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薬師寺東塔基壇土 萩流しぐい吞み 尾西楽斎

薬師寺東塔基壇土 萩流しぐい吞み 尾西楽斎

通常価格 $233.00
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幅 : 5.8cm 高さ : 5.9cm

薬師寺東塔基壇土 萩流しぐい吞み ― 尾西楽斎


1.胎土──東塔の基壇土が息づいております

本作には、奈良時代創建の名塔・薬師寺東塔の基壇を大修理した際に採取された古土が調合されております。鉄分と珪酸を豊富に含むこの土は、千三百年の風化を経て微細な鉱物結晶を抱き、焼成後も石英粒が星屑のように輝きます。掌に取るだけで、大和の大地と古塔の祈りがしっとりと伝わってまいります。

2.萩流し釉──乳青と焦茶が織りなす景色です

口縁から胴上部に掛けては淡い乳青色の萩釉が厚く掛かり、窯変によって霧のような結晶模様を生み出しております。釉が途切れる境目では、銅を含む鉄釉が焦茶‐黒に発色し、金泥を撒いたような鉄斑(てつふ)が浮かび上がります。まるで雲間から山肌をのぞかせる早春の萩原を思わせる幽玄の景でございます。

3.造形──ラッパ形が香りを引き立てます

やや外反りのラッパ形により、酒の香りがふわりと立ち上がります。胴下部を絞り、低めのリング状高台でまとめることで、重心が安定し持ちやすさも向上しております。全体のプロポーションは雅趣と軽快さを兼ね備え、冷酒はもちろん、微温燗でも手の中で心地よく温度変化を楽しめます。

4.機能美──酒趣を高める使い心地です

内面の萩釉はガラス質に溶け、酒を注ぐと乳青色が透明感を帯びて涼やかに光を返します。唇に触れる口縁は薄く研ぎ出されているため、酒の切れが鮮やかで、吟醸香の繊細な立ちも損ねません。底部の鉄釉帯が僅かに残ることで、酒石(さけいし)が付きにくい点も実用的でございます。

5.薬師寺の歴史──“凍れる音楽”の祈りを映します

薬師寺は天武天皇の発願(680年頃)に始まり、和銅3年(710)頃に現在地へ遷座しました。南都七大寺の一つとして興隆し、度重なる火災や戦乱を乗り越えながら再建・修理を重ねてまいりました。東塔は養老4年(720)頃の完成とされ、「凍れる音楽」と称される優美な三重塔でございます。令和の大修理によって甦ったその心礎の土を用いる本作は、千年の祈りと再生の歴史を酒席に運び込む象徴となっております。


総括

乳青の萩釉が流れ落ちて早春の霧を描き、鉄斑が大地の息吹を物語る――尾西楽斎作「薬師寺東塔基壇土 萩流しぐい吞み」は、掌に侘びと雅、そして悠久の祈りを宿す珠玉の酒器です。一杯を口に含めば、炎と土と古塔の物語が静かに立ち上がり、心に深い余韻をもたらしてくれることでしょう。

薬師寺境内の土100%使用、不純物を徹底除去した本作は、澄明な美しさが特徴。悠久の時を経た土は均質で、焼成により濁りのない艶と、焼締めでは古瓦のような穏やかな色合いを呈します。滑らかな肌理と歪みにくさも魅力。千三百年の歴史を宿す土の物語が、手に取るたびに安らぎを与えます。素材と美しさ、精神性を兼ね備えた特別な作品です。

尾西楽斎様との対談 – 高級陶器の専門店【甘木道】

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