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ぐい呑み色絵阿蘭陀写 高橋道八

ぐい呑み色絵阿蘭陀写 高橋道八

通常価格 ¥39,600
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幅 : 5.9cm 高さ : 4.12cm

色絵阿蘭陀写ぐい呑 ――九代 高橋道八様


1.造形美 ─ 掌に収まる端正な筒盃

口径に対して胴をわずかにすぼめ、高台へ向けて端正なラッパ状に整えたプロポーションでございます。優しいクリーム色の胎土がもつ柔和な印象と、高台の高さによる安定感が相まって、指掛かりが良く、片手でも自然に回しやすい設計です。口縁はほんのり外反し、酒が舌の中央へ滑らかに流れ込むよう配慮されています。

2.釉調と色絵 ─ 乳白釉に映える鮮やかな彩釉

全体を覆う長石系の乳白釉は、半光沢の柔らかな肌合いを帯びております。その上に、コバルトで縁取りを施した後、赤・黄・緑の上絵具を焼き付けることで、発色の冴えと釉面の艶を両立させています。コバルト輪郭の微かなにじみが、手彩色ならではの温もりを感じさせます。

3.意匠 ─ 阿蘭陀写の唐草花文

胴を巡る唐草は、17世紀のオランダ・デルフト焼やペルシャ陶器の意匠を源流とする“阿蘭陀写”の典型です。中央の八弁花は深紅と黄を対比させ、周囲に四弁花や蕾を点在させることでリズムを生み出しています。蔓の線にわずかに揺らぎを残すことで、手描きの軽やかさと遊び心を演出しております。

4.技法 ─ 釉下コバルト輪郭と上絵重ね焼成

素焼き後、コバルト顔料で輪郭線を描き、その上から乳白釉を施して本焼成。続いて赤・黄・緑の鉱物系上絵具を低火度で再焼成して定着させる二段構えの工程です。高橋道八様は色絵を得意とする家系の伝統を受け継ぎつつ、発色のバランスと絵具の厚みを精緻に管理し、にじみと鮮明さを絶妙な加減で両立させています。

5.歴史的・文化的背景 ─ “オランダ趣味”と京焼

江戸後期、長崎出島を通じて伝わったオランダ陶磁は、伊万里や京焼の職人たちに大きな刺激を与えました。「阿蘭陀写」は異国趣味を写し取りながらも、日本的な簡潔さで再構成された意匠として茶席や酒席に愛好されました。九代 高橋道八様は、その国際性と遊び心を現代的なフォルムに再解釈し、日常の晩酌にも映える軽やかな器へと昇華させておられます。

高橋道八家は江戸後期以来、京焼色絵の名門として知られます。九代様は京都文教短期大学 服飾意匠学科デザイン専攻を経て、京都府立陶工高等技術専門校 成形科・研究科、さらに京都工業試験場本科で技術基盤を固められました。

平成8年(1996年) 八代道八様(父)に師事し、本格的に作陶を開始

平成24年(2012年) 九代 高橋道八を襲名

服飾デザインで培われた造形感覚と、京焼の伝統技法が交差する作風は、道八家に新たな風を吹き込み、現代茶席やギャラリー空間にも映える洗練を示しています。

乳白釉の静穏と色絵の華やぎが響き合う本ぐい呑は、冷酒の透明感も燗酒の琥珀色も美しく引き立てる逸品です。手にすれば、絵付けのわずかな凸凹と乳白釉のなめらかさの対比が指先に心地よく、見るたび・飲むたびに阿蘭陀写の異国情緒が卓上を彩ります。末永くご愛飲いただき、高橋道八様の卓越した色絵技法と「見立て」の愉しみをご堪能くださいませ。

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