郎作」は、青白磁の伝統的な美しさと現代的な造形が融合した、唯一無二の作品です。井倉様の卓越した技術と感性により、青白磁の透明感ある釉薬と舟形の洗練されたデザインが見事に調和し、静かに場を彩る特別な逸品です。
昭和五十四年 剣豪の里、柳生で柳生焼窯元の長男として生まれる
平成十四年 大阪芸術大学工芸学科陶芸コース卒業 冨士原恒宣氏に師事 陶芸教室の講師に就任(平成十七年退社)
第六十一回、奈良県美術展覧会 最高賞受賞 第四十回、日本伝統工芸近畿展入選 第九回・第十二回、国際陶磁器展美濃入選 第五十八回・六十回、日本伝統工芸展入選 第二十二回、日本陶芸展入選 第三十二回、日本煎茶工芸展 自由民主党総裁賞受賞
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