白釉銀刷毛目花入　岡田優

幅 : 14.1cm　　高さ : 27.6cm

白釉銀刷毛目花入（はくゆう ぎんはけめ はないれ）　岡田優様作
――月の雫を宿す白磁に、ひと刷毛の銀が風を刻む

作品概観

本作は、しっとりとした白釉の肌合いに銀彩の刷毛目を二条めぐらせた、端正かつモダンな趣の花入でございます。柔らかな乳白の胴に、細く引き締まった頸部が伸び上がり、肩と口縁にめぐる銀の帯が静かな光をまといます。広がりを抑えたストイックなシルエットの中にも、刷毛目の一閃が風を呼び込み、置かれる空間に凜とした緊張感を添えております。

作家の想い

岡田優様は「風景を器形に写し取る」ことを制作理念とされております。本作においては、宇治・炭山の冬夜に見上げた満月の光景がイメージソースであり、白く静かな月光を白釉で、周囲を吹き渡る冷えた空気を銀刷毛目で表現なさいました。銀の帯は風の軌跡であると同時に、花と器と空間を結びつける“結界”のような役割を担っております。

結び

静謐な白釉と月光のような銀刷毛目が織りなす白釉銀刷毛目花入。花を挿せば、銀の光が花弁をやさしく引き立て、無垢な白が四季折々の色彩を包み込みます。静かな月夜のごとき余韻を、どうぞ末永くご愛蔵いただき、花とともに映ろう景色の変化をご堪能くださいませ。