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天目釉酒盃 岡田優

天目釉酒盃 岡田優

通常価格 $198.00
通常価格 セール価格 $198.00
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幅 : 8.3cm  高さ : 4.9cm

天目釉酒盃(てんもくゆう さかずき)

― 岡田優様 作 ―


作品概要

本作は、京都・宇治炭山に築窯する岡田優様が手掛けた天目釉酒盃です。穏やかに開いた口縁から裾へ向かって流れる柔らかなカーブ、そして淡く紫灰色を帯びたマットな黒釉の上に現れる霧状の銀光が、静謐でありながらもどこか温かな表情を醸し出しています。


造形の特徴

口縁:やや外反しながらもエッジを丸く取り、唇に優しく触れる設計です。縁辺部にはわずかに紅色がにじみ、“紅天目”を想起させる気配を宿しています。

胴部:半球形を基調に、ロクロ成形後に指の腹で軽く押し締めることで、面にほのかな起伏が生まれています。これが釉薬の陰影を豊かにし、見る角度ごとに異なる景色を引き出します。

高台:幅を抑えた低めの切高台。高台脇には軽くカンナ目を残し、盃を置いた際の安定感と指掛かりを両立させています。


釉調と技法

天目釉の発色:鉄分を多く含む長石釉を還元炎で焼成後、終盤に酸化炎を短く当てる「揺らぎ焼成」により、黒地の上に紫灰色→銀灰色→青墨色へとグラデーションが現れます。釉面は半光沢で、指先にしっとり吸い付くような質感です。

銀霞(ぎんか)景色:マット部に微細な鉄結晶が霧状に浮き、淡い銀のベールを纏ったように見えます。強いスポット光の下では、結晶が星雲のように輝きを放ち、静かな宇宙観を感じさせます。

胎土と還元:岡田様は炭山周辺の土に瀬戸上質土を配合し、可塑性と焼成強度のバランスを調整。還元を強く掛けても歪みが出にくい安定した素地が、この繊細な釉景を支えています。


歴史的背景

天目釉は宋代・福建省建窯の黒釉碗を祖とし、日本では鎌倉期に禅僧がもたらしたと伝えられます。中でも紫味を帯びる“木葉天目”や“灰被天目”は希少で、窯内の酸化還元バランスの偶然によりのみ生まれる貴重な景色とされました。本作はその偶然性を現代の技術で制御し、安定して再現する試みの中で生まれた成果といえます。


美的意図と精神性

紫灰のヴェールに包まれた本盃は、禅の「空」を映す静けさと、窯変がもたらす一期一会の煌めきを併せ持ちます。酒を注ぐと液面に浮かぶ微光が、夜明け前の薄紫の空を思わせ、飲み手に深い余韻を与えます。


使い方と鑑賞ポイント

常温〜微温燗向き:マット釉が酒の温度を穏やかに保ち、香りの立ち上がりを緩やかに演出します。

光源の選択:白熱灯や蝋燭の暖色光で銀霞が浮かび、昼光色のLEDでは紫灰のグラデーションが際立ちます。時間帯や照明で全く違う表情をお楽しみください。

茶盌としても:内側はやや立ち上がりがあり、濃茶よりは薄茶・玉露向き。茶の緑が黒釉に映えます。


紫灰の中に銀の霧が漂うような本酒盃は、岡田優様が長年培ってきた窯変制御技術の粋を示す一品です。静けさの中に潜む無窮の宇宙を眺めながら杯を傾けるひとときが、日常に静かな華やぎを添えてくれることでしょう。

略歴  
京都、清水五条に生まれる  
京都府立陶工訓練校成形科、京都市立工業試験場研修生を経て  
走泥社同人河島浩三氏の下で三年間陶技全般を学ぶ  
1987年、宇治市炭山にて独立、築窯  
2018年より 日本伝統工芸近畿展、鑑査審査委員  
2022年 日本伝統工芸陶芸部会展、鑑査審査委員

〈主な入選〉  
日本伝統工芸展、日本陶芸展  
菊池ビエンナーレ、  
茶の湯の現代展  
長三賞陶芸展、陶美展、  
益子陶芸展、  
伊丹国際クラフト展  
萩大賞展、  
神戸ビエンナーレ  
現代陶芸コンペティション、等

〈主な受賞〉  
1998年、使ってみたい北の菓子器展(優秀賞)  
2002年、京焼、清水焼展(KBS京都放送賞)  
2003年、BONSAIの器展(奨励賞)  
2008年、日本伝統工芸近畿展(日経新聞社賞)  
2009年、おおたき北海ライブ陶器展(NHK放送賞)  
2010年、おおたき北海ライブ陶器展(北海道新聞社賞)  
2012年、京都美術工芸ビエンナーレ(大賞)  
2013年、日本伝統工芸陶芸部会展(日本工芸会賞)  
 神戸ビエンナーレ現代陶芸展(準大賞)  
2014年、光州ビエンナーレ招待出品  
2016年、大阪工芸展(美術工芸大賞)  
2019年、大阪工芸展(準大賞)  
2022年、有田国際陶磁展(大賞、文部科学大臣賞)、等

現在、公益社団法人日本工芸会正会員、陶芸美術協会会員

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