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丹波灰釉茶盌  市野秀作

丹波灰釉茶盌  市野秀作

通常価格 ¥88,000
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丹波灰釉茶盌 — 市野秀作様

(高さ 7.8 cm × 口径 12.5 cm・12.0 cm、共箱付き)

控えめながらも胸に秘めた熱情で作陶に臨まれる市野秀作様――省三窯三代目として伝統的な丹波焼の精神を受け継ぎつつ、新たな造形と釉彩の地平を切り拓く若手俊英です。本作は、そんな市野様が薪窯で焼き上げた灰釉茶盌。複雑に溶け合う灰釉と鉄釉が、深い黒褐色・鈍色(にびいろ)・藍紫・緋色・象牙白へと多層的に変化し、まるで炎が瞬間ごとに描いた抽象絵画のような景色を呈しています。


1.釉調の妙 ― 灰釉が織り成す即興のグラデーション

丹波の土味を生かす鉄分豊かな胎土に、灰釉と鉄釉を掛け分け、還元気味の強い薪窯で十数時間焼成。窯変を誘う綿密な温度管理により、灰が流れ落ちた乳白の筋と、鉄分が滲んで生まれた深紅・紫が大胆に交錯しています。口縁から胴へかけて現れる煤黒(すすぐろ)の陰翳は、炎が茶碗を包み込んだ軌跡そのもの。見る角度・光の強さによって色相が刻一刻と変わり、茶席で客人を飽きさせません。

2.造形美 ― 手捻りが生む柔らかな稜線

轆轤成形後に指で内外を軽く押し出し、不均質な凹凸を残すことで、手取りの馴染みと景色の変化を両立。口造りはわずかに開き、茶を含んだ際に舌にすっと流れ込む絶妙なラインを描きます。高台は低めに切り込み、丹波特有の赤土が顔をのぞかせることで全体の濃密な釉景を引き締めています。

3.伝統と革新 ― 省三窯三代目の挑戦

初代・市野省三様が確立した「灰釉×還元炎」の王道を継ぎながら、市野秀作様は釉薬の厚掛けと急冷による急峻な窯変を探究。丹波焼が有する素朴で力強い風合いに、現代的な色彩感覚と抽象表現を掛け合わせています。その姿勢は、茶盌という古典的フォーマットに新しい息吹を吹き込む―—まさに「守破離」の精神にほかなりません。

4.精神性 ― 寡黙な作り手が託す内なる炎

普段寡黙な市野様ですが、作品を語るときの眼差しは薪窯の炎のように熱く、本作にもその情熱が焼き付いています。灰が流れ落ちた白は“余白”、深紅は“内に秘めた情念”、煤黒は“窯中の静寂”を象徴し、見る者に「炎の時間」を想像させる―—まさに心と炎との対話が形となった一碗です。

5.機能美 ― 茶席で映える景色と実用性

胴の膨らみが手に心地良く収まり、釉薬の厚みによる保温性も十分。見込(胴内側)に施された淡いクリーム色の釉溜まりは抹茶の緑を引き立て、点てた際の“景色”をよりドラマチックに演出します。共箱には市野様の直筆箱書きが入り、茶会はもちろんご所蔵用にもふさわしい格式を備えています。


市野秀作様 略歴(抜粋)

1986年 丹波立杭に生まれる。

2010年 京都府立陶工高等技術専門校卒業。

2011年 第40回日本伝統工芸近畿展 初入選(以降’12, ’13, ’15 等)。

2012年 第29回田部美術館「茶の湯の造形展」入選。

2014年 同展 奨励賞受賞。

2015年 第23回日本陶芸展入選/田部美術館 優秀賞/第8回現代茶陶展入選/日本伝統工芸展入選。

2017年 日本工芸会近畿支部長賞/第64回日本伝統工芸展入選。

2021年 第38回田部美術館 秀美賞/笠間陶芸大賞展入選。

2022年 第51回日本伝統工芸近畿展「日本伝統工芸近畿賞」受賞。

あべのハルカス、新宿京王百貨店、京都高島屋、名古屋三越、大丸神戸店 ほか個展多数。

日本工芸会 正会員


丹波の大地、薪窯の炎、そして市野秀作様の静かなる情熱が三位一体となって生まれた本作は、茶席に“燃えさしの余韻”をもたらす一碗です。灰釉が奏でる揺らぎの色彩と、手捻りならではの温かみを、ぜひ掌で味わいながらご堪能くださいませ。

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