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乾山写し槍梅之絵酒呑 宮川香斎

乾山写し槍梅之絵酒呑 宮川香斎

通常価格 ¥77,000
通常価格 セール価格 ¥77,000
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高さ :7.5cm  幅 : 6.5cm

「乾山写し槍梅之絵酒呑 宮川香斎」は、京焼の伝統技術と繊細な美意識を融合させた、見事な工芸品です。この作品は、古典的な京焼のスタイルを反映しつつ、生命力に満ちた「槍梅」という非常に魅力的な題材を用いて、見る者の心を捉える存在感を持っています。特に、梅の花という日本文化において特別な意味を持つモチーフが、この酒呑を通じて巧みに表現されています。

この作品は、白泥で白梅の花弁が描かれ、その上から半透明の釉が掛けられ、本焼きされています。その後、上絵付けとして赤・緑・黄の三色の絵の具が用いられ、紅梅の花弁、梅の樹の新芽、白梅の蘂が表現されています。これにより、単に美しいだけでなく、自然の豊かな生命力が鮮やかに感じられる作品に仕上がっています。

槍梅の絵が持つ特別な魅力

槍梅の絵には、日本文化が大切にしてきた自然観と美的感覚が凝縮されています。特に梅の花は、冬の寒さを乗り越えて咲くことから、力強い生命力の象徴として古くから愛されてきました。この「槍梅」という表現は、まっすぐに空へと伸びる枝に梅の花が咲く様子を描き、梅の持つその強さと美しさを強調しています。

生命力の象徴:
梅の花は、他の花に先駆けて寒い冬の終わりに咲き始め、生命力の象徴とされてきました。特に槍梅は、そのまっすぐに力強く伸びる枝が、自然界の強靭さと活力を示しており、見る者に強い印象を与えます。梅の花が咲く様子は、自然が持つ強さと希望を体現しており、厳しい環境にも屈しない精神を象徴しています。

冬の美しさ:
槍梅の絵が特に魅力的なのは、冬の寒さの中で咲く梅の花の美しさを描いている点です。冬の雪景色や寒々しい風景の中に咲く紅梅や白梅は、季節の対比を感じさせ、その美しさが際立ちます。梅の花は、静けさの中に命の息吹を感じさせる存在であり、多くの芸術家や詩人たちに愛されてきました。

高潔さの象徴:
梅の花は、逆境にあっても高潔さを失わず、凛と咲き続けることから、高潔さの象徴としても知られています。多くの日本の文人や墨客がこの梅の美しさを称え、和歌や俳句に詠み込んできたことも、梅が日本文化において特別な存在であることを物語っています。梅の花が持つ気高さは、鑑賞者に深い感銘を与え、日常の中で忘れがちな美徳を思い起こさせます。

季節の移り変わりを告げる花:
梅の花は、日本では春の訪れを告げる花として広く知られています。梅の開花は、冬が終わり、春の息吹が感じられる時期に訪れ、その様子を目にすることで季節の移ろいを実感させてくれます。このように、梅の花を鑑賞することは、単に花の美しさを楽しむだけでなく、自然のリズムや時間の流れを感じさせるものでもあります。

酒呑の形状と美的機能

「乾山写し槍梅之絵酒呑」は、酒器としての機能美も兼ね備えています。酒呑は一般的にぐい呑みよりもやや大きめで、手に取ると軽く、心地よく手に馴染む形状をしています。この作品も例外ではなく、その持ちやすさや手触りの良さが特徴です。鑑賞者は、この器を手に取りながら、槍梅の絵を楽しむことができ、視覚的にも触覚的にも満足感を得られます。

また、単にお酒を飲むための器としてだけではなく、そこに描かれた絵柄を楽しみながら、ゆっくりと季節感や自然の美しさを味わうことができる点が、この酒呑の大きな魅力です。手に持つときの軽やかさ、そして絵柄の細やかな美しさが、酒呑の器全体に調和しており、飲むことそのものが一つの儀式のように感じられます。

乾山写しと尾形乾山の影響

「乾山写し」とは、江戸時代に活躍した京焼の巨匠、尾形乾山の作風を模倣しながらも、独自の解釈を加えた作品です。尾形乾山は、京焼の祖とされる野々村仁清から技法を学び、京都に窯を開き、多くの優れた作品を生み出しました。乾山の作風は大胆かつ自由であり、彼の作品は今もなおその洗練された美しさが評価されています。

乾山の兄である尾形光琳は琳派の著名な画家であり、乾山が作る器に光琳が絵付けを施すなど、兄弟での協力関係も深く、彼の芸術的センスに大きな影響を与えました。光琳の代表作である「紅白梅図屏風」は、梅の花をモチーフにした名作であり、乾山にとっても梅は特別な存在だったと考えられます。乾山写しでは、この梅というモチーフが幾度も取り上げられ、その生命力と美しさが強調されています。

乾山写しの作品に描かれる梅の図案は、単純化されているものの、空に向かって伸びる幹の力強さと、花弁の可憐さが見事に表現されています。乾山の作風を「写す」という行為は、単なる模倣ではなく、彼の技法や美意識を取り入れながら新しい作品を創造する意味が込められています。

宮川香齋家とワラ灰釉の技法

この作品を製作した宮川香齋家は、京焼の伝統を守り続けてきた家系であり、その作品には家特有のワラ灰釉が使用されています。ワラ灰釉は、乳白色でふっくらとした質感が特徴で、器全体に優美さと温かみを与えます。この釉薬は、野々村仁清が用いたものであり、宮川家では代々受け継がれてきた重要な技法です。ワラ灰釉は同じ釉薬でも、土の質によって赤みを帯びたり、青白い色調を見せたりと、作品ごとに微妙に異なる色合いを楽しむことができる点も魅力です。

真葛焼の歴史と宮川家の功績

真葛焼は、江戸時代の貞享年間に、宮川家の祖である祐閑宮川小兵衛政一が京都に移り、陶業を始めたことに端を発します。その後、東山真葛ヶ原に窯を開き、真葛焼という名が広まりました。宮川家は代々京焼の伝統を守り続け、真葛焼は日本国内だけでなく、イギリスやフランス、中国などの海外にも広く知られるようになりました。

現代では、宮川家の作品はヴィクトリア&アルバート博物館や国際交流基金など、国内外の多くのコレクションに所蔵されています。真葛焼はその気品と美しさで、多くのファンに愛され続けていますが、それは宮川家が代々受け継いできた技術と創造性の賜物です。

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