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信楽竹花入 柳下季器

信楽竹花入 柳下季器

通常価格 ¥165,000
通常価格 セール価格 ¥165,000
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幅10.0cm   高さ24.5cm

素朴と品格の共存──竹花入の形式に信楽土を与える

本作《信楽竹花入》は、茶の湯における定型である「竹花入」のかたちを、信楽の土味と焼成で置き換えた現代的な作品です。竹花入は、もともと自然素材の竹をそのまま器としたもので、素朴な野趣と、茶室における季節感を演出する形式のひとつとして愛されてきました。柳下季器様はこの「竹花入」を陶によって再構成し、伝統の形式に新たな景色と素材感を与えています。


信楽焼の土と焼成が生む表情

信楽焼は、滋賀県甲賀市信楽を中心とした地域で発展したやきもので、古くは天平十四年(742年)に聖武天皇の紫香楽宮造営に際して瓦を焼いたことが起源とされます。室町期には茶陶としての素地を獲得し、蹲・鬼桶・苧桶といった日常雑器が見立てられ、花入や水指へと転用されました。

本作にも、信楽焼特有の以下のような焼成景色が見られます:

灰被り:無釉の素地に薪の灰が降りかかって自然釉となる

釉流れ:自然釉が溶けて流れ出す様子

蜻蛉の目:釉流れの終点に生じる丸い釉溜まり

火色:炎の直撃により赤く発色した肌

焦げ:灰に埋もれて黒褐色に焼成された部分

石はぜ:胎土中の長石粒が焼成中に露出し白いツブとなる

これらの要素は、いずれも制御しきれない自然の力によって器に現れるものであり、信楽焼における最大の魅力ともいえます。


花入としての設計と使い勝手

本作は、細筒状の縦長の器形により、一本挿しや数本の枝物に特化した構造となっており、茶室や現代住宅の壁面・床の間・軸前など、設置環境を問わず活用できます。表面の変化に富んだ釉景や土肌の粗さは、季節の草花や野の花と好対照をなし、花の色味や線を引き立てる背景として機能します。

特に注目すべきは、器表面に施された焼成の痕跡が、花との呼応関係を生み出す点です。たとえば、火色部分に秋草を活けると、季節感がより明瞭に立ち上がり、灰かぶりの白化した肌には春の山野草がよく似合います。


柳下季器の姿勢──信楽焼の再構築

柳下季器様は、伊賀の地にて信楽・伊賀・織部など多彩な伝統技法を現代的に再構成する作陶を続けています。本作《信楽竹花入》もまた、伝統に倣いながらも、それを形式として踏襲するだけではなく、造形の再設計と焼成の意図的制御を通じて、「土と火の表現」を現代に展開する実験的な成果といえます。

焼成中の薪の灰の流れを読み、火の動きを想定しながら形を整える手法は、単なる素朴さではなく、焼成芸術としての論理と経験に裏打ちされたものであり、茶陶の素材としての信楽の可能性を着実に押し広げるものです。

《信楽竹花入》は、伝統的な茶の湯の形式である竹花入を、信楽の陶によって再構成した秀作です。器の表情は複雑でありながら過剰に装飾的ではなく、あくまで自然と調和しながら、季節の草花と呼応する設計となっています。

焼成技術、造形設計、土への理解、そのすべてが結実した花入であり、実用性と鑑賞性を併せ持つ花器として、高い完成度を備えています。柳下様の信楽再構築の実践としても、本作はひとつの到達点といえるでしょう。

 

柳下 季器(Hideki Yanashita) プロフィール
陶芸家 1967 –
東京都生まれ。現在は三重県伊賀市を拠点に活動。桃山時代のやきものに魅了され、陶芸の道へ進む。信楽での修行を経て三重県・伊賀に自ら穴窯を築窯し、「神田窯」を開窯。杉本貞光氏に薫陶を受け、侘び寂びの世界を独自の視点で深く探求しつつ、楽焼や焼締、井戸、織部など多彩な作品を制作しています。柳下氏の創作において重要なテーマとなるのは、先人の技法や精神を深く学びつつも、現代の素材や独自のアプローチを取り入れることで生まれる新たな極みへの探究です。その作品は時代に左右されない本質的な美を問いかけ、観る者をより深い芸術の世界へと誘います。

活動拠点
三重県・伊賀

略歴
1967年 東京都生まれ
1989年 専門学校桑沢デザイン研究所卒業
2002年 三重県伊賀市に穴窯を自身で築窯(神田窯)
2002年 高島屋横浜店にて二人展
2004年 高島屋横浜店にて個展(以降開催)
2007年 高島屋京都店にて個展(以降開催)
2007年 杉本貞光先生に薫陶を受ける(以降現在まで)
2008年 高島屋大阪店にて個展(以降開催)
2013年 JR名古屋タカシマヤにて個展(以降開催)
2023年 日本橋三越本店にて個展(以降開催)
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