商品情報にスキップ
1 6

龍頭香爐 小川文齋

龍頭香爐 小川文齋

通常価格 ¥38,500
通常価格 セール価格 ¥38,500
セール 売り切れ
税込。 配送料はチェックアウト時に計算されます。

幅 : 12.0cm×7.0cm 高さ : 8.0cm

龍の息吹を宿す ― 龍頭香爐 六代 小川文齋 様 作

ひとたび目にすれば忘れがたい存在感を放つ本作「龍頭香爐(りゅうとうこうろ)」は、六代 小川文齋(興)様が手がけた、躍動と精神性を内に宿す一品です。造形の主題は龍。古来より瑞獣として尊ばれ、神仏の世界においては天と地をつなぐ霊的な存在とされてきた龍を、香爐という静謐な器に落とし込むという試みに、文齋様の確かな造形力と深い精神性が感じられます。

本作における龍の表現は、単なる写実を超えて、作者の内奥から湧き上がる“祈り”や“願い”を宿しています。鋭くも温かみをもつ眼差し、開かれた口元、堂々と伸びる角や髭の動きは、まるでいまにも空を駆けるかのような勢いを内包しつつも、香爐という用途のなかでどこか静けさと荘厳さを帯びております。緑釉によって全体が包まれたこの龍の姿は、まさに小川文齋様が長年探究してきた「翠」の象徴であり、平和と自然の調和への希求そのものです。

この「龍頭香爐」を目の前にすれば、誰もが一瞬、時の流れを忘れるでしょう。釉調の深みは、見る角度によって異なる表情を見せ、やがて香が焚かれることで煙が立ち上れば、龍の息吹のように空間へと浸透し、観る者の心に静かに沁み入ります。


緑に託された祈り ― 六代 小川文齋 様の世界

本作を手がけた六代 小川文齋(興)様は、1974年、京都五条坂の陶芸家・五代文齋様の長男としてお生まれになりました。大学では彫刻を、その後は京都府陶工高等技術専門校や市工業試験場にて成形や釉薬について研鑽を積み、2014年に六代文齋を襲名されました。代を継いだ後も「文齋」の名に安住することなく、京焼の伝統と向き合い、現代にふさわしい“美”の形を模索し続けておられます。

なかでも文齋様がとりわけこだわりを持って取り組まれてきたのが「緑釉」の研究です。父・五代文齋様が赤を用いた情熱的な作品を多く手がけていたのに対し、六代様は山の木々や大地の包容力に魅せられ、自らの作品に緑を宿してきました。緑は、文齋様にとって単なる色彩ではなく、「平和」や「安らぎ」、そして「人と自然との共生」を象徴する思想のかたちなのです。

その緑が、龍の姿に染み込んだ本作では、“怒り”や“猛々しさ”といった一般的な龍のイメージを超え、静かでありながらも力強い守護の精神が宿っております。


窯の系譜に刻まれた歴史と技

この香爐の奥底には、小川家が174年にわたり育んできた窯の歴史が静かに息づいています。初代 小川文齋(文助)様は1809年、加賀国に生まれ、全国の陶業地を修業してまわった後、1834年に肥前有田にて丸窯式の築窯法を学ばれました。1847年には、京都府木津川市の鹿背山にて一条家の庇護を受けて窯を開き、「齋」の字と家紋を頂戴し、文齋窯を創業されました。

明治維新の混乱を経て、1873年に京都五条坂へ移り、以来六代にわたってこの地で陶を焼き続けています。戦火により後継者を失うなどの困難もありながら、五代 欣二様が文齋を襲名し再び家業を支え、現・六代 興様によってさらに現代的な美意識が加えられています。

国の登録有形文化財にも指定されている登り窯は、そうした幾多の時代を生き抜いた証でもあり、この香爐もまた、その火の記憶を受け継ぐ一品であると言えるでしょう。


祈りのかたちとしての香爐

「龍頭香爐」は、ただの焼き物ではありません。それは、文齋窯の歴史、作家の想い、時代の風景、そして祈りの心を宿した“かたち”です。香爐とは、本来、清らかな空間を作るための道具であり、神仏に捧げる香の煙を運ぶ舟のような存在でもあります。その舟の舳先に、龍という守り神が立ち現れる。この象徴性の豊かさは、六代 小川文齋様の審美眼と精神性があってこそ生まれ得た造形美です。

現代という不安定な時代において、龍はただの伝説上の生物ではなく、「超えていく力」や「調和への意思」の象徴として、あらためて人々の心に訴えかける存在であるはずです。


この「龍頭香爐」があなたの空間に置かれるとき、それは単なる装飾を超えた精神的な結界となり、静かな守護と豊かな物語を纏った“時のかたち”として息づきはじめます。150年の火と土の継承が生んだこの一器を、どうぞご覧ください。

 

ご購入に際してのご案内
本作品は、ご成約後「紙箱」でのご用意となります。
木箱は付属いたしません ので、あらかじめご理解のほどお願い申し上げます。
本作品は作家様より木箱のご用意がない仕様であり、当店でも木箱のお仕立てを行っておりません。そのため専用の紙箱にてお渡しさせていただいております。
六代 小川 文齋(興) 文齋窯 六代目 当主
陶芸作家・日展 会友・京都工芸美術作家協会 会員

