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白釉稜線酒盃 岡田優

白釉稜線酒盃 岡田優

通常価格 $168.00
通常価格 セール価格 $168.00
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幅 : 9.3cm  高さ : 4.3cm

白釉稜線酒盃(はくゆう りょうせん さかずき)

― 岡田優様 作 ―


作品概要

本作は、京都・宇治炭山で作陶を続ける岡田優様が手掛けられた白釉(しろゆう)の酒盃です。盃の内部を弧を描く稜線(りょうせん)が横切り、白磁の静謐さの中に一筋の緊張感を与えています。やや扁平に広がる鉢形と、高く黒く締まった円筒高台との対比が、抽象的なモダニズムを感じさせる意欲作です。


釉調と技法

白釉配合:長石を主成分とする半磁器胎に、酸化焼成でやや温かみを帯びた乳白釉を掛け、真っ白になり過ぎない柔和なトーンを意図。

稜線彫り:ロクロ成形後、革硬さの段階で片鎬包丁を用いて一気に彫り込み、エッジに釉が薄く掛かることで線のシャープさを際立たせています。

黒化粧高台:高台部分のみ鉄分を多く含む化粧土を掛け、窯内で酸化→還元を調整しつつ鉄分を黒変させる「二相焼成」。これにより胎土と釉の膨張係数差を緩和し、薄作りでも歪みを抑制しています。


歴史的・文化的背景

白磁・白釉の酒器は、中国・景徳鎮の明代青白磁や李朝白磁などの系譜を踏まえ、近代以降の日本陶芸において「静けさ」「浄性」を象徴する存在として重ねられてきました。岡田優様は、天目釉の窯変研究で培った「色と光のコントロール」を白釉へ転用することで、単なる白ではない“温度を宿す白”を具現化。さらに“稜線”というミニマルな要素を挿入することで、禅画における「一線」の哲学──余白の宇宙──を酒盃という小宇宙に収めています。


美的意図と精神性

稜線は「余白の断面」であり、光が当たると影をまとい、酒を注げば線が液面に溶け込んで消え、呑み進めるにつれ再び姿を現します。この反復は「存在と無」の循環を示唆しており、禅の公案に通じる内省的な時間を呼び起こします。


静謐な白の平面を斜めに切り裂く一条の稜線──。本酒盃は、岡田優様が提示する「余白の美学」と「モノクロームの対話」を象徴する一盃です。掌に収め、酒の面に影が溶けてゆく様を眺めながら、時の流れとともに変わる光と影の演舞をご堪能ください。

略歴  
京都、清水五条に生まれる  
京都府立陶工訓練校成形科、京都市立工業試験場研修生を経て  
走泥社同人河島浩三氏の下で三年間陶技全般を学ぶ  
1987年、宇治市炭山にて独立、築窯  
2018年より 日本伝統工芸近畿展、鑑査審査委員  
2022年 日本伝統工芸陶芸部会展、鑑査審査委員

〈主な入選〉  
日本伝統工芸展、日本陶芸展  
菊池ビエンナーレ、  
茶の湯の現代展  
長三賞陶芸展、陶美展、  
益子陶芸展、  
伊丹国際クラフト展  
萩大賞展、  
神戸ビエンナーレ  
現代陶芸コンペティション、等

〈主な受賞〉  
1998年、使ってみたい北の菓子器展(優秀賞)  
2002年、京焼、清水焼展(KBS京都放送賞)  
2003年、BONSAIの器展(奨励賞)  
2008年、日本伝統工芸近畿展(日経新聞社賞)  
2009年、おおたき北海ライブ陶器展(NHK放送賞)  
2010年、おおたき北海ライブ陶器展(北海道新聞社賞)  
2012年、京都美術工芸ビエンナーレ(大賞)  
2013年、日本伝統工芸陶芸部会展(日本工芸会賞)  
 神戸ビエンナーレ現代陶芸展(準大賞)  
2014年、光州ビエンナーレ招待出品  
2016年、大阪工芸展(美術工芸大賞)  
2019年、大阪工芸展(準大賞)  
2022年、有田国際陶磁展(大賞、文部科学大臣賞)、等

現在、公益社団法人日本工芸会正会員、陶芸美術協会会員

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