古瓦紋角花入 　尾西楽斎

幅 : 6.5cm   高さ :27.5cm

ご紹介

尾西楽斎様が手掛けた「古瓦紋角花入」は、歴史的な技術と現代のデザイン感覚を見事に融合させた作品です。この花入は、百済から伝わる瓦作りの伝統を取り入れつつ、独自の現代的な解釈で再構築された角形のデザインが特徴です。素朴でありながら力強い古瓦の模様が、作品全体に重厚感と温かみを与えています。

古瓦紋の背景

百済からの影響を受けた瓦作りは、飛鳥時代において日本の寺院建築に深く根付くこととなりました。588年の飛鳥寺造営時に、百済から渡来した瓦工人たちは、日本初の瓦屋根を手掛け、その技術は日本各地に広まりました。彼らの手によって生み出された蓮華紋や接合手法は、後世の瓦作りに多大な影響を与えました。尾西楽斎様の「古瓦紋角花入」は、こうした歴史的な技法を継承しつつ、独自の美学を追求した作品です。

角花入のデザイン

「古瓦紋角花入」の角形のデザインは、伝統的な丸形の花入とは異なり、現代の空間にも調和する洗練された美しさを持っています。瓦の模様が花入の表面を彩り、見る者に古代からの時の流れを感じさせます。シンプルでありながらも力強いその姿は、飾るだけで空間に静けさと落ち着きをもたらします。

侘び寂びの美学

この花入は、素材の素朴さと装飾の少なさが際立つ作品であり、侘び寂びの美学を体現しています。古瓦の模様が持つ力強さと、角形が生む直線的な美しさが融合し、洗練された美的空間を演出します。特に秋の季節にその魅力は一層引き立ち、日本の伝統的な美意識と現代的な感性が織り成す、繊細でありながらも重厚な逸品です。

「古瓦紋角花入」は、百済からの伝統を継承しつつ、現代の生活空間に溶け込むようなデザインが施された作品です。その角形のフォルムと古瓦紋の力強い模様が織りなす美しさは、侘び寂びの精神を体現し、日常に品格と歴史を感じさせる一品です。27