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三茄子蓋置 尾西楽斎

三茄子蓋置 尾西楽斎

通常価格 $303.00
通常価格 セール価格 $303.00
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幅 : 5.8cm×5.0cm 高さ : 5.0cm

三茄子蓋置(さん-なすび ふたおき) 尾西楽斎様 作

――「一富士二鷹三茄子」の瑞兆を、水指の縁に添えて――

1.作品の概要

本作は奈良・赤膚焼の陶匠、八代 尾西楽斎様が制作された茄子形の蓋置です。三つの茄子が互いに寄り添い “品” 字をなす造形によって、柄杓をあずけた際に釜蓋の重みをしっかりと受け止める安定感を備えています。手のひらに収まる小品ながら、深い瑠璃(るり)釉の艶やかな発色が茶室の景色に涼風を運ぶような存在感を放っています。

2.造形と機能美

三本が織り成す三角構造
茄子を三本束ねることで自然に三点支持となり、どの面を手前にしても釜蓋が傾きません。床置き・置き合わせいずれの飾りでも正面を選ばず使えるのは、蓋置では実用的な利点です。

粒立つヘタと張りのある胴
茄子のヘタ部分は鋭く立ち上げて視覚的アクセントとし、胴部は実物よりやや誇張した丸みを持たせて「ふくよかな実り」を強調。見る角度でハイライトが走り、瑠璃釉のグラデーションが際立ちます。

3.釉薬・焼成の妙味

胴全体を覆う瑠璃釉はコバルト主体の長石釉で、1240℃付近の還元焚きによって深い藍紫を呈しています。ヘタ周囲には白釉を薄く差し込み、焼成中に流れた白が縁取りを生み出して紫紺とのコントラストを強調。わずかに現れる乳濁は赤膚土に含まれる石灰分と釉薬中のシリカが融け合ったもので、炎の揺らぎを映したような景色を作っています。

4.茄子文様の吉祥性

茄子は「成す」に通じ、立身出世・大願成就を示す吉祥文様として古来親しまれてきました。さらに「一富士二鷹三茄子」のことわざに見られるように、正月の初夢で見ると縁起が良い第三の瑞兆とされます。茄子蓋置を用いることは、茶事において客人の抱負成就を静かに祈念する趣向とも受け取れます。

5.七種蓋置との位置づけ

蓋置には「七種(しちしゅ)の蓋置」と呼ばれる基本意匠があり、茄子は瓢・栗・三葉・蟹・五徳・雪輪とともに古来茶人に愛用されてきました。三茄子はその中でも造形に遊び心が宿る型で、置き合わせの際に涼味と愛嬌を添える役割を担います。

6.季節と取り合わせ

茶事の時季 趣向・演出 推奨の花/軸
盛夏(六月〜土用) 瑠璃釉の涼感を強調し「夏越しの祓」や七夕席に 露草・白檀軸「清流無間断」 白檀主体の練香
初秋(処暑〜白露) 茄子の旬に合わせて「実りを待つ景」 竿秤の軸、花に女郎花 伽羅の切片
新春 初釜 「一富士二鷹三茄子」の縁起担ぎ 軸「笑門来福」、若松一枝 練香「瑞雲」

7.尾西楽斎様の作陶姿勢

尾西楽斎様は「奈良の風趣と吉祥を現代の茶陶へ」という理念を掲げ、鹿や梵鐘、鴟尾といった大和の象徴に加え、吉祥の果菜である茄子を題材とした作品を意欲的に制作されています。本作では、赤膚土特有の柔らかな胎土に濃厚な瑠璃釉を掛けることで、伝統とモダンを融和させる独自の美観を確立。蓋置という小さな舞台に“成す”の祈りを凝縮し、亭主と客人を穏やかに結ぶ道具へと昇華しています。

8.まとめ

深い瑠璃色に輝く三茄子蓋置は、盛夏の涼やかさと新春の瑞兆を兼ね備えた万能の茶道具です。掌で包むと釉面に微細な光の揺らぎが生まれ、三つの茄子が叶える「三願成就」の想いがささやかに宿ります。尾西楽斎様の巧みな造形力と釉調の妙を、四季折々の席でどうぞご堪能くださいませ。

尾西楽斎様との対談 – 高級陶器の専門店【甘木道】

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