灰釉面取り花入 尾西楽斎
灰釉面取り花入 尾西楽斎
幅 : 7.0cm 高さ :16.7cm
尾西楽斎様が手掛けた「灰釉面取り花入」は、古典的な技法と現代的な感性が見事に調和した逸品です。この花入は、面取り技法を駆使して多面体を表現しており、見る角度によって異なる表情を楽しめるのが特徴です。置き方を変えるだけで、色の出具合が変化し、まるで異なる作品のように感じられる点が魅力的です。
面取り技法の特徴
面取りとは、陶磁器の表面を削って多面体にする技法で、シャープな印象を与えることができます。しかし、この作品では、釉薬を厚めに施すことで、面の角が柔らかく仕上げられています。そのため、シャープさと同時に、どこか柔和で温かみのある印象を持たせています。さらに、面取りにより指がかかりやすく、持ちやすさや滑りにくさという実用的な側面も兼ね備えています。
灰釉の伝統と背景
灰釉は、木材や藁の灰を原料とした伝統的な釉薬であり、東アジアの陶器において古くから重要な役割を果たしてきました。中国や韓国、日本の陶器において、この灰釉は独特の風合いを生み出し、今でも多くの工房で使用されています。特に9世紀初頭、尾張の猿投窯で開発された灰釉陶器は、奈良・平安時代を通して愛知・岐阜・静岡の窯を中心に広まり、日常の器具として多くの人々に親しまれてきました。植物灰を使用したこの釉薬は、高温で焼成されることで、粒子間の隙間が細かくなり、耐水性に優れた仕上がりとなります。
尾西楽斎様の「灰釉面取り花入」は、こうした萩釉の伝統を尊重しながらも、現代の美意識を取り入れた作品です。その色彩の美しさは、まるで自然が織り成す風景のように、見る者の心を引き込みます。
山村御流好みの作品として
この花入は、山村御流好みの一品としても知られています。山村御流は、奈良市山町の普門山円照寺を中心に展開される華道流派で、後水尾天皇の第一皇女、文智内親王が開かれた尼院から始まりました。歴史ある流派の好みにも応える、格式高い花入として作品は評価されています。
季節の移ろいとともに
「灰釉面取り花入」は、季節の移ろいとともにその表情を変え、飾る場に合わせて異なる雰囲気を演出します。春には新緑の芽吹きを、秋には紅葉の色づきを思わせるような色合いが楽しめ、四季を通じて美しい佇まいを見せるこの花入は、まさに日本の自然美を体現した作品といえるでしょう。32
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