白釉流線文香炉 岡田優
白釉流線文香炉 岡田優
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幅 : 15.0cm 高さ : 14.4cm
白釉流線文香炉(はくゆう りゅうせんもん こうろ) 岡田優様作
――「月影を映す白磁に、ひそかな薫りが風を起こす」
はじめに――香炉がもたらす“薫りの間(あわい)”
茶の湯では、客の到着を告げる一炷の香、茶事後座に漂わせる残香が、時の移ろいをしずかに告げます。本作は、そうした“香の間”を支える道具として構想された香炉です。白釉の静謐な肌合いと、風を思わせる流線が響き合い、置かれるだけで席中に澄んだ気が立ちのぼります。
造形の特徴――風を抱く三本脚のフォルム
見どころ | 解説 |
---|---|
三脚の躍動感 | ゆるやかなカーブを描きつつ伸びる三本脚が、軽やかな浮遊感を生みます。床の間や香台に置くと、影が内側に差し込み、まるで香雲が器下から湧き出るような視覚効果をもたらします。 |
流線文の一閃 | 胴部から口縁へ立ち上がる稜線は、風が白布を払う瞬間を彷彿とさせる造形。見る角度を変えると陰影が移ろい、香の煙の揺らぎと呼応します。 |
銀彩摘み | 蓋の中央には銀色の細長い摘み。白磁の静けさに一点の光を差し込み、手に取る所作を優雅に導きます。 |
白釉のやさしい景色
淡雪のように透ける白釉は、灯りの色によって乳白から象牙色へと微妙に表情を変えます。釉の掛かりが厚い稜線部はほのかに艶を宿し、薄い面には絹のようなマット感が現れ、同じ白の中に複数の質感が潜んでいます。
香席・茶席での取り合わせ
用途 | 趣向 | ひと工夫 |
---|---|---|
初夏の茶事 | 薄荷や沈香のさわやかな一炷を。白釉の涼感が新緑の風を呼び込みます。 | 三脚の影が畳に落ちるよう、やや高さのある香台を用いると立体感が際立ちます。 |
夜咄(よばなし) | 濃厚な伽羅を炷じ、銀摘みが蝋燭の灯を反射。闇に浮かぶ白磁が幽玄を深めます。 | 灯りを絞り、流線文の陰影を強調して“闇と光のあわい”を演出します。 |
香道のお稽古 | 白い聞香炉・聞香盆と合わせ、無垢の景色で香木の銘香を引き立てます。 | 香炭団の熾し火をやや低めにし、香りが静かに立つ温度で使うと、白釉が汗を帯びず美観を保ちます。 |
岡田優様の制作意図
京都・清水五条坂で学び、宇治・炭山の窯で自然と対話する岡田優様は、「風が器の内外をゆったりと吹くように」というコンセプトを一貫して掲げておられます。本香炉では、三脚の開放感で“風の通り道”を可視化し、流線文で“風の軌跡”をなぞり、白釉と銀彩で“月下の静謐”を表現されました。薫りそのものを見せることはできませんが、器形と色彩で“風と月”を描くことで、焚かれる香木の余韻をより深く味わわせる装置となっています。
結び
白磁の静けさ、銀摘みの光、そして風を纏う流線――白釉流線文香炉は、焚いた香が身と心を巡る瞬間、時の流れを透明にする道具です。手に取るたび、香の煙が器の稜線にそっと沿い、月明かりの夜風が茶席に舞い降ります。長くご愛用いただき、季節ごとの薫りとともに、この香炉が育む静かな物語をお楽しみください。
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