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桜尽し茶碗 尾西楽斎

桜尽し茶碗 尾西楽斎

通常価格 $2,764.00
通常価格 セール価格 $2,764.00
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税込。 配送料はチェックアウト時に計算されます。

幅 : 11.7cm 高さ : 8.0cm

満開の桜を茶碗全面に散りばめた華麗な一碗でございます。白と金の桜花が一面に咲きこぼれ、ところどころに鶯(うぐいす)らしき小鳥が戯れる―まさに「春そのもの」を掌に収める趣向です。以下では造形・意匠・技法・茶席での機能性・文化的意味の五つの視点から、その魅力を解説いたします。


1.造形と胎土

端正な胴張り形
見込みから口縁へ緩やかに立ち上がる胴張り形は、抹茶の泡が均一にひろがる理想的なプロポーションです。

三方割高台
高台は三裂(みつわり)に切り込まれた独特の形状で、呉器形を思わせる力強さと安定感を備えています。赤味を帯びた素地はやや砂気を含み、点前の際に手に心地よい温もりを伝えます。


2.意匠 ― 桜尽しと鶯の競演

全面に咲く桜花
白盛で立ち上げた花弁をベースに、金彩で花芯と輪郭を縁取り、さらに淡金泥で散らした花屑(はなくず)が風に舞う情景を作り出しています。面全体を埋め尽くすことで「春の雲」を思わせる量感が生まれました。

鶯のアクセント
緑青と鉄絵で描かれた鶯が、桜枝をついばむように随所に配されています。生命感あふれる小鳥の存在が、静止した桜絵に動きを与え、茶碗を回すごとに物語が展開します。


3.技法 ― 盛絵と金彩の重奏

白盛(しろもり)
鉛白を主成分とする盛絵具を厚く置き、低火度で再焼成して花弁に立体感と艶を与えています。

金襴手(きんらんで)
真金泥を用いた線描と面彩色を二段階に分け、最後に800℃前後で焼き付けることで、剥落しにくい輝きを確保しています。

多度焼成
盛絵→低温焼成→金彩→再焼成という手間の掛かる多工程で、白・金・緑の発色を鮮明かつ永続的に保っています。


4.茶席での機能美

抹茶映え
内面はやや青みを帯びた無地釉で統一され、抹茶の緑が鏡面のように映り込みます。桜と鶯の影が茶面に揺らぐ様子は、花筏(はないかだ)が水面を流れる風情を思わせます。

季節感の演出
初釜後の早春から花見の季節にかけて最も映える一碗ですが、盛夏に「遠い春を偲ぶ趣向」として用いても趣深く、幅広い季節感を演出できます。


5.文化的・象徴的意義

桜は「もののあはれ」を象徴する日本美の核心であり、散り際の潔さは武士道とも重なります。本作ではその桜を満ち満ちるほどに描くことで、「今この瞬間を愛でる」茶の湯の精神を視覚化しています。鶯は吉兆を告げる春鳥とされ、桜との組み合わせは古来和歌や絵巻に繰り返し登場する春の典型図です。伝統的主題を全面装飾という大胆な構図で再解釈し、現代茶席にも映える瑞々しさを備えた茶碗と申せましょう。

白盛と金彩で表す桜の華麗、三方割高台の力強さ、そして鶯がもたらす躍動感――。本作は「春の歓び」を一碗に凝縮した逸品でございます。茶席に掲げれば、客人は抹茶の香りとともに満開の桜を愛でるひとときを味わい、自然と笑みこぼれることでしょう。

尾西楽斎様との対談

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