活動経験
・カルチャーセンター講師(毎日・NHK・京都)20年継続中
・野焼き (五代文齋と共に)
・有限責任事業組合工人を結成・参加

陶歴
1974 京都五条坂の陶芸家 五代 小川文齋の長男として生まれる。
1999 京都造形芸術大学大学院 芸術学部 彫刻コース 修了
2000 京都府陶工高等技術専門校 成形科 修了 / 京展 入選 / 全関西美術展 入選
2001 京都府陶工高等技術専門校 専攻科 修了 / 京展 入選 / 京都工芸美術作家協会 入会
2002 グループ展「5人展」 / 京都市工業試験場 窯業研究室 修了 / 京展 楠部賞 / 第34回日展 初入選
2003 京展 入選 / 第25回日本新工芸展 日本新工芸奨励賞 / 日本新工芸家連盟近畿会 入会 / 全関西美術展 入選 / 第35回日展 入選
2004 京展 入選 / 第26回日本新工芸展 入選 / 日本新工芸展近畿展 読売新聞大阪本社賞 / 第36回日展 入選
2005 第27回日本新工芸展 東京都知事賞 / 初個展 (京都大丸百貨店アートサロン) / 第37回日展 入選
2006 第28回日本新工芸展 入選 / 日本新工芸展近畿展 読売テレビ放送賞 / 全関西美術展 入選 / 個展(髙島屋京都店 美術工芸サロン) / 第38回日展 入選
2007 京展 入選 / 第29回日本新工芸展 入選 / 第39回日展 入選 / 京都女子大学附属小学校 創立50周年記念 陶芸展 出品
2008 京展 入選 / 第30回日本新工芸展 入選 / U.S.E Uryuyama.Sculptors.Exhibition (ギャラリーマロニエ)
2009 グループ展「真朱展 冬の集い」 / 日本新工芸家連盟 会員になる / 第31回日本新工芸展 出品 / 京都工芸美術作家協会展 協会奨励賞 / 日本新工芸展近畿展 読売新聞大阪本社賞 / 第41回日展 入選 / 個展 (京都大丸百貨店 アートサロン) / U.S.E展 2009 (ギャラリーマロニエ)
2010 第32回日本新工芸展 出品 / 第42回日展 入選
2011 京都女子学園 創立100周年記念 第8回特別展「附属小学校卒業生-陶芸作家展」出品 / 第33回日本新工芸展 出品 / 全関西美術展 読売テレビ賞 受賞 / 新天地を求めた京焼 清水焼団地五十年の歩み 出展 / U.S.E 4 (ギャラリーマロニエ) / 創立65周年記念 京都工芸美術作家協会展 出品 / 個展 (京都大丸百貨店 美術画廊)
2012 第34回日本新工芸展 審査員 / 日本新工芸展近畿展 京都市教育長賞 / U.S.E 5 (ギャラリーマロニエ)
2013 京焼 文齋窯 六代目を継承する。
第35回日本新工芸展 出品 / U.S.E 6 (ギャラリーマロニエ) / 第44回日展 入選
2014 U.S.E 7 (ギャラリーマロニエ) /日本新工芸家連盟 脱退
2015 琳派400年記念現代作家200人による日本画・工芸展(京都文化博物館)/ 平成の京町家×平成の工人 / U.S.E 8 (ギャラリーマロニエ)
2016 京都六原地区「みんなでつけよう ろじのあいしょう」プロジェクト銘板作成 / 陶芸に集う日本画・写真・截金 四人のコラボ展(ポルタギャラリー華)
2017 個展 大丸京都店 美術画廊 / U.S.E 10 (ギャラリーマロニエ)
2018 喫茶去~まずはお茶を一服~ 工人(ポルタギャラリー華)
登り窯 損壊
2019 登り窯修復 完了
京展 小さな宇宙展(ポルタギャラリー華)
六代 小川文齋襲名披露祝賀会
2020 京展 小さな宇宙展(ポルタギャラリー華)/ 京都工芸美術作家協会 選抜展
2021 創立75周年 京都工芸美術作家協会展 / 個展 大丸京都店 美術画廊
詳細を表示する
  • 【丁寧に、お送りいたします】

    それぞれの商品に合った形態で、丁寧に梱包いたします。

    また、作品(器など)により、納期は変わります。

    作品の引渡時期は、ご注文確認後、共箱準備済み作品は7営業日以内に出荷させていただきます。共箱を新たに製作する作品は45営業日以内に出荷させていただきます。

    いずれも、ご注文を確認いたしましたら、当店より納期をメールにてご連絡いたします。

    梱包のこだわりについて

  • 【陶器をご購入の際のお願い】

    作品ごとに、出来るだけ詳細をご確認いただけるように画像を掲載しておりますが、ご不明な点はお問い合わせください。

    作品の色合いなどは、画像を表示する環境により若干異なることがございますが、ご理解の程お願いいたします。

    作品により貫入などによる、茶碗への染み込みが発生することがございますが、それも経年変化の味わいとしてご理解いただきますようお願いいたします。

    作品の取り扱いについて