丹波藁白釉湯呑　西端正

幅 : 9.4cm  　奥行9.4cm     高さ :10.0cm　

ご紹介

湯呑でありながら抹茶碗の品格を持つ作品

西端正様による「丹波藁白釉湯呑」は、湯呑としての実用性を持ちながらも、まるで抹茶碗のような格調高い美しさを備えています。一般的な湯呑とは異なり、この作品には洗練された品格が漂い、使う者に特別な時間を提供します。その外観は、日常の器でありながらも、まるで茶席で使われる抹茶碗のように堂々とした存在感を持っており、手にするだけで心が引き締まるような感覚を与えてくれます。

彫刻的な美しさが息づく湯呑

この湯呑の特徴的な要素は、その造形が彫刻作品のように緻密である点です。卓越した技術により、この湯呑は器という枠を超えた美術作品としての価値を持っています。特に、面取りが施された部分には彫刻のようなシャープさがあり、湯呑全体に立体的な動きを与えています。この彫刻的な美しさが、シンプルな形状に深みと奥行きをもたらし、手に取るたびに新たな発見をさせてくれることでしょう。

面取りが生む立体的でシャープな造形美

この湯呑の造形の中心にあるのは、複雑な面取り技術です。通常の湯呑とは一線を画すシャープなラインが全体を引き締め、立体的で洗練された印象を与えます。面取りの角度や配置は、あたかも彫刻家が石や木を削るかのように計算されており、その正確さが湯呑に独特の緊張感と美しさをもたらしています。面取りされた部分には、光が反射することで微妙な陰影が生まれ、湯呑全体が動いているようなダイナミックな印象を与えます。

藁白釉が醸し出す柔らかさと品位

この湯呑に施された藁白釉は、作品全体に柔らかさと上品さを加えています。藁白釉のとろりとした質感は、釉薬が自然に流れ落ちる過程で生まれるものであり、滑らかで優雅な表情を湯呑に与えています。湯呑全体を覆う白い釉薬が、面取りのシャープなラインと対照的に柔らかさを引き立て、使う者に視覚的な癒しをも提供します。この釉薬の質感と造形の調和が作品に特有の魅力を生み出しています。

実用性と美の融合

この湯呑は、実用性を忘れずに設計された作品です。手に取ったときのフィット感や、飲み物を口に運ぶときの自然な動作に配慮された形状が、日常使いの器としての機能を損なうことなく保たれています。湯呑としての役割を果たしつつも、面取りや藁白釉が生み出す芸術的な美しさによって、日常のひとときを特別なものにしてくれます。

芸術作品としての価値

「丹波藁白釉湯呑」は、単なる湯呑という枠を超えた、芸術作品としての価値を持っています。使うことで感じられる機能性と、見ることで楽しめる造形美が絶妙に融合し、日々の生活に品格をもたらす存在となっています。特に、面取りのシャープな造形と藁白釉の柔らかい質感の対比が、この作品を一層特別なものにしており、湯呑を通して感じられる美の深さは格別です。

一生ものの湯呑

この丹波藁白釉湯呑は、使うほどに愛着が深まり、長く大切に使い続けられる一生ものの器です。日常的に使うたびに、その美しさと実用性を改めて感じることでしょう。手に取るたびに、彫刻的な美しさと機能性が織りなす調和を味わい、使い込むうちに独特の風合いが増していくことで、ますます特別な存在となっていくでしょう。「丹波藁白釉湯呑」は、湯呑としての実用性を持ちながらも、彫刻作品のような美しさを備えた逸品です。複雑でシャープな面取りによって生み出される立体的な造形美と、藁白釉の柔らかく優雅な質感が絶妙に調和し、視覚的にも触覚的にも楽しめる作品となっています。使うたびにその美しさと機能性を堪能できる、この湯呑は、一生を通して愛され続ける特別な器となることでしょう。

西端正　略歴

昭和二十三年 二月二十四日生
昭和四十四年 作陶を始める
昭和五十一年 兵庫県展奨励賞
昭和六十一年 日本伝統工芸展初入選
昭和六十三年 日本伝統工芸展入選 日本伝統工芸展日本工芸会総裁賞
平成元年 日本陶芸展入選半どんの会 乃川記念賞
平成三年 日本伝統工芸展入選 日本陶芸展入選 茶の湯の造形展大賞
平成四年 日本伝統工芸展入選 茶の湯の造形展優秀賞 兵庫県新進芸術家奨励賞 NHK主催 パリ―日本の陶芸 「今」一〇〇選招待出品 茶の湯の造形展優秀賞
平成五年 日本伝統工芸展入選 個展 そごう広島店 京都シュマン
平成六年 日本伝統工芸展入選 個展 日本橋三越本店
平成七年 日本伝統工芸展入選 個展 そごう広島店
平成八年 日本伝統工芸展入選 茶の湯の造形展優秀賞 個展 日本橋三越本店 
平成九年 茶の湯の造形展奨励賞
平成十年 日本伝統工芸展入選 個展 日本橋三越本店 日本伝統工芸展入選
平成十二年 個展 日本橋三越本店 個展 福岡三越
平成十三年 ギャラリー堂島 日本伝統工芸展入選
平成十四年 個展 日本橋三越本店 個展 ギャラリー堂島
平成十五年 個展 アメリカ・サンタフェ・タッチングストン
平成十六年 父子展 そごう広島店 茶の湯の造形展大賞
平成十七年 明石市立文化博物館・兵庫のやきもの展出品 赤土部臺買上 兵庫陶芸美術館 個展 ギャラリー堂島 日本橋三越本店
平成十八年 茶の湯の造形展大賞　日本伝統工芸展入選 ボストン美術館及び ニューヨークジャパンソサエティギャラリー 個展 横浜高島屋 アメリカ・サンタフェ・タッチングストン 父子展 松山高島屋
平成十九年 陶俊会展 そごう横浜店 茶の湯の造形展奨励賞 日本伝統工芸展入選
平成二十年 日本伝統工芸展入選 個展 横浜高島屋 日本橋三越本店 アメリカ・サンタフェ・タッチングストン 陶俊会展 船橋 西武 そごう広島店 日本陶芸展招待出品
平成二十一年 個展 ギャラリー堂島 仙台三越
平成二十二年 そごう神戸店 智美術館大賞展現代の茶 出品 個展 横浜高島屋 アメリカ・サンタフェ・タッチングストン
平成二十三年 日本陶芸展招待出品 個展 アメリカ・ニューヨーク・ジョーンBマービス 日本陶芸展招待出品
平成二十五年 菊池寛実記念智美術館『現代の名碗”出品 個展 日本橋三越本店 アメリカ・サンタフェ・タッチングストン ギャラリーミヤザキ そごう神戸店 千葉そごう
平成二十六年 個展 個展 日本橋三越本店
平成二十七年 兵庫県文化賞受賞
平成二十八年 東広島市立美術館 生活を彩る陶―食の器 出品 アメリカ・ニューヨーク・ジョーンBマービス
平成二十九年 四十周年記念展出品 
平成三十年 個展 日本橋三越本店