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ワラ灰釉中啓香合 宮川香斎

ワラ灰釉中啓香合 宮川香斎

通常価格 ¥550,000
通常価格 セール価格 ¥550,000
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高さ :2.5cm  幅 : 9.0cm×7.0cm

「ワラ灰釉中啓香合 宮川香斎」は、茶道具としての美術的価値と実用性を兼ね備えた作品であり、宮川家に受け継がれてきた真葛焼の技術が光る一品です。この香合は、僧侶が法要で使用する扇子「中啓」をモチーフにしています。中啓の特徴である、親骨の中程から開いた独特の形が反映されており、茶道具としてもその文化的背景が大きな意味を持っています。

中啓の文化的背景

「中啓」とは、僧侶が法要や儀式で用いる扇子で、その名は扇の中程から開いた形に由来しています。完全には閉じず、中途半端に開いているため「中啓」と呼ばれます。中啓は、僧侶が左手に念珠を持ち、右手で経本や念珠などを地面に直接置かないために使用されます。この実用性と宗教的な意味を持つ中啓が、香合のデザインとして取り入れられることで、茶道具としての価値がさらに高まります。

ワラ灰釉の美しさと魅力

宮川香斎家特有のワラ灰釉が、この香合全体に施されています。ワラ灰釉は、稲のワラを焼いて灰にしたものを釉薬として使用する技法で、柔らかで青みがかった色合いと温かみのある風合いが特徴です。この釉薬は代々真葛焼の当主に受け継がれており、同じ釉薬でも土の種類や焼成温度により、赤みを帯びた温かい色調や涼やかな青白色など、異なる表情を見せます。もともとは、京焼の始祖である野々村仁清が使用していた釉薬であり、宮川家五代目の宮川長造はこの釉薬の扱いに特に長けていました。真葛焼におけるワラ灰釉の作品は、その美しさと気品で多くの茶道愛好者に愛されています。

香合の役割と茶道における意義

香合は、茶道で炭手前の際に香を入れるための容器として使用される重要な道具です。炭手前が省略される場合には、香合は床の間に飾られ、季節の花や掛け軸とともに亭主の趣向を反映する鑑賞の対象となります。「ワラ灰釉中啓香合 宮川香斎」もまた、香合としてだけでなく、茶室の美を彩る装飾品としての役割を担っています。

真葛焼と宮川家の歴史

本作は、真葛焼の長い歴史に基づく作品です。その歴史は、貞享年間(1684〜1687年)に、祐閑宮川小兵衛政一が知恩院門前で陶芸を始めたことに始まります。真葛焼は、京焼の伝統を守りながらも新しい技術を取り入れ、代々にわたって宮川家が継承してきました。五代目の宮川長造が東山真葛ヶ原に窯を開き、その後、四男の虎之助が横浜に移り、初代真葛香山となりました。治兵衛家も、香齋を名乗る一族として真葛焼を支え、昭和9年からは本格的に茶道具を制作するようになりました。現在、七代目の宮川香齋がその伝統を守り続けています。

国際的な評価と未来への継承

真葛焼の作品は、国内外で高く評価されており、本作もその一例です。宮川香斎の作品は、ヴィクトリア&アルバート博物館(ロンドン)やユネスコ日本政府代表部(パリ)に収蔵されており、世界中の茶道愛好者に愛されています。真葛焼の技術と美意識は、宮川家の長い歴史とともに、未来の世代へと受け継がれていくことでしょう。「ワラ灰釉中啓香合 宮川香斎」は、茶道の実用的な道具であると同時に、日本の伝統文化と宗教的な意味を持つ美術品です。ワラ灰釉による独特の色合いと、中啓の縁起の良いデザインが融合したこの香合は、茶室や床の間で一層の輝きを放ち、文化と美術が一体となった作品として評価されています。

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