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青瓷貫耳瓶 諏訪蘇山

青瓷貫耳瓶 諏訪蘇山

通常価格 ¥253,000
通常価格 セール価格 ¥253,000
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幅 : 13.0cm 高さ : 20.6cm

「青瓷貫耳瓶(せいじ・かんじへい)」は、四代 諏訪蘇山様 が手掛けられた作品で、南宋時代・龍泉窯における砧青磁(きぬたせいじ)の名品を範としてお作りになっています。初代 諏訪蘇山様 が二十五年に及ぶ研究の末に完成させた“蘇山青磁”の釉色を正統に受け継ぎつつ、現代の茶席や室礼に馴染む端正な佇まいへと昇華されています。


造形の特徴

貫耳(かんじ)
胴と頸の境に左右一対で付く耳は、古来、紐を通して瓶を吊るための実用部位でした。四代 諏訪蘇山様 は耳の内側をごく浅く窪ませ、外縁をやや膨らませることで、柔らかな陰影と指掛かりの良さを両立させています。

胴から頸への律動
下部はふっくらと丸みを帯び、肩で緩やかに絞り込みながら筒状の頸へと繋がります。頸の中央に一条、胴裾に一条刻まれた細い帯状の削りが、全体を引き締めるアクセントとなっています。

外反する口縁
口縁はわずかに外側へ開き、花材を自然に受け止める形状です。内側には極薄く釉が溜まり、淡い翡翠色が一段と濃く映えます。


釉調――「蘇山青磁」の息吹

 胎土に含ませた微量の鉄分が還元炎の中で溶け合い、透明感の高い青緑を呈しています。写真でもお分かりいただけるように、貫耳の付根や帯削りの凹部では釉薬がわずかに厚く溜まり、深い翳りとなってグラデーションを生み出しています。これは初代 諏訪蘇山様 が確立した「胎土と釉の鉄分を一体で設計する」手法を、四代が緻密に再現した証しと言えます。


歴史的背景と意匠の意義

 貫耳瓶は南宋宮廷や文人層で珍重された器形で、龍泉青磁の典型的モティーフの一つです。本来は祭器や儀礼具として用いられ、耳に紐を通して高所に掛けることで邪気を払うとされました。四代 諏訪蘇山様 は、その精神性を汲み取りつつ、日本の花入文化に即した寸法と重心に調整。口径・胴径・高台径の黄金比を保つことで、棚や床の間に据えた際の見映えと安定感を両立させています。


茶席・室礼での活用

挿花の留まり
頸部の細やかな帯削りが花留めの役割を果たし、一本挿しでも花材がぶれません。

光の映り込み
厚釉ゆえに生じるやわらかな光沢が、蝋燭や行灯の灯りを受けて淡い水鏡のように揺らぎます。

四季の取り合わせ
春は山吹や桃花、夏は木槿や鉄線、秋は黄花コスモス、冬は南天など、色味のある花材が翡翠色の釉と響き合い、季節の趣を引き立てます。


作家略歴と制作理念

四代 諏訪蘇山様 は1970年京都市ご生誕。三代 諏訪蘇山様 と塗師・十二代 中村宗哲様 の薫陶を受け、2002年に四代を襲名されました。初代以来の青磁研究を継承する一方、練込技法や石膏型成形など多彩な表現にも挑戦し、作品ごとに“物語”を宿すことを信条とされています。本作では「古代の祭器が現代の茶席に再生する」という再生・吉祥の物語を、貫耳の象徴性に託しておられます。


結語

 「青瓷貫耳瓶」は、南宋龍泉窯砧青磁の典雅さと、四代 諏訪蘇山様 の精緻な造形感覚が融け合った逸品です。貫耳に込められた守護の祈り、澄みわたる青の静謐、そして花を迎え入れる包容力――そのすべてが調和し、茶席や室礼の空間に清らかな気韻をもたらします。初代から連綿と受け継がれる「蘇山青磁」の輝きは、本作を通して現代にも息づき、見る者の心を静かに潤してくれることでしょう。

 

四代諏訪蘇山 略歴

1970年 京都市に生まれる 父 三代 諏訪蘇山・母 十二代 中村宗哲 三女
1988年 京都市立銅駝美術工芸高等学校漆芸科卒業
1992年 成安女子短期大学造形芸術科グラフィックデザインコース映像専攻卒業・専攻科修了
1996年 京都府立陶工高等技術専門校成形科・研究科修了
1997年 京都市伝統産業技術者研修陶磁器コース本科修了 父と共に陶磁器の制作活動 各地にて中村宗哲展に出品、哲公房に参加
2002年 四代諏訪蘇山を襲名
現在 各地にて諏訪蘇山展を開催

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