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練込ぐい呑み 小川文齋

練込ぐい呑み 小川文齋

通常価格 ¥27,500
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幅 : 8.0cm×8.0cm 高さ : 5.0cm

大地を呑む ― 練込ぐい呑み 六代 小川文齋(興) 作

六代 小川文齋(興)様が手掛けた本作「練込ぐい呑み」は、大地の記憶をそのまま写し取ったかのような、野趣と静けさを宿す逸品です。色の異なる土を重ね、練り合わせ、削り出し、焼成する――この複雑で手間のかかる「練込」の技法によって生まれたこの器は、見る者の目と心をじわりと惹きつける土そのものの語りを携えています。

淡く渋い黄土色を基調に、層状に現れる褐色の流れは、あたかも山肌の断層、あるいは田畑の地層を思わせます。釉薬の控えめな艶が、土の表情を損なうことなく柔らかに包み込み、自然そのものを手のひらに収めるような豊かさを感じさせる作品です。


「練込」が語るもの ― 土の記憶と偶然の美

練込(ねりこみ)は、陶芸において装飾でありながら、同時に「素材そのものが模様となる」表現技法です。本作では、異なる性質や色味を持つ複数の土を幾層にも重ねて成形し、削り出すことで模様を生み出しています。それは絵具で描くのではなく、まるで地層を掘り出すような行為であり、「時間」と「地質」の美学を器に刻むような表現といえるでしょう。

土の粒子の粗さ、含まれる鉄分の違い、焼成中に起こる収縮と変化――そうしたあらゆる自然の現象が、このぐい呑みの中に偶然と必然のかたちで封じ込められています。小川文齋様の作品にしばしば見られる“素材への敬意”が、練込という技法を通じて真っ直ぐに表現されています。


素朴な器形と手取りの妙

形状はごく素直で、正円に近い胴の中に自然な揺らぎを感じさせる口縁が、手仕事ならではのぬくもりを伝えてくれます。高台は素地のまま焼き締められており、釉薬のかからない素肌が土の荒々しさをそのまま表現しており、見た目の質感に加え、掌に触れたときの触覚的な魅力も引き立ちます。

掌にすっぽりと収まるサイズ感と重量のバランスもよく、手の中での“おさまり”が非常に自然です。使い込むごとに手になじみ、変化してゆく風合いは、まさに“育てる器”と呼ぶにふさわしい存在です。


ぐい呑みとしての実用と詩情

酒を注ぐと、うっすらとした黄味を帯びた器の内面が、液面のゆらぎとともにほのかに輝きます。酒の香り、手の温度、注ぐ音、唇に触れる縁の感触――この器は、飲むという五感を通じた行為を、より一層豊かに味わわせてくれる舞台となります。

特に、静かな時間にこの器で一献傾けたとき、その「土の声」が耳ではなく心に響いてくるような感覚を味わえるでしょう。自然の一部とともに過ごすような時間を与えてくれる器、それがこのぐい呑みの本質です。


六代 小川文齋の“土”への眼差し

練込という技法において、小川文齋様は色彩や技巧に走ることなく、あくまでも「土そのものの語り」に寄り添っています。緑釉の表現者として名高い文齋様が、あえて練込の素朴な表現を選ぶというのは、土と火という陶芸の原点に立ち返るための誠実な姿勢の表れでもあります。

「美しいと思うものを、平和を願いながら全力でつくる」――その信念のもとで生まれる作品には、装飾性よりも“芯”があります。本作も、静かであたたかく、強くて優しい。そんな人間的な魅力を宿した器です。


掌に宿る風土と祈り

この「練込ぐい呑み」は、自然の美しさを模倣するのではなく、“自然そのもの”を手のひらに招き入れるような存在です。山、風、土、火、雨――そのすべてが、この小さな器のなかに刻まれています。

使い込むほどに味わいが深まり、時間の経過とともに“風景”が現れてくる器。どうぞこのぐい呑みとともに、日常に静かなひとときを、そして土の詩に耳を傾けるような一献をお楽しみください。

ご購入に際してのご案内
本作品は、ご成約後「紙箱」でのご用意となります。
木箱は付属いたしません ので、あらかじめご理解のほどお願い申し上げます。
本作品は作家様より木箱のご用意がない仕様であり、当店でも木箱のお仕立てを行っておりません。そのため専用の紙箱にてお渡しさせていただいております。

