商品情報にスキップ
1 8

天目釉酒盃 岡田優

天目釉酒盃 岡田優

通常価格 $198.00
通常価格 セール価格 $198.00
セール 売り切れ
税込。 配送料はチェックアウト時に計算されます。

幅 : 7.4cm  高さ : 5.4cm

天目釉酒盃(てんもくゆう さかずき)

― 岡田優様 作 ―


作品概要

本作は、京都・宇治炭山に窯を構える岡田優様が手掛けられた天目釉酒盃です。やや直立した円筒形の胴部に、下部を中心として複数の縦稜(鎬 しのぎ)が刻まれています。そこへ紫灰・青墨・鈍金色が重層的に現れる天目釉が掛かり、光の当たり具合で金属光沢とマット感が交錯する奥行きを演出しています。


釉調と技法

鉄長石系天目釉に酸化マンガンと微量のクロムを添加し、深い紫黒の地に青鋼色や鈍金色の光彩を宿しています。

揺らぎ焼成:一次還元で黒味を出し、焼成後半で還元と弱酸化を細かく切り替える岡田様独自の手法により、表層に金属的光沢を帯びた結晶層が形成されます。

鎬面の効果:稜線の凸部では釉が薄まり紫灰~紅紫に発色、凹部では釉が溜まり青墨~鈍金に変化し、見る角度ごとに異なる景色が立ち現れます。


歴史的・文化的背景

天目釉は宋代・福建省建窯の黒釉碗を淵源とし、日本へは鎌倉時代に禅僧がもたらしました。やがて茶の湯で重用され、とりわけ油滴・曜変など偶然の結晶模様は「窯変の妙」として珍重されます。一方、鎬の技法は李朝粉引や萩焼などで発展し、素朴な面取りが素地と釉のコントラストを際立たせる日本的意匠として根づきました。本作は、この二つの伝統的要素を融合し、現代的なフォルムと光彩へ昇華したものです。


美的意図と精神性

縦鎬が刻むリズムは、一瞬一瞬の呼吸を可視化した「時間のしるし」です。そこに重なる天目釉の深い光彩は、禅語「夜色無尽」に通じる無限の宇宙を想起させます。掌に納めて酒を傾けるたび、鎬に沿って光が揺れ、液面がわずかに乱反射する──そのわずかな変化が「一期一会」の尊さを物語ります。


使い方と鑑賞ポイント

冷酒・常温酒に最適:円筒形が酒の香りを適度に滞留させ、吟醸系のアロマを繊細に引き立てます。

光源で景色が一変:自然光では鈍金の落ち着き、スポットライト下では紫灰に金属光が浮かびます。時間帯や照明を変えて多彩な表情をお楽しみください。

手取りの愉悦:鎬の凸部が指掛かりとなり、滑りにくく持ちやすい設計です。


深い紫黒の闇に鈍金の光が瞬き、鎬のリズムが静かに時を刻む──。本酒盃は、岡田優様が長年培ってこられた窯変制御の技と、ミニマルな造形美が結晶した一盃です。静けさの中に潜む宇宙を掌中で味わいながら、至福の酒席をお過ごしいただければ幸いです。

略歴  
京都、清水五条に生まれる  
京都府立陶工訓練校成形科、京都市立工業試験場研修生を経て  
走泥社同人河島浩三氏の下で三年間陶技全般を学ぶ  
1987年、宇治市炭山にて独立、築窯  
2018年より 日本伝統工芸近畿展、鑑査審査委員  
2022年 日本伝統工芸陶芸部会展、鑑査審査委員

〈主な入選〉  
日本伝統工芸展、日本陶芸展  
菊池ビエンナーレ、  
茶の湯の現代展  
長三賞陶芸展、陶美展、  
益子陶芸展、  
伊丹国際クラフト展  
萩大賞展、  
神戸ビエンナーレ  
現代陶芸コンペティション、等

〈主な受賞〉  
1998年、使ってみたい北の菓子器展(優秀賞)  
2002年、京焼、清水焼展(KBS京都放送賞)  
2003年、BONSAIの器展(奨励賞)  
2008年、日本伝統工芸近畿展(日経新聞社賞)  
2009年、おおたき北海ライブ陶器展(NHK放送賞)  
2010年、おおたき北海ライブ陶器展(北海道新聞社賞)  
2012年、京都美術工芸ビエンナーレ(大賞)  
2013年、日本伝統工芸陶芸部会展(日本工芸会賞)  
 神戸ビエンナーレ現代陶芸展(準大賞)  
2014年、光州ビエンナーレ招待出品  
2016年、大阪工芸展(美術工芸大賞)  
2019年、大阪工芸展(準大賞)  
2022年、有田国際陶磁展(大賞、文部科学大臣賞)、等

現在、公益社団法人日本工芸会正会員、陶芸美術協会会員

 

詳細を表示する
  • 【丁寧に、お送りいたします】

    それぞれの商品に合った形態で、丁寧に梱包いたします。

    また、作品(器など)により、納期は変わります。

    作品の引渡時期は、ご注文確認後、共箱準備済み作品は7営業日以内に出荷させていただきます。共箱を新たに製作する作品は45営業日以内に出荷させていただきます。

    いずれも、ご注文を確認いたしましたら、当店より納期をメールにてご連絡いたします。

    梱包のこだわりについて

  • 【陶器をご購入の際のお願い】

    作品ごとに、出来るだけ詳細をご確認いただけるように画像を掲載しておりますが、ご不明な点はお問い合わせください。

    作品の色合いなどは、画像を表示する環境により若干異なることがございますが、ご理解の程お願いいたします。

    作品により貫入などによる、茶碗への染み込みが発生することがございますが、それも経年変化の味わいとしてご理解いただきますようお願いいたします。

    作品の取り扱いについて