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丹波黒釉茶盌 市野信水

丹波黒釉茶盌 市野信水

通常価格 ¥187,000
通常価格 セール価格 ¥187,000
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丹波黒釉茶盌 — 市野信水様


黒釉に宿る奥深い光沢

本作にかけられた黒釉(こくゆう)は、鉄分を多く含む丹波の土と登り窯の還元炎が生み出した艶やかな漆黒です。光が当たると、黒の中にほんのりと緑味や褐色が揺らぎ、茶室の行灯や蝋燭の灯りを柔らかく映し返します。器面に散る金色の斑点は、焼成中に灰が熔け込んで生じた“胡麻(ごま)”と呼ばれる景色で、静かな黒の中に星屑をちりばめたかのような趣きを添えています。

侘びを体現する端正な造形

腰をやや張り、口縁に向かってわずかに内へ抱え込む“筒茶碗”に近いシルエットは、点前の際に茶がふくよかに立ち上がるよう計算されたものです。轆轤(ろくろ)成形後、指で軽く押し締めたゆるやかな凹凸が胴にリズムを与え、余白のある黒釉を単調に見せません。口造りは四方をほんのり角に取り、柔らかな不定形を残すことで、利休の侘び茶に通じる素朴な表情を纏わせています。

荒土と火が紡ぐ“丹波らしさ”

高台脇に覗く粗目の胎土は、花崗岩を含む丹波の山土をほとんど精製せずに使うことで得られる野趣そのものです。厚めに削り残した高台がどっしりと器を支え、抹茶を点てた際の安定感を高めています。焼成は三昼夜以上薪を焚き続ける登り窯で行われ、炎の流れや灰の降り方が一点一点異なる唯一無二の景色を刻み込みました。

二代目 市野信水様の技と美意識

市野信水様は、初代から受け継いだ轆轤技術に独自の感性を加え、丹波古窯には珍しい“黒釉”の可能性を探求してこられました。鉄量の調整や焼成雰囲気の微細なコントロールによって、重たくなりがちな黒釉に透明感と深みを与え、現代の茶席にも映える洗練を実現しています。

茶席で引き立つ機能美

抹茶の発色:漆黒の釉肌が、点てた抹茶の鮮やかな緑を際立たせ、客人の目を楽しませます。

持ちやすさ:胴の凹凸が指掛かりとなり、熱を含んだ茶碗でも安定して持ち上げられます。

四季適応:筒形に近いため保温性が高く、炉の季節に最適。薄茶にも濃茶にも使える包容力があります。

長くご愛用いただくために

ご使用前に軽く水通ししてからお点前いただくと、茶渋が均一に染み込み美しい景色に育ちます。

使用後はぬるま湯で優しく洗い、柔らかい布で水気を拭き取ってから陰干ししてください。

黒釉の艶は使うほどに落ち着きを増し、胡麻の金色がより際立ちます。経年変化こそ本作の醍醐味です。


漆黒の深みに星のまたたきを閉じ込めたかのような、市野信水様の丹波黒釉茶盌。野趣と端正さが共存するこの一碗が、茶席に静かな緊張感と温もりをもたらし、日々の一服を格別なひとときへと導いてくれることでしょう。どうぞ末永くお手元で育て、時とともに深まる侘びの景色をお楽しみくださいませ。

作陶歴

  • 昭和32年: 丹波立杭に初代信水氏の長男として生まれる
  • 昭和55年: 丹波立杭にて作陶開始、県展 入選
  • 昭和58年: 県工芸美術展 文化協会賞受賞
  • 昭和59年: 県工芸美術展 協会賞受賞、県工芸美術作家協会会員となる
  • 昭和60年: 全関西美術展 入選
  • 昭和61年: 日本工芸会近畿展 入選
  • 平成元年: 茶の湯の造形展 入選、大阪高島屋二人展、日本伝統工芸展 初入選、豊田そごう三人展
  • 平成2年: 日本伝統工芸展 入選
  • 平成3年: 茶の湯の造形展 入選、大阪高島屋二人展、県工芸美術展 神戸新聞社大賞受賞
  • 平成4年: 池袋西武蓬莱会展、茶の湯の造形展 入選、日本伝統工芸展 入選
  • 平成5年: 茶の湯の造形展 入選、日本伝統工芸展 入選、日本工芸会正会員に認定、県工芸美術展 神戸新聞社大賞受賞
  • 平成7年: 大阪高島屋個展、茶の湯の造形展 入選、日本伝統工芸展 入選
  • 平成8年: ぎゃらりい栗本個展、日本伝統工芸展 入選
  • 平成9年: 大阪高島屋個展、茶の湯の造形展 入選、水戸京成百貨店個展、ギャラリー栄光舎個展
  • 平成10年: ぎゃらりい栗本個展、茶の湯の造形展 入選、大黒屋個展、大阪高島屋個展
  • 平成11年: 茶の湯の造形展 入選、豊田そごう個展
  • 平成12年: 茶の湯の造形展 入選
  • 平成13年: 茶の湯の造形展 入選、16回日本陶芸展「丹波茶入」 入選
  • 平成14年: 克明を改め二代「市野信水」を襲名、茶の湯の造形展 入選、大阪高島屋、JR名古屋高島屋にて市野信水襲名展を開催
  • 平成15年: 茶の湯の造形展 入選、日本陶芸展 入選、日本伝統工芸展 入選、米子高島屋個展、ギャラリー桃山個展、神戸大丸個展
  • 平成16年: 宝永堂個展、JR名古屋高島屋個展
  • 平成17年: 茶の湯の造形展 入選、日本陶芸展 入選、ぎゃらりい栗本個展、京都高島屋個展
  • 平成18年: 米子高島屋個展、大阪高島屋個展、下関大丸個展、ギャラリー壺屋個展
  • 平成19年: 兵庫の陶芸出品、日本伝統工芸展 入選、JR名古屋高島屋個展
  • 平成20年: 日本伝統工芸展 入選、ぎゃらりい栗本個展
  • 平成21年: 大阪高島屋個展、米子高島屋個展
  • 平成23年: 日本伝統工芸展 入選
  • 平成26年: 日本伝統工芸近畿展 入選
  • 平成27年: 日本伝統工芸近畿展 入選、日本伝統工芸展 入選
  • 平成28年: 日本伝統工芸近畿展 入選、日本伝統工芸展 入選
  • 平成29年: 日本伝統工芸展 入選
  • 平成30年: 日本伝統工芸展 入選
  • 令和4年: 日本伝統工芸展 入選

 

 

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    作品の色合いなどは、画像を表示する環境により若干異なることがございますが、ご理解の程お願いいたします。

    作品により貫入などによる、茶碗への染み込みが発生することがございますが、それも経年変化の味わいとしてご理解いただきますようお願いいたします。

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