丹波窯変芋頭水指 正元直作
丹波窯変芋頭水指 正元直作
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丹波窯変芋頭水指 ― 正元直作様
高さ 23.0 cm × 最大径 18.2 cm
1.芋頭(いもがしら)形が醸し出す親しみと品格
里芋を思わせるふっくらとした胴回りと、すぼまった口造り――芋頭水指ならではの柔和なフォルムが、茶席に穏やかな空気を運びます。肩の張りを抑えた丸みと、安定感のある尻張りのバランスが絶妙で、見た目の愛らしさとは裏腹に堂々とした存在感を放ちます。
2.炎が描く窯変の妙味
本作は釉薬を一切用いず、登り窯で赤松薪を三昼夜以上焚き込む焼締の技法で焼成されています。炎と灰が器肌に及ぼす“窯変(ようへん)”により、紫褐・焦茶・苔緑が溶け合い、ところどころ白銀の結晶が霜のようにきらめきます。これらの景色は窯内の位置や灰の降り方、炎の温度変化が偶然に重なって生まれた唯一無二のものです。
3.南蛮写しの系譜
芋頭水指は、桃山時代に茶人が愛した南蛮(なんばん)焼締の壺を写したものと伝えられます。土味を活かした素朴な造形と力強い焼締肌は、「数寄者が愛玩す」と古書に記されるほど茶の湯と親和性が高い意匠です。正元直作様はその精神を継ぎ、丹波の荒土と薪窯焼成で“和製南蛮”とも言える風格を現代に甦らせています。
4.四季を映す包容力
春・秋:薄紅の椿蓋や朴(ほお)の葉蓋と合わせれば、温かな土味が季節の彩りをやさしく受け止めます。
夏:付属の溜塗(ためぬり)蓋を載せると、涼やかな黒漆と窯変の光沢が響き合い、爽やかな趣に。
冬:灰被りの銀灰色が炉縁の景色と調和し、侘びの情趣をいっそう深めます。
5.用の美を支える細部設計
口縁は薄く面取りされ、柄杓(ひしゃく)のあたりが滑らか。胴のゆるやかな轆轤目(ろくろめ)が手掛かりとなり、取り回しも安定しています。内面は緻密に焼き締まっているため水を吸いにくく、茶席での実用に充分耐える構造です。
6.お取り扱いと育て方
ご使用前に軽く水を通し、器肌を潤してからお使いください。
使用後はぬるま湯ですすぎ、柔らかな布で水気を拭き取って陰干ししてください。
洗剤や長時間の浸水は避け、焼締肌の呼吸を妨げないようご注意ください。
丹波の大地が育んだ荒土と、炎が偶然に描いた窯変の景色――正元直作様による丹波窯変芋頭水指は、伝統と革新が溶け合う茶道具の逸品です。季節ごとに蓋や添え物を替えながら、どうぞ末永くお手元で育み、歳月とともに深まる侘びの味わいをご堪能くださいませ。
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