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青白磁銀彩振出し 松川和弘

青白磁銀彩振出し 松川和弘

通常価格 ¥27,500
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青白磁銀彩振出し 松川和弘作(径:5.4cm  高さ:8.8cm)
――「掌に収まる“静かな滴”。青白の澄みと銀の気配が、席中の所作を美しく整えます」


Ⅰ 振出しという道具――分けるための、小さな礼

振出しは、金平糖や有平糖などの干菓子を入れ、客に少量ずつ分けるための小さな容器です。大ぶりの菓子器のように華やかに場を支配するのではなく、掌から掌へと静かに渡り、客の間の距離と呼吸を整えていく——その意味で振出しは、茶席における“礼の最小単位”とも言える道具です。
本作は径:5.4cmという扱いやすい胴に対し、高さ8.8cmの凛とした立ち上がりを持ち、客付き(手に取る側)での安定感と、亭主の扱いの美しさを両立しています。小さな道具ほど、形のわずかな乱れが所作の乱れとして現れますが、松川和弘氏の造形はその点で非常に端正です。


Ⅱ 青白磁の景色――“白より澄み、青より柔らかい”透明感

松川和弘氏の青白磁は、白磁の潔さに、かすかな青の陰影を重ねた釉調が魅力です。写真からも、面の光の回り方が均質で、釉の層が薄い膜として器体を静かに包んでいることが伝わってきます。
青白磁は、強い発色で主張する青磁とは異なり、光を受けてはじめて“青み”が立ち上がる種類の美です。つまり、見る者の位置、時間帯、室内の照度によって表情が変わる。その揺らぎは、道具が場の一部として“働く”茶の世界において、非常に相性が良い性質です。


Ⅲ 銀彩という“もう一つの光”――月光のように、控えめに宿る

口縁まわりに配された銀彩は、金のように華やかに前へ出る光ではなく、月光のように静かに反射して気配だけを残します。
さらに本作では、銀彩が「面」として一様に塗られているのではなく、細かな粒立ちを含む“景色”として見える点が印象的です。銀が均一すぎると工芸品は装飾品へ傾きますが、この銀彩は、あくまで青白磁の澄みを損なわず、むしろ“冷たい光”を一段足して、器の温度感を整えています。
淡青の胴に、銀の縁取りが乗ることで、作品全体が一つの静謐なリズムを得ている——その設計の巧みさが見どころです。


Ⅳ 造形の読みどころ――滴形の胴と、口元の緊張

胴は、いわゆる滴形(しずくが落ちる直前のふくらみ)を思わせる柔らかな張りを持ちます。下部に十分な量感を置きつつ、首をすっと絞って上へ導くため、立ち姿に“詩的な緊張”が生まれます。
また、口元が小さくまとまっていることで、菓子が不用意にこぼれにくく、振った時の出方も穏やかです。実用品としての理にかなった設計が、造形の美しさと矛盾せず一致している点は、松川和弘氏の仕事の強さだと感じます。


Ⅴ 蓋・栓の所作――異素材が生む、静かなコントラスト

本作の上部には木栓(木の蓋)が設けられており、青白磁と銀彩という“冷たい光”の系譜に、木の温度が一滴差し込まれます。
茶の場では、異素材の取り合わせが、季節や趣向を語るための重要な手がかりになります。たとえば冬の席であれば、銀彩の冷光は霜や月を思わせ、木の素地は炉の火や人の温もりに呼応する。春先であれば、淡青の釉は霞や朝の水気を連想させ、木栓の淡い色は芽吹きの気配へ寄っていく。
この“わずかな素材差”が、道具の語り幅を大きくします。


Ⅵ 取り合わせの提案――控えめな主役として

菓子:金平糖、有平糖、淡雪羹の干菓子など、光を持つ菓子と相性が良いです。銀彩が菓子の色を邪魔せず、品よく引き立てます。

席の季節感:銀彩=月・霜・薄氷、青白磁=水・霞・遠景。秋冬〜早春に特に映えますが、夏には“涼”の象徴として強い効果を発揮します。

道具合わせ:銀の茶杓・錫の建水など金属の気配を一点だけ呼応させると、過度に華美にならず、全体が引き締まります。


Ⅶ 結び――小さな器に宿る、澄みの思想

振出しは小さく、目立ちにくい道具です。けれども、茶席では“小ささ”こそが品格を決めます。客が手に取った瞬間の重さ、指先に触れる稜線、蓋を扱う所作の滑らかさ——それらが、亭主の心配りとしてそのまま伝わるからです。
松川和弘氏の本作「青白磁銀彩振出し」は、青白磁の澄みを核に、銀彩の静かな光を添え、さらに木栓の温度で全体を整えた、たいへん完成度の高い一作です。掌の中で“道具が静かに働く”感覚を、ぜひ味わっていただければと思います。

略歴

1977 大阪府河内長野市生まれ
1998 奈良芸術短期大学陶芸コース卒業
2000 奈良芸術短期大学専攻科修了
2001 京都府立陶工高等技術専門校修了
   近藤高弘氏に師事
2006 独立・河内長野市にて開窯

主な個展・展覧会

2007 京都府美術工芸新鋭選抜展(京都文化博物館)
   二人展(松坂屋名古屋店美術画廊/名古屋)
   個展(京都高島屋美術工芸サロン/京都)
2008 個展(カンパニュール/千葉)
   個展(パラミタミュージアム小ギャラリー/三重)
2009 個展(ギャラリーエスパス/名古屋)
2010 個展(札幌三越美術ギャラリー/北海道)
   個展(松坂屋名古屋店美術画廊/名古屋)
   個展(アルパーク天満屋美術画廊/広島)
2011 個展(陶器ギャラリー風露/大阪)(’07)
2012 個展(ギャラリーおくむら/東京)(’07 ’09)
2013 個展(ラブリーホール開館20周年記念事業/大阪)
2014 個展(天満屋広島八丁堀店アートギャラリー/広島)(’11)
2016 個展(天満屋福山店アートギャラリー/広島)(’08 ’12)
   三人展(博多阪急ミューズ/福岡)
2017 個展(ピナコテーカ/東京)(’14 ’15)
   個展(天満屋岡山店美術ギャラリー/岡山)(’08)
   個展(アトリエヒロ/大阪)
2018 個展(日本橋三越本店美術ギャラリー/東京)
   個展(髙島屋大阪店ギャラリーNEXT/大阪)(’08 ’11 ’15)
2020 個展(花あさぎ/東京)
2021 個展(ギャラリーたちばな/奈良)(’15 ’17 ’19)
2022 二人展(花あさぎ/東京)
2023 二人展(アトリエヒロ/大阪)
2025 二人展(花あさぎ/東京)
   個展(緑ヶ丘美術館/奈良)

受賞歴

第36回日本伝統工芸近畿展(大阪府教育委員会賞)
第55回日本伝統工芸展(日本工芸会総裁賞)

パブリックコレクション

緑ヶ丘美術館

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