六代 小川 文齋(興) 文齋窯 六代目 当主
陶芸作家・日展 会友・京都工芸美術作家協会 会員

活動経験
・カルチャーセンター講師(毎日・NHK・京都)20年継続中
・野焼き (五代文齋と共に)
・有限責任事業組合工人を結成・参加

陶歴
1974 京都五条坂の陶芸家 五代 小川文齋の長男として生まれる。
1999 京都造形芸術大学大学院 芸術学部 彫刻コース 修了
2000 京都府陶工高等技術専門校 成形科 修了 / 京展 入選 / 全関西美術展 入選
2001 京都府陶工高等技術専門校 専攻科 修了 / 京展 入選 / 京都工芸美術作家協会 入会
2002 グループ展「5人展」 / 京都市工業試験場 窯業研究室 修了 / 京展 楠部賞 / 第34回日展 初入選
2003 京展 入選 / 第25回日本新工芸展 日本新工芸奨励賞 / 日本新工芸家連盟近畿会 入会 / 全関西美術展 入選 / 第35回日展 入選
2004 京展 入選 / 第26回日本新工芸展 入選 / 日本新工芸展近畿展 読売新聞大阪本社賞 / 第36回日展 入選
2005 第27回日本新工芸展 東京都知事賞 / 初個展 (京都大丸百貨店アートサロン) / 第37回日展 入選
2006 第28回日本新工芸展 入選 / 日本新工芸展近畿展 読売テレビ放送賞 / 全関西美術展 入選 / 個展(髙島屋京都店 美術工芸サロン) / 第38回日展 入選
2007 京展 入選 / 第29回日本新工芸展 入選 / 第39回日展 入選 / 京都女子大学附属小学校 創立50周年記念 陶芸展 出品
2008 京展 入選 / 第30回日本新工芸展 入選 / U.S.E Uryuyama.Sculptors.Exhibition (ギャラリーマロニエ)
2009 グループ展「真朱展 冬の集い」 / 日本新工芸家連盟 会員になる / 第31回日本新工芸展 出品 / 京都工芸美術作家協会展 協会奨励賞 / 日本新工芸展近畿展 読売新聞大阪本社賞 / 第41回日展 入選 / 個展 (京都大丸百貨店 アートサロン) / U.S.E展 2009 (ギャラリーマロニエ)
2010 第32回日本新工芸展 出品 / 第42回日展 入選
2011 京都女子学園 創立100周年記念 第8回特別展「附属小学校卒業生-陶芸作家展」出品 / 第33回日本新工芸展 出品 / 全関西美術展 読売テレビ賞 受賞 / 新天地を求めた京焼 清水焼団地五十年の歩み 出展 / U.S.E 4 (ギャラリーマロニエ) / 創立65周年記念 京都工芸美術作家協会展 出品 / 個展 (京都大丸百貨店 美術画廊)
2012 第34回日本新工芸展 審査員 / 日本新工芸展近畿展 京都市教育長賞 / U.S.E 5 (ギャラリーマロニエ)
2013 京焼 文齋窯 六代目を継承する。
第35回日本新工芸展 出品 / U.S.E 6 (ギャラリーマロニエ) / 第44回日展 入選
2014 U.S.E 7 (ギャラリーマロニエ) /日本新工芸家連盟 脱退
2015 琳派400年記念現代作家200人による日本画・工芸展(京都文化博物館)/ 平成の京町家×平成の工人 / U.S.E 8 (ギャラリーマロニエ)
2016 京都六原地区「みんなでつけよう ろじのあいしょう」プロジェクト銘板作成 / 陶芸に集う日本画・写真・截金 四人のコラボ展(ポルタギャラリー華)
2017 個展 大丸京都店 美術画廊 / U.S.E 10 (ギャラリーマロニエ)
2018 喫茶去~まずはお茶を一服~ 工人(ポルタギャラリー華)
登り窯 損壊
2019 登り窯修復 完了
京展 小さな宇宙展(ポルタギャラリー華)
六代 小川文齋襲名披露祝賀会
2020 京展 小さな宇宙展(ポルタギャラリー華)/ 京都工芸美術作家協会 選抜展
2021 創立75周年 京都工芸美術作家協会展 / 個展 大丸京都店 美術画廊

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