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鉄釉金彩奈良絵茶碗 尾西楽斎

鉄釉金彩奈良絵茶碗 尾西楽斎

通常価格 ¥253,000
通常価格 セール価格 ¥253,000
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税込。 配送料はチェックアウト時に計算されます。

幅 : 13.5cm 高さ : 7.2cm

黒漆のように深い鉄釉地に、金・白金(プラチナ)彩で奈良絵を冴え渡らせた本作は、尾西楽斎様ならではの「侘びと雅(みやび)」の交差点を体現する一碗でございます。夜の闇を思わせる釉面に浮かぶ金彩は、燈火の下でひときわ華やぎ、茶席に静謐と物語性を同時にもたらします。以下、五つの視点からご解説いたします。


1.造形と胎土

端正な鉢形
胴をわずかに張らせ、口縁を締めた鉢形は抹茶が均一に泡立ちやすく、手取りも軽快です。

素地の荒土と高台の処理
高台部は素焼きのまま残し、鉄釉を途中で切ることで、土肌の枯淡と釉面の黒艶とが鮮烈なコントラストを生み出しています。削り残しの轆轤目や石はぜが、桃山陶の力強さを想起させます。


2.釉調と質感

鉄釉の深黒
酸化鉄を多く含む鉄釉を還元気味に焚くことで、漆黒の中にわずかなメタリック光が宿り、金彩との相乗で漆芸の蒔絵を思わせる効果が得られました。

釉切りの景色
釉薬を腰で意図的に切り、焼成時に釉縁が焦げて琥珀色の“火間(ひま)”を生んでおります。これは炭化痕とも相まって、炎が描いた自然の線描といえましょう。


3.奈良絵意匠 ― 黒夜に浮かぶ古都の絵巻

五重塔と御堂
正面には五重塔と御堂が金彩で描かれ、奈良の古社寺を象徴しています。塔の層塔表現は線の太細を変えて立体感を演出し、御堂内部には貴人を配して王朝文化の雅を滲ませます。

銀杏葉(いちょうば)と行列
周囲を彩る黄色と白金色のモチーフは銀杏葉を様式化したものです。秋の南都を覆い尽くす銀杏の黄葉を写し取り、行列の人物像がそれに溶け込むことで、器全体が“見立ての屏風”となっています。


4.技法 ― 金・白金彩の重奏

線彫り彩色
鉄釉焼成後の黒面に細く線を刻み、そこへ金泥と白金泥を埋め込む「線彫り金彩」を採用。彫り溝が釉面に食い込むことで、彩色が剥離しにくく堅牢です。

二度焼成
730〜780℃で金銀彩を定着させたのち、再度低火度焼成を行い、光沢をやや落ち着かせ茶席光に合う柔和な煌めきへ調整しています。


5.茶席での機能美

抹茶との対比
内面も黒釉であるため、抹茶の翡翠色が際立ちます。金彩が縁取りとなって茶面を引き締め、夜空に浮かぶ満月のような効果を生みます。

語りの広がり
器を巡らせるたびに塔→御堂→行列と景が移り変わるため、亭主は「南都の秋」「銀杏の黄葉と燈花会」などの物語を添えることができます。

鉄釉の漆黒と金彩の輝き、奈良絵の物語性、荒土の侘び―それらが渾然一体となった本作は、「夜の古都」をひと碗に封じ込めたかのようです。茶席に据えれば、客は黒い夜空にきらめく金の塔を眺めながら一服を味わい、静かな秋風をも感じ取ることでしょう。尾西楽斎様の鉄釉金彩奈良絵茶碗は、用と語り、侘びと雅を同時に満たす珠玉の逸品でございます。

尾西楽斎様との対談

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