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乾山写し笹之絵酒呑 宮川香斎

乾山写し笹之絵酒呑 宮川香斎

通常価格 ¥77,000
通常価格 セール価格 ¥77,000
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高さ :7.5cm  幅 : 6.5cm

「乾山写し熊笹之絵酒呑 宮川香斎」という作品は、宮川香斎様の手によって生み出された繊細でありながら力強い美しさを備えた酒呑で、日本の伝統文化と自然の美しさを見事に表現しています。この作品の中心に描かれているのは、涼しげな笹の葉で、特に夏の季節に視覚的な涼感を与えてくれるものです。その魅力は、見た目の美しさだけでなく、伝統的な技法と素材が織りなす質感や使用感にも表れています。ここでは、このぐい呑みの魅力をさらに掘り下げ、作品に込められた美意識や歴史的背景について詳しく見ていきます。

1. 笹の葉のデザインとその象徴

このぐい呑みに描かれた笹の葉の絵柄は、日本文化に深く根差したモチーフです。笹は、古来より日本の季節や風土を象徴する植物の一つであり、特に夏の季節には涼を感じさせる要素として親しまれてきました。日本の詩歌や絵画でも頻繁に登場し、その清涼感と繊細な美しさは、観る者に安らぎと静寂をもたらします。この作品に描かれた笹の葉もまた、細部に至るまで緻密に表現されており、まるで自然界に息づく本物の葉を切り取ったかのようです。葉脈や葉の先端の曲線は、自然の力強さと儚さを同時に感じさせ、見る者に一瞬で日本の四季や風景を想起させます。笹はまた、風にそよぐ姿やその音が涼を感じさせることから、夏の暑さを和らげる役割も果たしており、これを手に取って酒を楽しむことで、視覚的にも涼しさを楽しむことができます。

2. 乾山写しと尾形乾山の影響

もう一つの重要な要素は、「乾山写し」という言葉が示すように、尾形乾山の作風を忠実に再現している点です。尾形乾山は、江戸時代に活躍した京焼の巨匠であり、彼の作風は兄である尾形光琳の影響を強く受けています。光琳は琳派の代表的な絵師として、華やかな装飾的図案や大胆なデザインで知られていますが、乾山はその影響を陶芸に取り入れ、焼き物の世界に新たな風を吹き込みました。

乾山の作風は、大胆かつ自由なデザインと、シンプルで洗練された美しさが特徴です。彼は、自然を題材にしたモチーフを多く用い、単純化された図案と巧みな色使いで独自の世界観を築きました。特に、乾山が描く梅の花や草花のデザインは、琳派の華麗さを陶芸の中に見事に融合させています。宮川香斎様の手によって作られたこの「乾山写し熊笹之絵酒呑」は、その乾山の作風を受け継ぎつつ、新たな解釈と現代的な感性を加えた作品です。乾山の自由な表現と大胆なデザインが、笹の葉というモチーフに具現化され、まさに乾山の精神を現代に伝えています。

3. ワラ灰釉の技術と美しさ

もう一つの重要な要素は、宮川香斎家に代々伝わるワラ灰釉の使用です。ワラ灰釉とは、藁を焼いた灰を原料とする釉薬の一種で、器の表面に柔らかく温かみのある光沢をもたらします。この釉薬は、京焼の始祖である野々村仁清も用いたものであり、特に宮川香斎家では長きにわたってこの技法を大切に守り続けています。

このワラ灰釉は、器全体にまろやかな乳白色の光沢を与えることで、器に一種の気品と温かみを加えます。青みがかった柔らかい色調が特徴であり、使用される土によってはわずかに赤みを帯びたり、青白い涼やかな色合いを呈することもあります。この色合いの変化は、まるで自然の風景の移ろいのようであり、手に取るたびに新たな表情を見せてくれる魅力があります。さらに、長年使い込むことでその釉薬が少しずつ変化し、より深みを増していくため、使い手との長い時間を共有できる作品でもあります。

4. 宮川家と真葛焼の歴史

宮川香斎家は、真葛焼の家元として330年にわたる歴史を持つ家系です。真葛焼の始まりは、祐閑宮川小兵衛政一が江戸時代の貞享年間に、近江国(現在の滋賀県)から京都に出て知恩院門前で陶芸を始めたことに遡ります。その後、真葛焼は宮川家の手によって代々継承され、時代ごとにさまざまな技術と美意識が受け継がれてきました。

特に真葛焼は、京焼の伝統技法を網羅していることで知られていますが、宮川家が特に誇る技術の一つがこのワラ灰釉です。この釉薬は、器に独特の風合いを与えるとともに、真葛焼のアイデンティティを象徴する重要な要素となっています。また、宮川家は茶道具や煎茶道具の制作にも長けており、その作品は国内外で高く評価されています。真葛焼の作品は、ヴィクトリア&アルバート博物館(ロンドン)やユネスコ日本政府代表部(パリ)などの国際的なコレクションにも収蔵されており、その名声は日本国内にとどまらず、広く海外にも広がっています。

5. 日本酒と器のマリアージュ

日本酒を味わうための器としてもその完成度が非常に高く、日本酒の味わいを一層引き立てます。ぐい呑みの深さと容量は、冷酒やぬる燗などさまざまな温度の日本酒に対応し、その形状が手に馴染むことで、飲む際の心地よさを提供します。また、笹の葉のデザインが施されたこのぐい呑みを手に取ることで、日本酒の澄んだ味わいが一層際立ち、視覚的にも涼しさを感じながら酒を楽しむことができます。これは、単に酒器としての機能を超えた、文化的体験を提供してくれる一品です。本作は、単なる実用品ではなく、自然の美しさや日本の伝統文化を感じさせる作品です。その繊細なデザイン、伝統的なワラ灰釉の使用、そして宮川香斎家の長い歴史と技術が融合したこのぐい呑みは、ただ日本酒を飲むための器にとどまらず、日本の美意識や季節感を体験するための一つの媒介とも言えるでしょう。この器を手に取ることで、日本の四季や自然、そして伝統文化に対する深い理解と共感を得ることができるはずです。

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